2023年10月29日

中国・李克強前首相の突然死による習政権には新たなリスクが出現


 中国の李克強前首相の突然死は、習近平国家主席に新たなリスクを生じさせるという。
 習主席に次ぐ中国ナンバー2として10年間首相を務めたうえ、改革派として人気のあった李氏への市民からの支持が、新型コロナ対策が後手に回り、不動産業界の経営不振の広がりなど景気減速に対する不満に伝播する恐れがあるためだ。

 中国のインターネット上では李氏を悼む声が広がり、ソーシャルメディアの微博(ウェイボ)では訃報の閲覧回数が約13億回に上り、多くのユーザーがショックと悲しみを表していた。

 中国では経済に疎い習近平政権の経済対策の遅れなどのほか、不動産危機で多くの人が資産を減らし、若年層失業率は記録的高水準に達し社会不安が広がる中、習主席が汚職等により就任後1年足らずの外相と国防相を相次ぎ解任しており、能力より忠誠心などを重視して選任した責任論が抑えきらなくなり、政権の安定性に疑問が投げかけられてきた。

 李氏の死去に乗じた政治闘争の再燃で反体制はを支持する声が広がれば、政情不安への懸念は一段と強まりかねない状況だ。

 中国市民は実際に過去、共産党指導者の死去をきっかけに党の権力掌握への抗議を示したことがある。

 中国では1976年、周恩来氏の死去が広範な抗議行動のきっかけとなった。
 また、1989年4月に胡耀邦氏が死去した際には、天安門広場での民主化要求デモにつながった。 
 
 ケ小平ら共産党指導部は天安門広場とその周辺に軍部隊を送り込み、抗議者たちを武力で排除し多くの犠牲者が発生したが未だ被害の実数は共産党政府に不都合といった理由で隠されたままだ。
 なお、死者数は最大2600人に上ると推定されている。

 中国外務省の毛寧報道官は27日の定例記者会見で、「突然の心臓発作による李克強前首相の悲劇的な死に深く哀悼の意を表する」と述べ、李氏の葬儀の段取りについては「しかるべき時に」発表されると説明するにとどめた。


  
posted by manekineco at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする