フィデリティ・インターナショナルのチーフ投資ストラテジスト
サルマン・アーメド氏
は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が米経済をソフトランディング(に導いたとの見方がウォール街で高まる中でも、リセッションの予測を維持している。
アーメド氏は、フィデリティの470億ドル(約6兆8690億円)のマルチアセット・ビジネスで
資産配分戦略
に携わっており、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を背景にした金融緩和の時期に企業が借り入れた負債は高金利という新たな時代に満期を迎え
引き締めの遅行効果
が最終的に景気を崖っぷちに追い込むとの見通しを示した。
金融引き締めの完全な効果と景気下降は、今後6カ月間の企業債務の借り換えの波を受けて、来年に現実のものになると指摘し、「このサイクルの終着点は景気後退だ」と続けた。
また、「FOMCがある時点で手を引かなければ、誰もが高い実質金利を支払わなければならなくなる」とも述べた。
債務コストの上昇は他の条件が同じであれば、企業が投資や労働者への給与を支払う余力を減らす傾向がある。
高い株式バリュエーションとタイトな信用スプレッドは、来るべき
景気後退
がまだ市場に完全に織り込まれていないことの表れだと指摘した。
また、「借り手が金利の圧力を十分に感じていないのは、金利が固定されているためだ。だがその状態がいつまでも続くわけではない。2、3、4%で融資を受けていた企業が、10、11、12%で融資を受けることになる。これは大きなショックだ」と続けた。
フィデリティは、2024年初頭に襲いかかる
借り換えの壁
に備えるため、過去2カ月にわたって「中立」としていた現金を「オーバーウエート」に引き上げた。
また、株式は引き続き「アンダーウエート」、投資適格債は高利回り債よりも「オーバーウエート」とし、「オーバーウエート」にしていた政府債については9月に「中立」に変更した。
アーメド氏の判断だが、ウォール街のエコノミストの多くが景気後退説を撤回する中でもアーメド氏の予測は暗い。
アーメド氏によると金利が上昇する中で経済が堅調なのは、金融政策の遅行効果がまだ続いている証拠であり、ソフトランディングの前兆ではないと指摘した。
米国の個人消費と労働市場が驚くほど底堅いため、アーメド氏は景気後退の予測を来年に先送りせざるを得なくなり、景気後退の確率を80%から60%に引き下げた。
なお、こうした中でも景気後退がアーメド氏の基本シナリオであることに変わりはない。
同氏の論拠としては米金融当局者グループの最近の研究によって裏付けられている。
歴史を振り返ると、将来の利上げの有無にかかわらず、企業がすでに実施された利上げの影響を完全に感じるには約1年かかると続けた。
ひとこと
経済論理が過去の経済統計等の数値などを駆使して導かれたものであり、常に投資家や消費者の思考は変化したり、固定したりと集団による離合集散が繰り返され新たな論理が生まれるものだ。
過去の理論に基づく流れを作ることが多いが変化点は常に見られる。
この変化点が強いか弱いかで新たな理論が生まれるかどうかだ。
世界の常識などというフレーズでTVなどでゴロを巻くとしても、同じ結果にはならない事が周期的に起きていることを棚に上げた放言だろう。
経済ショックの背景を意識すらしていない愚かさでしかない。
posted by manekineco at 07:00|
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