米国カリフォルニア州サンノゼ市に本社を置くコンピュータ・ソフトウェア・テクノロジー・カンパニーである。
クリエイティブ・デザイン、ビデオ編集ツールとAcrobatPDF等のトップシェア企業に成長した。
マーケティングツール、AI、ECサービス等も提供している。
パロアルト研究所から
Interpress (PageScriptLanguage)
を開発してスピンアウトした。
当初の1982年12月から2018年10月3日までは
Adobe Systems Incorporated
という社名であったが2018年に
Adobe Inc.
に社名変更した。会長兼CEOはシャンタヌ・ナラヤン(2024年現在)。
本社所在地 米国カリフォルニア州サンノゼ
売上高 157億8500万ドル(2021年12月度)
営業利益 58億20万ドル(2021年12月度)
純利益 48億2200万ドル(2021年12月度)
純資産 272億4,100万ドル(2021年12月度)
総資産 147億9700万ドル(2021年12月度)
従業員数 25,988人(2021年)
カリフォルニア州パロアルトにある研究開発企業
パロアルト研究所
にいた
チャールズ・ゲシキ
ジョン・ワーノック
がページ記述言語である、「Interpress(インタープレス PageScriptLanguage)」を開発してスピンアウトし1982年に創業した。
クリエイティブ・デザイン、ビデオ編集からマーケティング、AI、ドキュメント管理、電子サイン、NFTまでを実践提供するデジタルコラボレーション推進型テクノロジーカンパニーとして、米NASDAQ上場。Acrobat、PDFの生みの親である。
当初、ページ記述言語である、「Interpress(インタープレス)」の研究開発を開始したが、ゼロックスはこれをビジネスには利用しようとしなかったため、独立を決意した。
1982年、Adobe Systemsを設立した。社名は、当時ロスアルトスにあったジョン・ワーノックの自宅の裏を流れる22.9 kmの小川である"Adobe Creek"という川の名前が由来とされている。
当初は、ページ記述言語を元に、DTPシステム自体を事業の核にしようと考えていた。
当時Apple Computer(現・Apple)では、新しく
レーザープリンター
を開発していたが、高精度な印刷ができなったため、
スティーブ・ジョブズ
が、パロアルト研究所でInterpressページ記述言語技術の存在を知り、AppleのレーザープリンターLaserWriterに供給することを依頼した。
ジョブズはAdobe Systemsを設立に際し20%に当たる500万ドルを出資した。
この結果、アドビはハードウェアメーカーではなく、メーカーにInterpress, ページ記述言語を供給するソフトウェア・テクノロジーに軸足を置くこととなった。
1985年に、後にDTP業界標準となる、"PostScript"開発を発表した。
この頃の売り上げの大半はAppleからのライセンス使用料であった。
Appleは1983年に前金で$100万支払い、そして$250万出資した。
しばらくの期間、PostScriptのライセンス供与がビジネスの柱であった。
1987年にIllustratorを発表し、クリエイティブ・デザイン・ツール、アプリケーションプログラムの開発、販売に参入するようになり、クリエイター・デザイナー向けのツールがビジネスの柱となり、現在の礎を築いた。
1989年にはPhotoshopを発売。写真編集・加工ソフトのデファクトとなった。
ただ、この頃はまだ、アドビのビジネスは「紙に印刷すること」を実践していた。
1991年に登場したQuickTimeを利用した動画編集ソフトウェアの"ADOBE Premiere"を開発・発売した。
1993年には、こちらも業界のスタンダードとなる、"Acrobat・PDF"を開発することで、ビジネスの方向をデジタル・データのオーサリングに向け、その後の「紙からデジタルへの変革を提唱」したパイオニアとなった。
1994年、アルダスを買収した。
この買収でAfter Effects、Persuasion、PageMakerと後の"InDesign"の元となる技術と開発者を手に入れた。
設立以来、当初は、Apple(macOS、iOSではオペレーティングシステム (OS) レベルでOpenTypeやPDFを採用)、スティーブ・ジョブズ(NeXTでは全面的にPostScriptを採用)との関係が深かった。
その後、マイクロソフトがWindows 95を発売し市場を拡大させて行く流れのなか、OpenTypeの設計・策定などを含め、徐々に、マイクロソフトとの関係も深くなっていった。
2005年4月19日、競合会社であり訴訟合戦を繰り広げていた
マクロメディア
の買収を発表した。
12月3日に買収を完了した。
2007年、CEOにインド系CEO
シャンタヌ・ナラヤン
が就任した。
2009年10月にアクセス解析関連のマーケティングサービス会社
オムニチュア(Omniture)
のすべての発行済み株式を普通株1株当たり現金21.50ドル支払うことにより取得する株式公開買付を実施した。
株式の希薄化後純資産約18億ドル相当の取引にて10月23日に買収を完了した。
2012年、月額課金制の"Adobe Creative Cloud"を発表した。
同時にパッケージソフトウェア"Adobe Creative Suite"の販売を中止すると発表してSaaSビジネスに積極的にトランスフォーメーションを遂げることになる。
翌2013年に完全移行した。
同年、Adobe Marketing Cloudの提供を開始した。
2017年にBrand名を、Adobe Experience Cloudに変更した。
2016年、独自のAI・機械学習のテクノロジーである
Adobe Sensei
を発表した。
Document Cloud、Acrobat、ExperienceCloudなどでのAI活用を徐々に、開始する動きとなった。
2018年、電子商取引プラットフォーム、EC運用SaaSである
Magento
を買収した。
Adobe Experience Cloudのラインナップ内に統合し、データ活用、カスタマージャーニ、コマース、データインサイトなどをSaaSで実践するラインナップを充実させ、AI、機械学習も取り入れた。
2018年9月20日、アドビシステムズはマーケティング・オートメーション、アナリティクスツールとしてシェアを伸ばしていた有力企業である
Marketo(マルケト)
を47億5000万ドルで買収することを発表した、
同年10月に買収を完了し、後にExperience Cloudへと統合した。
2021年、IDC調査で、Acrobat、Document Cloudが、1,000人以上の大企業で日本国内シェアNo.1となりMicrosoftなどのアプリと連携させて、アプリ内から直接、編集コラボレーション処理することも可能であるとし、マイクロソフトとのアライアンスの強化をアナウンスした。
2021年の、"Adobe Max"において、Behance(ビハンス:アドビが運営するクリエイターのためのソーシャルメディアプラットフォーム)において
NFT アート
を展示できる新機能を発表した。
デジタルアセットから NFT を新たに発行するには、ブロックチェーン技術を用いて Mint と呼ばれる作業を行う。
Behanceが最初に対応したブロックチェーン
イーサリアム(ETH)
が現在では、ソラナ(SOL) と ポリゴン(MATIC) で Mint したアートも展示できるよう機能拡張された。