ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者でプーチンの影の軍事勢力のひとつでもある
エフゲニー・プリゴジン氏
による武装蜂起が劇的な形で収拾した後、ロシア国内には異様な静けさが漂った。
今回の反乱を率いたプリゴジン氏はこれまでと異なり、沈黙を保っている。
また、プーチン大統領は24日午前に行った短いテレビ演説で、ワグネルの進軍を「裏切り」と非難し、厳しく処罰すると言明した以降、公の場に姿を見せていない。
ロシア政府当局は平常を回復しようと
緊急制限の解除
を開始したが、ボリス・エリツィン大統領の後継として、ほぼ四半世紀に及んだプーチン政権下でも、情報機関の出身者を優遇して情報工作に徹し、反対派の暗殺等を繰り返してきたが、今回の反乱ほど体制が脅かされたことは起きていない。
ワグネルは一時、モスクワまで200キロの圏内まで進軍していたが、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介した合意を受け入れてプリゴジン氏は部隊を引き返させた。
ロシア大統領府の説明では、プーチン大統領はこの合意でプリゴジン氏の隣国ベラルーシへの出国を認め、同氏と反乱に関与したワグネル戦闘員に対する刑事訴追手続きを取り下げると自ら保証したことを明らかにした。
プーチン氏はこの数時間前の国民向け演説で、反乱に加わった者は「ロシアを裏切ったのであり、その罪を償うことになる」と述べたが情報機関出身者には似つかわしくなく朝令暮改の如き対応となった。
プリゴジン氏は24日遅く、流血の事態を避けるため部隊を撤退させるとの音声メッセージをテレグラムに投稿した。
これ以来、コメントを発していない。
ロシア国内のソーシャルメディアではワグネルが一時占拠していたロシア南部の都市ロストフナドヌーの軍施設から撤収するに当たり、市民が同氏をたたえ、握手する様子を映した動画が共有されている。
ロストフ州のゴルベフ知事はワグネルがロストフナドヌーから引き揚げ、野営地に向かったと25日早くに報告した。
また、ロストフからモスクワに向かう途上にあるボロネジ、リペツク両州の当局者も、ワグネルが州内から移動したと明らかにした。
モスクワに向かう幹線道路に急きょ設置された障害物は、25日に撤去された。
なお、モスクワ市は対テロ体制を導入し、さらに26日を休日にするとソビャニン市長が発表していたが、この休日は維持されている。
ロシア国内に置けるワグネルの反乱が急展開して解決した今回の事態について、米国や欧州は政治的な影響の把握に努めている段階にある。
かつては絶対的だったプーチン氏の権威は、ウクライナ侵攻という軍事的野心により、いまや損なわれた様子だ。
また、ウクライナが領内からロシア軍を駆逐しようと反転攻勢を続ける中で、侵攻を巡りロシア国内に深刻な分裂があることが浮き彫りになり、他のロシア九九内における分離独立派やこれまで忠誠を示し多大の犠牲を払っているチェチェン軍の動きも気になるところだ。
ロシアには皇帝ニコライ2世やソ連時代のゴルバチョフ書記長など、軍事的な混乱の後に最高指導者が失脚した歴史もあった。
プーチン氏自身も24日のテレビ演説で今回の反乱について述べた際、1917年のボリシェビキ革命と内戦に至った第1次大戦中の国内の分裂を引き合いに出しており、意識の中に失脚後の混乱を考えているのかもしれない。
posted by manekineco at 06:21|
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