2023年05月12日

米国は「銀行危機を終わらせる必要」


 大手米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は11日、パリでブルームバーグテレビジョンとのインタビューで
   銀行セクター
に今年起きた波乱に終止符を打つべく規制当局は力を貸す時機だと指摘し、政策当局はすでに
   間違った教訓
を得ようとしており「銀行にとってはさらに状況が悪くなるだろう。規制とルール、義務が増える方向だ」と警告した。

 「ルールや義務、規制が行き過ぎると、こうしたコミュニティーバンクからは貸し出し担当者よりもコンプライアンス担当者の数が多いとの不満が聞かれるようになる」と続けた。

 ダイモン氏は主要銀行トップの中で唯一、金融危機前から指揮を執り続けており、この約10年で最悪の業界混乱への対応で中心的な役割を果たしている。

 また、「銀行危機を終わらせなくてはならない」と述べ、「米連邦預金保険公社(FDIC)や通貨監督庁(OCC)、米連邦準備制度理事会(FRB)など当局は状況改善のために必要なことは何でもするべきだ」と話した。

 銀行は年1回のストレステストで「誤った安心感」を抱くより
   潜在的なリスク
を幅広く検証するよう促されるべきだったと指摘した。
 
 米利上げはFRB自身が予測したものではなく、銀行が足をすくわれたこともFRBには想定外だったという。

 監督当局は「驚いてばかりという状況にならないよう」、小規模銀行の財務状況をもっと把握する必要があると論じた。


   
posted by manekineco at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

世界に「ミンスキー・モーメント」のリスク?


 アリアンツのチーフエコノミスト
   ルドビク・スブラン氏
は8日、ブルームバーグテレビジョンの番組で述べ、債務膨張後の資産価格急落が始まるポイントを指す「いわゆるミンスキー・モーメントの条件が全てそろっている」と警告し、「流動性逼迫が至る所で見られ始めている」と続けた。

 市場が新たな「金融事故」の脅威にさらされつつ再調整入りすることに投資家は今後数カ月備えるべきだと指摘した。

 スブラン氏は「商業用不動産と米地銀の連続破綻は懸念材料」だが、「私は企業のクレジットリスクのミスプライシングを不安視している。特に高利回り債のスプレッドが率直に言って今も小さ過ぎることが心配だ。ノンバンクの金融仲介事業者も注視している」と述べた。

 積極的な利上げを特徴とする金融政策のグローバルな急転換が現在の緊張の理由だが、それだけではないと同氏は分析しているという。

 「誰にとっても今問題なのは突然の金融引き締めだが
   リスク管理の誤り
という追加のレイヤーがある」と指摘、「新たな金融事故は銀行セクターで起こるかもしれないし、商業用不動産に特化したヘッジファンド、あるいはその両方を震源として起こる恐れもある」と続けた。

 投資家は荒い動きに見舞われるだろうとした上で、「世界金融危機の再発とは思わない」が、積み重なった問題の「解放や浄化が今後数カ月により頻繁に起こることは確かだ」との見方を示した。

 なお、スブラン氏は世界銀行やフランス財務省にも在籍していた。

  
 
posted by manekineco at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

金相場はこの先天井をつけるのか?


 米国雇用統計が予想外に強い結果となったことで市場では金利先高が継続するとの思惑が出ている。

 ブリオン・ボールトの調査責任者
   エイドリアン・アッシュ氏
は「金は先頭に立って米金融当局が言わんとすることの判断に努め、かつそれがどういう行動につながるのかを推し量ろうとしている」と指摘した。
 
 また、「6月までの間には多くのデータが公表される」と続けた。

 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のリポートによれば、中央銀行による金需要は1−3月(第1四半期)に急減速したが、いまのところは、歴史的な高水準にはとどまっている。


posted by manekineco at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベイリーBOE総裁がインフレ減速なら利上げ停止の可能性を示唆


 イングランド銀行(英中央銀行 BOE)のベイリー総裁は11日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「金利水準については、ある意味で休止が可能になる地点に近づいている」と発言したうえ、「だが、この見解に一段と強い論拠を与えるエビデンスがまだ出てきていない。エビデンス主導であるべきだと自分が極めて明らかにしているのは、それが理由だ」と続けた。

 インフレが弱まりさえすれば、今回の利上げ局面は終わりに近いとの認識を示した。

 ベイリー総裁へのインタビューは英中銀がこの日、12会合連続の利上げを発表した後で行われたもの。
 
 総裁の発言は、インフレが同中銀の予測通り急激な低下を始めれば、6月22日の次回会合で利上げ停止に動く可能性があることを示唆するものだ。

 英中銀は利上げ停止に近づいているのかとの問いに対しては、「そうであることを期待していると言っていいだろう。今回で12会合連続の利上げだ。ただ、入ってくるエビデンス次第であると、今一度明確にしておく」と述べた。

 インタビューでの発言は、この日行われた記者会見での論調と微妙に異なるないようで、記者会見においてはベイリー氏は2桁台に上るインフレ率を目標の2%に戻す決意を表明し、「低く安定したインフレは健全な経済の土台だ。インフレ率が目標の2%に戻ることを確実にするために政策姿勢を堅持することが必要だ」と述べていた。

 インタビューで同氏は、エビデンスとしてインフレの持続性に英中銀は注目していると説明した。
 
 英国の最近のインフレの強さは、中銀が注視する「持続的な要因」ではなく、食品価格など「先行的な」価格圧力が主導していると主張しており、天候や消費者の心理的影響で購買力が揺らぐ場合の影響が大きい分野での価格変動に対する対応ともいえる。

 そのためか、サービス価格のインフレや賃金の伸びなどの、より持続的な要因は英中銀の予測した通りに推移しているとの見方を示した。

 また、金利について英中銀が「あっちだとかこっちだとか、方向性を示す」ことはないとし、「エビデンスによって方向付けられる」と言明した。

  
posted by manekineco at 04:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする