米気象学会のウェブサイトに7日、ダートマス大学博士号取得候補者の
クリストファー・キャラハン氏
が率いる研究チームは論文で
地球温暖化
により、米大リーグ(MLB)のホームランが増加した背景として、MLBの試合が屋外球場で行われる日の最高気温が1度上昇した場合、ホームラン数は1.96%増え、午後早くの試合では2.4%増と、さらに大きな数字になるとの結論に至ったとする調査結果を掲載された。
この論文では、気温上昇に伴う
空気密度の低下
でボールがさらに飛ぶようになっており、特に屋外球場でホームランが増える傾向にあると結論づけた。
2010年以降の計500本余りは「歴史的温暖化」に起因すると分析している。
「将来的な温暖化でホームラン数は1シーズン当たり数百本増えるだろう」と続けた。
地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」は世界的平均気温の
産業革命前からの上昇幅を2度未満に抑えること
を目指している。
今回明らかにされた論文によれば、こうした2度の上昇となれば、シカゴのリグレー・フィールドやデトロイトのコメリカ・パーク、ミネアポリスのターゲット・フィールドでは毎年、ホームランが数本多くなるという。
キャラハン氏の研究チームは計10万もの大リーグの試合と22万の打球を個別に調べた。
また、降水量や風速など他の潜在的要因の影響は制御するよう目指した。
今回の調査には参加していないオハイオ州立大学の
ジャナ・ハウザー准教授(気象学)
は電子メールで、「気温上昇と空気密度の低下には関連がある」と指摘し、ボールに対する空気分子の抵抗が少なくなる結果、「ボールに同じ力が加われば、気温が高いときの方が低いときよりもさらに飛ぶことになる」と解説した。
1度ごとの地球温暖化で1シーズンのホームランは約95本増えると推計される。
気候変動対策が講じられない高排出シナリオの温暖化では、各シーズンのホームランは2050年までに192本、2100年までにさらに467本増えると研究チームでは予測した。
MLBへの提案として、日々の最高気温の影響を最小限にするため、全ての試合を夜に行うようにすることや、気候変動がホームラン数に影響するのを抑えるため、既存の屋外球場をドーム型にすることなどを挙げた。