2024年09月10日

ECBが二つの政策金利、マイナス金利時代のひずみ調整か、60bp下げ

 欧州中央銀行(ECB)は12日に開く政策委員会の会合で、6月に開始した
   金融緩和サイクル
で2回目の利下げを決定する見通し。
 その一方で、今回は若干テクニカルな工夫が加えられることになりそうだ。
  
 12日に開催される会合では、三つの政策金利の下限である中銀預金金利(現行3.75%)の0.25ポイント引き下げが決まると広く予想されている。 
 これは世界の主要中銀が政策金利を調整する際の標準的な変更幅だ。

 ただ、他の二つの政策金利、主要リファイナンス金利(定例オペの最低応札金利、現行4.25%)と、上限であるオーバーナイト資金の限界貸出金利(現行4.5%)は、あまり標準的でない60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の引き下げが見込まれる。

 この動きは大量の債券保有と長期貸し付けを縮小する過程で、金融システムを円滑に運営することを意図したもの。
 預金金利と貸出金利のギャップを調整し、バランスシート圧縮の下で市場の状況を確実にコントロールする狙いがある。

 三つの政策金利の非対称スプレッドは、ECBのマイナス金利時代の遺産といえる。
 デフレと闘い景気を刺激するため、政策担当者は中銀預金金利をマイナス圏に引き下げた。
 ただ、他の二つの政策金利には同じことができなかった。

 利下げ幅が予想通りなら、中銀預金金利は3.5%、主要リファイナンス金利は3.65%となり、両者のギャップは50bpから15bpに縮小する。
 なお、3.9%となる限界貸出金利と主要リファイナンス金利との差は25bpで変わらない。

 「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」の再投資縮小などでECBのバランスシート圧縮は、かなり速いペースで進んでいる。流動性はもはや潤沢に供給されず、新たな資産購入がない限り、金融機関は借り入れ再開が必要になる時期が訪れるだろう。市場のボラティリティーが副作用として表れる可能性が高い。

 政策担当者の主な目標は、そうした変動を最小限に抑えることにある。
 ECBから銀行が借り入れ可能な金利とECBに預け入れる
   金利とのスプレッドを縮小させること
は、翌日物金利の変動範囲を狭めることにもつながる。
   

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巡回怠るJR北海道がホームに客を一晩取り残し

 JR北海道は10日、千歳線北広島駅で9日未明に到着した
   最終列車
から降りた客が、約4時間にわたりホームに取り残されたと発表した。
 宿直勤務の駅員が歩いて確認するのを怠り、気付かずに改札口に通じる階段の扉を施錠したのが原因という。
 客にけがはなかった。
 同社によると、9日午前0時20分ごろ到着した札幌発千歳行き普通列車から数人が降車した。
 駅員は監視カメラ映像を見て全員が駅の外へ出たと思い込み、巡回せずに階段上部の扉を施錠した。
 午前4時20分ごろ、鍵を開けて客1人が取り残されていることに気付き、体調を確認の上、タクシーに案内した。
 同社は「各駅に巡回を改めて指導する」としている。

  
ひとこと
 会社のマニュアルに記載されていなければさらに問題だろうが、記載されていても実行していなかったのかどうかも明らかになっていない。
 これがテロリストであった場合には破壊行為等が行われる可能性もあり、問題の根は深そうだ。

  
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石破氏が政策発表 経済あっての財政、脱デフレへ重点投資で成長促進

 自民党の石破茂元幹事長は10日午後、総裁選に向けた政策集を発表した。
 「経済あっての財政」を掲げ、デフレ脱却に向けた重点投資によって成長を促すとともに、財政健全化も進める考えを明確にした。
  
 政策集では、「デフレ脱却最優先の経済・財政運営を行い、成長型経済の実現を図る」と明記した。
 成長分野に官民挙げて投資を行い、「持続可能な安定成長を実現しつつ、財政状況の改善を進める」と方針を示した。
 その上で、早急に経済対策を策定し、成長戦略をとりまとめ、実現に向けて取り組むとした。
 
 また、「生活必需品の価格上昇や住宅ローンなどの金利上昇への緊急対策」をはじめ、賃上げのための環境整備や価格転嫁対策を強化するための下請法の改正案提出など経済・物価対策も盛り込んだ。

 内閣官房に経済・金融・市場などの危機対応組織の創設も提唱。関係当局への基本方針の指示、日本銀行や海外政府との連携、内外の市場や個人投資家との丁寧なコミュニケーションについて官民連携して体制整備を行う。
  
 総裁選(12日告示、27日投開票)は、推薦人が必要となった1972年以降で最多の8人が立候補を表明する混戦模様となっている。
 石破氏は次の首相にふさわしい議員を問う報道各社の世論調査で小泉進次郎元環境相と1、2位を争っており、総裁選でも有力候補の1人とみられている。
  
 立候補を正式表明した8人の間では、経済財政政策も争点となっている。林芳正官房長官や河野太郎デジタル相は財政規律を重視する考えを示した。一方で、高市早苗経済安全保障担当相は先端技術を推進する「戦略的な財政出動」により、「税率を上げずとも税収を増やす強い経済を支援する」と表明。茂木敏充幹事長は「増税ゼロ」を掲げ、防衛増税などの停止を主張している。
 
 10日午後に政策を発表した林氏は、エネルギー価格が安定するまで物価高騰対策や最低賃金の引き上げを継続して行うことで家計を支えていく考えを表明。経済安全保障の観点での経済的威圧からの企業の保護、サプライチェーン(供給網)の強じん化や技術開発も進めるとした。
 脱炭素に向け、20兆円規模のGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債を活用したフルセットGX供給網の構築も掲げた。 

 一方、小林鷹之前経済安全保障担当相は同日発表した政策集に「経済が財政に優先」とした上で、年内に重点的な物価高対策のパッケージを策定する方針を示した。
 記者会見では、現行のエネルギー基本計画は再生可能エネルギーに偏り過ぎているとして抜本的に大胆に見直すと語った。安全性が確認された原子力発電所の再稼働、リプレース(建て替え)や新増設にも取り組む考えも示した。
 
  
ひとこと
 東京都市県の人口を最小でも半減し全国に散らばらせる取り組みが、天災地変に強い国家を作り上げる。また、連邦国家性への移行で総合的な経済発展を誘導すべきであり、どこぞの阿呆が欧米国際資本の意のままに規制緩和や行政改革、郵政民営化を展開したり、事業仕分け、民間最優先などの政策で外資ノイのままに企業再編が行われてきた実態お問題視すべきだろう。
 
    
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PE投資が急回復し、非常に魅力的な」利益に期待大

 米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントの欧州責任者
   ロバート・セミナラ氏
はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、プライベートエクイティー(PE、未公開株)のディールメーキングが急回復しつつあると指摘し、PE投資は「非常に魅力的な」リターンを生むとの見方を示した。
 「現在は買い手と売り手の期待が合致しており、取引の活発化が見られる」と続けた。
 また、「最近は非常に積極的に動いている。当社は欧州だけで20億ドル(約2860億円)を投じている」と述べた。
 
 セミナラ氏は世界的な企業合併・買収(M&A)環境の再始動が遅れ、企業は投資家への利益還元に苦戦している。
 ただ、金利が低下しないまでも安定していることを背景に、多くの人々は一段とPE投資に期待を寄せている。

 アポロがプライベートクレジットで引き続き力強く成長すると予想している。
 米インテルの投資プロジェクトへの投資など、こうした形での企業との提携の可能性について「プ 

  
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ゴールドマンが米国株の弱気相場入りの可能性は低いと予測

   クリスチャン・ミューラーグリスマン氏
が率いるチームは9日付のリポートで、米国で近く利下げが見込まれる中
   バリュエーションの上昇
   強弱が混在する成長見通し
   政策の不透明感
によって年末にかけて株価が下落する可能性はあるものの、「健全な民間セクター」が経済をある程度支えており、リセッションリスクはなお低く、全面的な弱気相場に突入する公算は小さいとの見方を示した。

 米国株が20%超の大幅安となる可能性は低いと予測した。
 さらに過去の分析によれば、S&P500種株価指数は1990年台以降、20%を超える値下がりを記録する頻度は減っている。ビジネスサイクルの長期化やマクロ経済のボラティリティーの低下、さらに中央銀行による「緩衝」が背景にあるという。
  
 スワップ動向によれば、トレーダーは2024年末までに100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を上回る利下げを想定している。

 また、資産配分についてはなおニュートラルを維持した上で、今後12カ月については「ややリスク志向」とした。
    
   
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「トランプ氏は危険」 退役米軍高官10人がハリス氏への支持を表明 

 退役した米軍高官10人は9日、米大統領選で民主党候補の
   ハリス米副大統領
を支持する書簡を公表した。
 ハリス氏が国家の最高司令官にふさわしい唯一の大統領候補であると支持する一方、共和党候補のトランプ前大統領については 「国家安全保障と民主主義上の危険だ」と批判した。
 
 書簡はハリス、トランプ両氏による10日夜の討論会を前に公表された。
 新しい選挙広告を打ち出したハリス氏陣営は、Xにこの書簡を投稿した。
 
 書簡では、トランプ氏には大統領在任中に
   軍人を侮辱するような発言
があったと指摘した。
 2021年の米軍のアフガニスタン撤退前には、タリバンとの交渉で5000人の戦闘員が戦場に復帰することを認めるなど
   「混乱したアプローチ」
があったことも明らかにした。
 一方、ハリス氏に関しては、ロシアによる
   ウクライナ侵攻
やインド太平洋地域での
   中国との緊張
など「危機管理的にも国際的にも、最も困難な国家安全保障上の課題に対応する能力を示してきた」と評価した。
 
 ハリス陣営は今回の選挙広告で
   ペンス前副大統領
などトランプ政権時の高官らがトランプ氏の2期目が実現すれば大きなリスクをもたらすと警告する内容の映像を公開した。
 
 10日には、アフガン撤退の際に死亡した米軍人13人を追悼するため、ジョンソン下院議長によるメダルの授与が予定されている。
 トランプ氏と共和党はアフガン撤退を巡ってハリス氏の責任を追及しようとしてきた。
 ただ、退役軍人らは書簡の中で、トランプ氏が「軍人を危険にさらした自身の役割に責任を取らなかった」として非難している。

    
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バーナード・ジョージ・デイビス(Bernard George Davis)  ジフ・デイビス社の設立者

バーナード・ジョージ・デイビス
        (Bernard George Davis)
   1906年12月11日 - 1972年8月28日
 米国のの出版経営者
 1927年にウィリアム・バーナード・ジフ・シニアとともに
   ジフ・デイビス社
を設立した。
 1957年にジフ・デイビス社の持ち株を
   ウィリアム・バーナード・ジフ・ジュニア
に売却し、デイビス出版社を設立した。
 デイビス・パブリケーションズは、1960年代か1970年代初頭にエラリー・クイーンズ・ミステリー・マガジンを買収した。
 その後、 1975年にアルフレッド・ヒッチコック・ミステリー・マガジン、1980年にアナログ・サイエンス・フィクション・アンド・ファクトを買収した。
 1977年には季刊誌としてアシモフ・サイエンス・フィクションを創刊した。
 4誌とも1992年にデル・マガジンズに売却された。
     
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中国経済の労働コスト指数は20年4月以来の低水準

 中国の長江商学院が中国企業300社の幹部を対象に実施した調査によれば、先月の労働コスト指数は20年4月以来の低水準となっている。
 習近平が率いる中国政府が新型コロナウイルス流行に伴う最初の
   ロックダウン
を実施し、それを緩和し始めた時期以来の低さとなったことを意味しており、権力掌握の独裁化の過程で競合する政敵を排除してお、共青同など有能なテクノクラートが押さ和えこまれた影響が露骨に出ているようだ。

 日本は1990年代からデフレスパイラルに陥った。不動産と金融市場のバブルがはじけた後に停滞期が長く続いた。
   
   
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シーメンスがNY州に時速322キロの高速鉄道向けの車両工場を新設

 ドイツのエンジニアリング大手
   シーメンス
は9日、ニューヨーク州北西部のホースヘッド工場に6000万ドル(約86億円)を投じ、労組組合員による生産体制を確立し、最高時速322キロメートルを超えるスピードで走行可能な北米仕様の高速鉄道車両
   アメリカン・パイオニア220
を製造する工場を新設する。

 製造開始は2026年を予定しており、フル稼働後は約300人を雇用するという。

 シーメンスは民間企業
   ブライトライン
が進める高速鉄道プロジェクトと契約しており、ラスベガスと南カリフォルニアを2時間で結ぶこのプロジェクト向けの生産からスタートする。

シーメンスの北米モビリティ事業を統括する
   マーク・ブンチャー最高経営責任者(CEO)
は「米国を高速鉄道が走ることはもはや夢ではなく、現実となった」と声明で述べた。

シーメンスは近年、米国での製造拠点を拡大している。
 昨年にはノースカロライナ州レキシントンに2億2000万ドルをかけて別の鉄道車両工場を着工したほか、テキサス州フォートワースでは電力インフラ関連工場の建設に1億5000万ドルを投じた。
  
    
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NY地区連銀の調査、米消費者インフレ期待ほぼ横ばい、返済遅延見通しが悪化

 米国消費者のインフレ期待はここ数カ月、短長期ともに安定しているが、債務返済を巡り不安が高まっている。

 ニューヨーク地区連銀が9日に発表した調査結果によると、米消費者の1年先のインフレ期待は8月に3%と、前月の2.97%からわずかに上昇した。
 また、5年先のインフレ期待は前月とほぼ同じ2.8%だった。
 一方、返済遅延見通しは3カ月連続で上昇し、2020年4月以来の高水準となった。
 
 インフレ率は2022年に40年ぶりの高水準に達して以来、大幅に低下しているが、依然として高い物価水準は米家計を圧迫している。
 雇用の減速と雇用機会の減少も、景気に対するマインドを形成している可能性が高い。

 しかし、今回の調査では、インフレ期待に不確実性が高まっていることが示された。回答者全体の意見の不一致を示す指標(25パーセンタイルと75パーセンタイルの差)は、すべての時間軸で拡大した。
  
 1年先の25パーセンタイルと75パーセンタイルのスプレッドは過去15カ月で最も拡大した。
  
  
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HSBCがコスト削減に向け「商業銀行と投資銀行の統合」を検討

 英国金融機関大手HSBCホールディングスは、ジョルジュ・エレデリー新最高経営責任者(CEO)が推進する全社的な重複役割の排除と経費削減の一環として商業銀行部門と投資銀行部門の統合を検討していることが、この事情に詳しい関係者が匿名を条件にメディアの取材で明らかにしたとの情報が市場に流れた。
 この情報によると、多国籍大企業を顧客としトレーディング部門と投資銀行部門を擁するグローバルバンキング&マーケット部門と、商業銀行部門が統合されることになるという。

 統合された部門はHSBC最大の収益源となり、全行の収入に年間約400億ドル(約5兆7500億円)貢献する見込みで、ウェルスバンキングやパーソナルバンキング業務を越えることになる。

 また、9万人以上の強力な労働力を結集し、あらゆる規模の企業とのビジネス獲得に乗り出すことになる。

 ただ、この統合に関する最終的な決定はまだ下されておらず、再編の詳細はまだ変更される可能性があると続けた。 一部の幹部は、統合により重複するバックオフィスの役割を排除できると考えているという。

 世界中の中央銀行が金利引き下げを開始し、世界的な大手金融機関の利ざやを脅かす動きがある中、HSBCは経費の抑制を検討してきた。
  
 エレデリーCEOは行員との最初の会合で、経費抑制に努めるようにと強調したという。
 同行はすでに採用のペースを落とし始めており、行員には出張や交際費についてより慎重になるよう求めている。
 
 元最高財務責任者(CFO)のエレデリー氏は、同業のシティグループスタンダードチャータードと同様に、中間管理職の層を取り除く計画も検討しているようだ。
   
   
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シーメンス(Siemens) Siemens AG  ドイツの多国籍テクノロジーコングロマリット

シーメンスAG(Siemens AG )
 ドイツの多国籍テクノロジーコングロマリットで
   産業オートメーション
   分散型エネルギーリソース
   鉄道輸送
   医療技術
分野で活動している。
 ヨーロッパ最大の工業製造会社であり、 産業オートメーションと産業ソフトウェアの世界的マーケットリーダーとしての地位を占めている。
 本社 ミュンヘン 
  
 収益 777億6,900万ユーロ(2023年)
 営業利益 112億100万ユーロ(2023年)
 純利益 85億2,900万ユーロ(2023年)
 総資産 1450億6700万ユーロ(2023年)
 総資本 530億6000万ユーロ(2023年)
 従業員数 320,000人(2023年)
 
 主要株主(普通株8億8100万株を発行)
 最大の単独株主は引き続き創立株主であるシーメンス家であり、6.9%の株式を保有している。
 一方、62%は機関投資家が保有しており、そのうち最大の保有者は世界最大の資産運用会社
   ブラックロック
の2つの部門である。
 さらに、株式の83.97%は公開流通株式とみなされているが、これにはカタール国(DIC Company Ltd.)の3.04%、ノルウェー政府年金基金の2.5%、シーメンスAG自体の3.04%などの戦略的投資家が含まれる。
 また、19%は個人投資家、13%は識別不能と見なされる投資家が保有している。
 国籍別に見ると、26%はドイツの投資家、21%は米国の投資家、続いて英国(11%)、フランス(8%)、スイス(8%)、その他多数(26%)となっている。

 複合企業シーメンスの起源は
   ヴェルナー・フォン・シーメンス
   ヨハン・ゲオルク・ハルスケ
がベルリンで共同設立した
   テレグラフェン・バウ・アンシュタルト・フォン・シーメンス&ハルスケ
にまで遡る。

 1966年、現在の企業は
   シーメンス&ハルスケ
   シーメンス・シュッケルト
   シーメンス・ライニガー・ヴェルケ
の3社の合併から生まれた。
 現在、ミュンヘンとベルリンに本社を置くシーメンスとその子会社は、世界中で約32万人を雇用し、2023年には世界で約780億ユーロの収益を報告した。
 DAXおよびユーロストックス50株価指数の構成銘柄で、2023年12月現在、シーメンスは時価総額でドイツ第2位の企業である。

 2023年現在、シーメンスの主要部門はデジタルインダストリーズ、スマートインフラストラクチャ、モビリティ、金融サービスであり、
   シーメンスモビリティ
は独立した事業体として運営されている。
 分社化される前にシーメンスの一部であった主要な事業部門には、半導体メーカーの
   インフィニオンテクノロジーズ(1999年)
   シーメンスモバイル(2005年)
   ギガセットコミュニケーションズ(2008年)
フォトニクス事業の
   オスラム(2013年)
   シーメンスヘルシナーズ(2017年)
   シーメンスエナジー(2020年) など
がある。

 シーメンス・ハルスケ社は、ヴェルナー・フォン・シーメンスとヨハン・ゲオルク・ハルスケによって1847年10月1日に設立された。
 彼らの発明は電信に基づいており
   モールス信号
の代わりに針を使って文字の並びを指し示した。
 当時はテレグラフェン・バウアンシュタルト・フォン・シーメンス・ハルスケと呼ばれていた。
 この会社は、10月12日に最初の工場を開設した。

 1848年、同社はヨーロッパ初の長距離電信線(ベルリンからフランクフルト・アム・マインまでの500km)を敷設した。
 1850年、創業者の弟
   カール・ヴィルヘルム・シーメンス
         (後のウィリアム・シーメンス卿)
がロンドンで同社の代表を務め始めた。
 ロンドンの代理店は1858年に支店となった。

 1850年代、同社はロシアでの長距離電信ネットワークの構築に携わった。
 1855年、もう一人の兄弟
   カール・ハインリッヒ・フォン・シーメンス
が率いる同社の支店がロシアのサンクトペテルブルクに開設された。
 1867年、シーメンスはロンドンからカルカッタまで11,000kmに及ぶ記念碑的なインド・ヨーロッパ語族電信線を完成させた。

 1867年、ヴェルナー・フォン・シーメンスは
   永久磁石を使わない発電機
の発明について説明した。 
 同様のシステムは
   アニョス・イェドリク
   チャールズ・ホイートストン
もそれぞれ独自に発明した。
 しかし、シーメンスがそのような装置を作った最初の会社となった。

 1881年、水車で駆動するシーメンスの交流発電機が、イギリスのゴダルミングの町で世界初の電気街灯に電力を供給するために使用された。
 同社は成長を続け、電車や電球へと事業を多角化した。

 1885年、シーメンスは発電機の1つを
   ジョージ・ウェスティングハウス
に売却した。
 この装置を使ってウェスティングハウスはペンシルベニア州ピッツバーグで交流ネットワークの実験を始めることができた。

 1887年、シーメンスは日本に最初の事務所を開設した。
 1890年、創業者は引退し、会社の経営を弟のカールと息子の
   アーノルドとヴィルヘルム
に任せた。
 1892年、シーメンスは市場の拡大に伴い、オーストラリアのタスマニア島でホバート 電気路面電車の建設を請け負った。
 このシステムは1893年に開通し、南半球で最初の完全な電気路面電車網となった。
 
 同社は第一次世界大戦中に
   飛行機
を製造し 1926 年にエルンスト・ウーデット向けに製造された。
 
 シーメンス・アンド・ハルスケ(S&H)は1897年に設立され、1903年にニュルンベルクの
   シュッカート社
と事業の一部を合併して
   シーメンス・シュッケルト
となった。
 1907年、シーメンス(シーメンス・アンド・ハルスケとシーメンス・シュッケルト)は34,324人の従業員を抱えた。
 当時、従業員数でドイツ帝国第7位の企業であった。
 1919年、S&H社と他の2社が共同でオスラム 電球会社を設立した。

 1920年代から1930年代にかけて、S&H社はラジオ、テレビ、電子顕微鏡の製造を開始した。
 1932 年に、ライニガー、ゲッバート & シャル(エアランゲン)、フェニックス AG (ルドルシュタット)、シーメンス ライニガー ヴァイファ mbH (ベルリン) が合併して、親会社の 3 番目の企業として
   シーメンス ライニガー ヴェルケ AG (SRW)
を設立した。
 1966 年に合併して現在のシーメンス AG が形成された。

 1920年代、シーメンスは当時のアイルランド自由国のシャノン川に世界初の設計による
   アードナクルシャ水力発電所
を建設した。
 同社は低賃金労働者の賃金を引き上げようとしたが
   クマン・ナ・ガドヒール政権
によって却下されたことでも知られている。

 シーメンス(当時はシーメンス・シュッケルト)はユダヤ人隔離政策で収容所に移送された人々を強制労働に従事させた。
 同社はアウシュビッツ強制収容所内に工場を所有していた。

 シーメンスはラーフェンスブリュック強制収容所に移送された女性たちを強制労働に従事させた。
 シーメンスの工場は収容所の前にあった。

 第二次世界大戦の最後の数年間、ベルリンやその他の主要都市の多数の工場が連合軍の空襲により破壊された。
 そのため、さらなる損失を防ぎ重要な戦争関連品や日用品の生産を継続させるため、製造は空襲の影響を受けない別の場所や地域に移転した。
 記録によると、シーメンスは 1944 年の終わりから 1945 年の初めにかけて、ほぼ 400 の代替または移転した製造工場を稼働させていた。

 1972年、シーメンスは、同社の風刺歴史書「Unsere Siemens-Welt 」を理由にドイツの風刺作家
   F.C.デリウス
を訴えた。
 裁判自体ではナチスドイツにおけるシーメンスの歴史を公表したものの、本の大半は虚偽の主張を含んでいると判断された。
 同社はナチスの強制収容所や絶滅収容所に電気部品を供給していた。
 工場の労働条件は劣悪で、栄養失調や死亡が日常茶飯事だった。
 また、研究により、収容所の工場はSSと同社の役員、時には高官が協力して創設、運営、供給されていたことが明らかになっている。

 戦後、1950年代、バイエルン州の新しい拠点から、S&Hはコンピュータ、半導体装置、洗濯機、ペースメーカーの製造を開始した。
 1966年、シーメンス&ハルスケ(S&H、1847年設立)、シーメンス・シュッカートヴェルケ(SSW、1903年設立)、シーメンス・ライニガーヴェルケ(SRW、1932年設立)が合併してシーメンスAGが設立された。
 1969年、シーメンスはAEGと原子力事業を統合して
   クラフトヴェルク・ユニオン
を設立した。

 シーメンスのの最初のデジタル電話交換機は1980年に生産され、1988年にシーメンスとGECは英国の防衛技術会社
   プレッシー
を買収した。
 プレッシーの株式は分割され、シーメンスは航空電子工学、レーダー、交通管制事業を引き継ぎ、シーメンスプレッシーとなった。

 1977年、Advanced Micro Devices (AMD) は、技術的専門知識を強化し、米国市場に参入したいと考えていたシーメンスと合弁事業を開始した。
 シーメンスはAMDの株式の20%を購入し、同社に製品ラインを増やすための資金を注入した。
 両社はまた、シリコンバレーとドイツに
   Advanced Micro Computers (AMC)
を共同で設立し、AMDがマイクロコンピュータの開発と製造分野に参入することを可能にした。
 特にAMDのセカンドソースであるZilog Z8000マイクロプロセッサをベースにした。

 両社のAdvanced Micro Computersに対するビジョンが異なったため、AMDは1979年にシーメンスのアメリカ部門の株式を買収した。
 AMDは、セカンドソースのIntel x86マイクロプロセッサの製造に重点を切り替えた後、1981年後半にAdvanced Micro Computersを閉鎖した。

 1985年、シーメンスは電気制御機器を供給する合弁会社
   シーメンス・アリス(1978年設立)
におけるアリス・チャルマーズの株式を買収した。
 同社はシーメンスのエネルギー・オートメーション部門に統合された。

 1987年、シーメンスは原子力事業を統括する部門である
   クラフトヴェルク・ユニオン
を再統合した。

 1987年、シーメンスはノルウェー政府から
   コングスベルグ・オフショア
を買収し、 1993年に
   FMCテクノロジーズ
に売却した。

 1989年、シーメンスは石油会社
   ARCO
が所有する業界の先駆者ARCOソーラーから3つの太陽電池モジュール製造工場を含む太陽光発電事業を買収した。

 1991年、シーメンスは
   ニクスドルフ・コンピュータ社
を買収し、パーソナルコンピュータの製造を目的として社名を
   シーメンス・ニクスドルフ・インフォメーションズシステム社
に変更した。

 1991年10月、シーメンスはテネシー州ジョンソンシティに拠点を置く
   テキサスインスツルメンツ(TI)
の産業システム部門を買収した。
 この部門はシーメンスインダストリアルオートメーションとして組織された。
 その後、シーメンスエナジーアンドオートメーション社に吸収された。

 1992年、シーメンスは
   IBM
のROLMの半分を買収し
   SiemensROLM Communications
を設立し、最終的には1990年代後半にROLMという名前を削除した。

 1993年から1994年にかけて、シンガポールの大量高速輸送システム(MRT)向けのシーメンスC651電車がオーストリアで製造された。

 1997年、シーメンスは
   シーメンス・プレッシー
の防衛部門を
   ブリティッシュ・エアロスペース(BAe)
とドイツの航空宇宙企業
   ダイムラークライスラー・エアロスペースに
売却することに合意した。
 BAeとDASAはそれぞれイギリスとドイツの部門を買収した。

 1997年10月、シーメンス ファイナンシャル サービス(SFS) は、シーメンス社内の
   資金調達問題
に関する専門センターおよび財務リスクの管理者として機能するために設立された。

 1998年、シーメンスはCBSコーポレーションから
   ウェスティングハウス・パワー・ジェネレーション
を15億ドル以上で買収し、世界の発電市場でシーメンスを第3位から第2位に押し上げた。

 1999年、シーメンスの半導体事業を
   インフィニオンテクノロジーズ
という新会社に分社化した。
 その電気機械部品事業は法的に独立した会社、シーメンスエレクトロメカニカルコンポーネントGmbH&Co.KGに転換した
 なお、この年後半にタイコインターナショナル社に約11億ドルで売却された。
 同年、シーメンス・ニクスドルフ・インフォメーションシステムAGは
   富士通シーメンス・コンピューターズ
の一部となり、同社のリテールバンキング技術グループはウィンコル・ニクスドルフとなった。

 2000年にシェアードメディカルシステムズコーポレーションはシーメンスのメディカルエンジニアリンググループに買収され 、最終的にシーメンスメディカルソリューションズの一部となった。
 また、2000年には
   アテックス・マンネスマン
がシーメンスに買収され、2001年4月に売却が完了した。
 取得した株式の50%が買収され、マンネスマンVDO AGは
   シーメンス・オートモーティブ
に合併させシーメンスVDOオートモーティブAGが設立された。
 また、アテックス・マンネスマン・デマティック・システムはシーメンス・プロダクション・アンド・ロジスティクスに合併して
   シーメンス・デマティックAG
が設立された。

 マンネスマン・デマーグ・デラバルはシーメンスAGの発電部門に合併した。
 同時に、同社の他の部分は
   ロバート・ボッシュGmbH
に買収された。
 また、米国ペンシルバニア州スプリングハウスの
   ムーア・プロダクツ社
はシーメンス・エナジー・アンド・オートメーション社に買収された。

 2001年、ブラジルの
   ケムテックグループ
はシーメンスグループに統合された。
 産業プロセスの最適化、コンサルティング、その他のエンジニアリングサービスを提供している。

 また2001年には、シーメンスはフランスの
   アレバSA
と両社の原子力事業の大部分を統合し、合弁会社
   フラマトム
を設立した。 

 2002年にシーメンスは事業活動の一部をコールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー(KKR)に売却した。
 その売却パッケージには計測事業も含まれていた。

 2002年、シーメンスは2001年にシェルとE.ONと設立した合弁会社の株式をシェルに売却し、太陽光発電産業から撤退した。
 2003年、シーメンスは
   ダンフォス
のフロー部門を買収し、オートメーション&ドライブ部門に組み入れた。
 また、2003年にシーメンスはIndXソフトウェア(リアルタイムデータ編成および表示)を買収した。
 同年、無関係な展開として、シーメンスはカブールのオフィスを再開した。
 また、2003年には、小型、中型、産業用ガスタービンの製造業者である
   アルストムインダストリアルタービン
を11億ユーロで買収することに合意した。

 2003年2月11日、シーメンスは、春夏と秋冬コレクションとして新デバイスを発売し、毎年Xelibriラインを展開し、携帯電話の棚寿命を短縮することを計画した。
 2003年3月6日、同社はサンノゼにオフィスを開設しました。

 2003年3月7日、同社は中国本土の携帯電話市場の10%を獲得する計画を発表した。
 2003年3月18日、同社はXelibriファッションフォンシリーズの最新モデルを発表した。

 2004年、デンマークのブランデにある風力エネルギー会社
   ボーナス・エナジー
を買収して、シーメンス風力発電部門を設立した。
 また、2004年、シーメンスは韓国企業
   ダサン・ネットワークス(ブロードバンドネットワーク機器)
に投資し、約40%の株式を取得した。
 その後、ノキア・シーメンスは2008年に株式を売却した。

 2004年、シーメンスは
   フォトスキャン(英国、CCTVシステム)
ヴェオリアから
   USフィルター・コーポレーション(水および廃水処理技術/ソリューション)
クライスラーから
   ハンツビル・エレクトロニクス・コーポレーション(自動車エレクトロニクス)
   チャントリー・ネットワークス(WLAN機器)
を買収した。

 2005年、シーメンスはシーメンスのモバイル製造事業を
   ベンキュー
に売却し、ベンキュー・シーメンス部門を設立した。
 また、2005年にシーメンスはドイツ(ボホルト)の
   フレンダー・ホールディング社(ギア/産業用ドライブ)
   ベワトールAB(ビルセキュリティシステム)
   ホイーラブレーター・エア・ポリューション・コントロール社
               (産業および発電所の粉塵制御システム)
   ANウィンデナギー社
や風力エネルギー会社Power Technologies Inc. (スケネクタディ、米国、エネルギー産業ソフトウェアおよびトレーニング)、 CTI Molecular Imaging (陽電子放出断層撮影および分子イメージングシステム)、Myrio ( IPTVシステム)、Shaw Power Technologies International Ltd (英国/米国、電気工学コンサルティング、Shaw Groupから買収)、 Transmitton (アシュビー・デ・ラ・ゾウチ、英国、鉄道およびその他の産業制御および資産管理)を買収した。 

 2005年初頭、シーメンスは多国籍贈収賄スキャンダルに巻き込まれた。
 さまざまな事件の中には、シーメンスのギリシャ贈収賄スキャンダルがあった。
 同社は2004年の夏季オリンピック中にギリシャ政府関係者と取引をしたと非難された。
 この事件は他の事件とともに、イタリア、リヒテンシュタイン、スイスの検察官によって開始されたドイツでの法的調査を引き起こした。
 その後、2006年に同社の米国証券取引所での上場中の活動により米国での調査が続いた。

 調査の結果、シーメンスは契約獲得のために役人に賄賂を贈る習慣があり、複数の国で賄賂に約13億ドルを費やした。
 これを隠すために別の会計記録を保持していたことが判明した。

 調査の後、シーメンスは2008年12月に和解し、当時史上最大の賄賂罰金として米国とドイツに合計約16億ドルを支払った。
 さらに、同社は新しい社内コンプライアンス手順の開発と維持に10億ドルを投資することを要求された。
 シーメンスは
   海外腐敗行為防止法の会計規定に違反
したことを認め、バングラデシュとベネズエラの子会社は賄賂を支払ったことを認めた。
 当初は最高50億ドルの罰金が予想されていたが、シーメンスの捜査官への協力、米国政権の交代、およびシーメンスが米国の軍事請負業者であるという理由で、最終的な金額は大幅に下回った。

 支払額には、4億5000万ドルの罰金と罰則、および米国での利益3億5000万ドルの没収が含まれていた。
 シーメンスはコンプライアンス体制も刷新し、米国の弁護士である
   ピーター・Y・ゾルムセン
をコンプライアンス担当の独立取締役に任命し、元ドイツ財務大臣の
   テオ・ヴァイゲル
から監督を受け入れた。

 シーメンスは、包括的な汚職防止ハンドブック、デューデリジェンスとコンプライアンスのためのオンラインツール、従業員向けの機密通信チャネル、企業懲戒委員会など、新しい汚職防止方針を実施した。
 このプロセスには、世界中で約500人のフルタイムのコンプライアンス担当者の雇用が含まれていた。

 シーメンスの賄賂文化は新しいものではなく、シーメンスとヴィッカースの両社が
   日本海軍当局への賄賂スキャンダル
に巻き込まれた1914年にまで遡る。
 同社は第二次世界大戦後、発展途上国での事業拡大を目指して賄賂に頼った。
 1999年まで、ドイツでは
   賄賂は税控除の対象となる事業費
として扱われてお​り、外国公務員への賄賂にはもともと罰則がなかった。
 しかし、1999年の
   OECD賄賂防止条約
の施行に伴い、シーメンスは賄賂を隠蔽するためにオフショア口座を使い始めた。

 捜査中、通信部門の中堅幹部でキープレーヤーの
   ラインハルト・シーカチェク
が重要な証拠を提出した。
 彼は、年間4000万〜5000万ドルの世界的な賄賂予算を管理していたことを明らかにした。
 また、政府関係者に金銭を渡すために利用されていた同社の全世界の2700社の請負業者に関する情報を提供した。

 注目すべき賄賂の事例には、アルゼンチン、イスラエル、ベネズエラ、中国、ナイジェリア、ロシアで大規模な契約を獲得するために多額の支払いが行われたことなどがある。
 この捜査の結果、複数の政府との訴追と和解が起こり、シーメンスの従業員や賄賂を受け取った人々に対する法的措置も行われた。
 ここで注目すべき事例としては、2007年にイタリアのエネルギー会社エネルに賄賂を贈ったとして元幹部2人が有罪判決を受けたことがある。
 2012年にギリシャの賄賂スキャンダルをめぐってギリシャ政府と3億3000万ユーロで和解したこと、2014年にシーメンスの元幹部アンドレス・トルッペルがアルゼンチン政府関係者に約1億ドルの賄賂を流用したとして有罪を認めたことなどがある。

 シーメンスは、ロシアの関連会社の不正行為により世界銀行からも報復を受けた。
 2009年、シーメンスは2年間世界銀行のプロジェクトに入札しないこと、および15年間にわたる汚職防止活動を支援するために世界銀行に「シーメンス・インテグリティ・イニシアチブ」として知られる1億ドルの基金を設立することに合意した。

 その他の多額の罰金としては、2010年にナイジェリア政府に支払った70億ナイラ(4,657万米ドル)や、証券詐欺の容疑を回避するために2014年にイスラエルで支払った4,270万米ドルの罰金などがある。
 
 2006年、シーメンスは
   バイエル・ダイアグノスティクス
を買収し、同社は2007年1月1日に
   メディカル・ソリューションズ・ダイアグノスティクス部門
に編入させた。
 また、2006年には、シーメンスはControlotron(ニューヨーク)(超音波流量計)を買収した。

 2006年には、ダイアグノスティック・プロダクツ・コーポレーション、カドン・エレクトロ・メカニカル・サービス社(現ターボケア・カナダ社)、キューンレ・コップ・アンド・カウシュAG、オプト・コントロール社、ビスタスケープ・セキュリティ・システムズ社を買収した。

 2007年1月、シーメンスは、ABB、アルストム、富士電機、日立製作所、 AEパワーシステムズ、三菱電機、シュナイダー、アレバ、東芝、 VAテックを含む11社によるカルテルを通じて
   EUの電力市場で価格操作
を行ったとして、欧州委員会から
   3億9600万ユーロの罰金
を科せられた。

 委員会によると、1988年から2004年の間に、これらの企業は調達契約の入札を不正に操作し、価格を固定した。
 プロジェクトを相互に割り当て、市場を共有し、商業的に重要な機密情報を交換した。。
 シーメンスは、この行為を主導したとして、総額の半分以上にあたる3億9600万ユーロという最高額の罰金を科せられた。
 
 2007年3月、シーメンスの取締役が一時逮捕され、労働組合IGメタルと競合する企業寄りの労働組合AUBに違法に資金提供したとして告発された。同氏は保釈された。
 AUBとシーメンスの事務所が捜索されたがシーメンスは不正行為を否定した。

 同年4月、シーメンスの固定ネットワーク、モバイルネットワーク、キャリアサービス部門がノキアのネットワークビジネスグループと50/50の合弁で合併し、ノキアシーメンスネットワークスという固定およびモバイルネットワーク会社が設立された。

 ノキアはシーメンスに対する贈賄捜査のため合併を延期した。
 2007年10月、ミュンヘンの裁判所は、同社が契約の授与と引き換えにリビア、ロシア、ナイジェリアの公務員に賄賂を贈っていたことを認定した。支払いの受取人として名指しされた人物の中には、ナイジェリアの元通信大臣4名が含まれていた。
 同社は賄賂を支払ったことを認め、2億100万ユーロの罰金を支払うことに同意した。
 2007年12月、ナイジェリア政府は賄賂の発覚によりシーメンスとの契約を解除した。

 また、2007 年にシーメンスは、Vai Ingdesi Automation (アルゼンチン、産業オートメーション)、UGS Corp.、Dade Behring、Sidelco (カナダ、ケベック州)、S/D Engineers Inc.、および Gesellschaft für Systemforschung und Dienstleistungen im Gesundheitswesen mbH (GSD) を買収しました。

 2008年7月、シーメンスAGはゴアズグループとエンタープライズコミュニケーション事業の合弁会社を設立した。
 2013年にユニファイに改名した。
 ゴアズグループが過半数の51%の株式を保有し、シーメンスAGが少数株主として49%を保有している。

 2008年8月、シーメンス・プロジェクト・ベンチャーズは
   アラバ・パワー・カンパニー
に1500万ドルを投資した。
 同月発表されたプレスリリースで、シーメンスAGの社長兼CEOであるペーター・レッシャーは「この投資は当社のグリーンで持続可能な技術をさらに強化するための重要な一歩です」と述べた。
 シーメンスは現在、同社の株式の40%を保有している。

 2009年1月、シーメンスは経営上の影響力が限られているとして
   フラマトム
の株式34%を売却した。
 3月にはロシアのロスアトムと原子力事業に参入する提携を結んだ。 

 2009 年 4 月、富士通がシーメンスの株式を買収した結果、富士通シーメンス コンピューターズは
   富士通テクノロジー ソリューションズ
になった。

 2009年6月、ノキア・シーメンスがイランの通信会社に
   通信傍受・監視機能(「合法的傍受」として知られる機能)
を備えた通信機器を供給していたというニュースが報じられた。
 この機器は2009年の
   イラン選挙抗議活動の鎮圧
に使用されたと考えられており、欧州議会を含む同社への批判につながった。
 ノキア・シーメンスはその後、通話監視事業を売却し、イランでの活動を縮小した。

 2009年10月、シーメンスは太陽熱発電事業を営むイスラエル企業
   ソレル・ソーラー・システムズ
を4億1800万ドルで買収する契約を締結した。

 2010年12月、シーメンスはITソリューションおよびサービス子会社を
   アトス
に8億5000万ユーロで売却することに合意した。
 この取引の一環として、シーメンスは拡大後のアトスの株式15%を取得し、最低5年間保有することに合意した。
 さらに、シーメンスは7年間で約55億ユーロ相当のアウトソーシング契約を締結した。
 アトスはシーメンスにマネージドサービスとシステム統合を提供する。
 これと同時に、ドイツのヴェーグマングループは装甲車両メーカーの
   クラウス・マッファイ・ヴェーグマンGmbH
のシーメンスの株式49%を取得し、政府当局の承認を待ってヴェーグマンをKMWの唯一の株主とした。
 
 2011年3月、オスラムを秋に株式市場に上場することが決定された。
 CEOのペーター・レッシャー氏は、シーメンスは、すでに技術的および経営的観点から独立している同社への長期的な関心を維持するつもりであると述べた。

 2011年9月、ドイツの既存の原子力発電所17基すべての建設を担当していたシーメンスは
   福島原発事故
とそれに続くドイツのエネルギー政策の変更を受けて、原子力部門から撤退すると発表した。
 最高経営責任者のペーター・レッシャーは、ドイツ政府が計画している再生可能エネルギー技術への移行計画「エナギーヴェンデ」を支持しており、これを「世紀のプロジェクト」と呼び、2020年までに再生可能エネルギー源の35%を達成するというベルリンの目標は実現可能だと述べた。 

 2012年11月、シーメンスは
   インベンシス
の鉄道部門を17億ポンドで買収した。
 同月、シーメンスは非公開企業であるLMSインターナショナルNVを買収した。

 2013年8月、ノキアはシーメンスAGを買収し
   ノキア・シーメンス・ネットワークス
の株式を100%取得し、シーメンスの通信分野における役割を終えた。

 2013年8月、シーメンスは石油会社
   サウジアラムコ
から9億6,680万ドルの発電所部品の受注を獲得した。
 これは同社がサウジ企業から受注した中で最大の入札であった。

 2014年、シーメンスは、英国の風力発電が急速に拡大する中、イングランドのポールに
   洋上風力タービン
を2億6400万ドルをかけて製造する施設を建設する計画を発表した。
 シーメンスがイングランド東海岸のハル地域を選んだのは、今後数年間に計画されている他の大規模な洋上プロジェクトに近いためである。
 新工場は、2016年にタービンのローターブレードの生産を開始する予定としていた。
 この工場と、近くのグリーンポートハルにある関連サービスセンターでは、約1,000人の従業員を雇用した。
 この施設は、英国の市場に電力を供給する。
 イギリス政府の統計によると、英国の大手発電業者が風力で発電する電力は2013年に約38%増加し、総電力の約6%を占めている。
 また、2020年までに英国の風力発電能力を少なくとも3倍の14ギガワットに増やす計画もあった。

 2014年5月、英国企業
   ロールス・ロイス
はガスタービンとコンプレッサーのエネルギー事業をシーメンスに10億ポンドで売却することに合意した。
 2014年6月、シーメンスと
   三菱重工業
は、アルストムの経営難に陥っているエネルギー・輸送事業(機関車、蒸気タービン、航空機エンジン)の買収を競う合弁会社を設立すると発表した。
 ゼネラル・エレクトリック(GE)による対抗入札は、フランスの失業率が10%を超え、一部の有権者が極右に傾きつつある現状において、アルストムの事業を「極めて重要な国益」と見なすフランス政府筋から批判された。

 2015年、シーメンスは米国の油田機器メーカーである
   ドレッサーランドグループ
を76億ドルで買収した。

 2016年11月、シーメンスはEDA企業
   メンターグラフィックス社
を45億ドルで買収した。

 2017年11月、米国司法省は、シーメンスAGを含む企業へのハッキングの罪で、広州博宇情報技術有限公司の中国人従業員3人を起訴した。
 2017年12月、シーメンスは医療技術会社
   ファストトラックダイアグノスティクス
を非公開の金額で買収した。

 2018年8月、シーメンスは高速アプリケーション開発会社
   メンディクス
を6億ユーロの現金で買収した。

 2018年5月、シーメンスはJ2イノベーションズを非公開の金額で買収した。
 2018年5月、シーメンスはEnlighted , Inc.を非公開の金額で買収した。

 2019年9月、シーメンスとオラスコム建設はイラク政府と2つの発電所を再建する契約を締結した。
 これは同社がイラクで将来的に取引を行うための基盤となると考えられている。

 2019年から2020年にかけて、シーメンスは、クイーンズランド州(オーストラリア)にある物議を醸している
   アダニ ・カーマイケル炭鉱
を支援する主要なエンジニアリング企業として特定された。

 2020年1月、シーメンスはインドの配電装置メーカー
   C&Sエレクトリックの
株式資本の99%を2億6,700万ユーロ(2,100億ルピー)で買収する契約を締結した。
 この買収は2020年8月にインド競争委員会によって承認された。

 2020年4月、シーメンスはインドの建築ソリューションプロバイダーである
   iMetrex Technologies
の過半数株式の77%を非公開の金額で買収した。

 2020年4月、シーメンスのエネルギー部門から独立した会社として
   シーメンスエナジー
が設立された。
 2020年8月、シーメンスヘルシナーズAGは、米国のがん治療機器およびソフトウェア会社
   バリアンメディカルシステムズ
を164億ドルで全額株式交換により買収する計画を発表した。

 2021年2月、ローランド・ブッシュがジョー・ケーザーに代わりCEOに就任した。
 2021年10月、シーメンスはビルIoTソフトウェアおよびハードウェア企業
   Wattsense
を非公開の金額で買収した。
 2022年5月、シーメンスは、ウクライナに対する侵略戦争が続いているため、170年ぶりにロシアでの事業を停止した。
 また、ロシア政府との一切の関わりを断つことを決定した。
 この決定は、同国で同社に勤務する約3,000人の従業員に影響を与えた。
 この発表には財務諸表が添付されており、シーメンスはロシアに対する制裁の直接的な結果として、第2四半期に
   約6億2,500万ドルの損失
を計上した。

 2022年7月、シーメンスは航空宇宙シミュレーション企業
   ZONA Technology
を買収した。

 2022年10月、シーメンスはスウェーデンの電気商用車メーカー
   ボルタ・トラック
との戦略的提携を発表し、車両の電動化への移行を簡素化するためにeモビリティ充電インフラの提供と拡大を目指した。

 2022年10月、シーメンスは、ギリシャとキプロスの電力網をイスラエルとヨルダン川西岸の違法入植地に接続する計画のユーロアジア相互接続ケーブルの契約を獲得したため、ボイコット、投資撤退、制裁運動の標的となった。

 シーメンスは2023年6月、製造能力の拡大に向けて20億ユーロの世界投資計画を発表した。
 これには、シンガポールの新ハイテク工場への2億ユーロ、中国成都の施設拡張への1億4000万ユーロの具体的なコミットメントが含まれている。
 この戦略は、シンガポールを東南アジアへの主要輸出拠点として活用することで、アジア全体での多様化を促進し、中国市場の成長を促進し、単一国への依存を減らすことを目指している。
 これと同時に、シーメンスはドイツでの新施設と工場の開発に10億ユーロを割り当てる予定で、これにはエアランゲンの工場の拡張と近代化のための5億ユーロが含まれ、2029年までに生産能力を60%向上させると見込まれている。
 これは、中国への投資に関連する経済的および安全保障上のリスクに関するドイツ政府の懸念と一致している。

 ドイツの追加投資は、フォルヒハイムの新半導体工場とエアランゲンのシーメンスヘルスケアのトレーニングセンターに資金を提供する。

 2023年8月、シーメンスがフェルトホーフェンに本社を置くeバス、eトラック、乗用車用急速充電技術企業であるヘリオックスを買収する契約を締結したことを発表した。 

 2024年3月、シーメンスは英国ウィルトシャー州に1億ポンドをかけて新たなデジタルエンジニアリング施設を建設すると発表した。
 チッペナムにある既存の鉄道インフラ工場を新しい研究開発センターに置き換えることを目的としており、2026年までに開設予定である。
 この動きはジェレミー・ハント財務大臣 によって「英国の製造業にとって大きな後押し」として支持されている。 

 2024年3月、シーメンスがebm-papstの産業用ドライブテクノロジー(IDT)部門を非公開の金額で買収することに合意したことを発表した。
  
 2023年現在、シーメンスの主要部門はデジタルインダストリーズ、スマートインフラストラクチャー、シーメンスモビリティ、シーメ​​ンスヘルシニアーズ、シーメンスファイナンシャルサービスであり、シーメンスヘルシニアーズとシーメンスモビリティは独立した事業体として運営されている。
 シーメンスは、市場固有の製品を提供する「ポートフォリオ企業」も多数運営している。
 2020年にエネルギー事業は別のシーメンスエナジーAGに分社化されたが、シーメンスは2023年12月時点で17.1%の株式を保有している。
 同社のその他の事業部門には、研究開発のシーメンステクノロジー(T) 、企業不動産管理のシーメンスリアルエステート(SRE)、コンサルティングサービスのシーメンスアドバンタ(経営コンサルティング部門のシーメンスアドバンタコンサルティングを含む)、ベンチャーキャピタルファンドのnext47 、共有サービスユニットのシーメンスグローバルビジネスサービス(GBS)がある。
  
   
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ドラギ前ECB総裁がEUは存続の危機にあり、巨額投資と共同債が必要と主張?

 ドラギ前欧州中央銀行(ECB)総裁は、欧州連合(EU)が競争力を強化して
   中国や米国に対抗
できるよう投資を年8000億ユーロ(約127兆円)増やすことを提言した。
 また、共同債の定期発行への同意も求めた。

 これに対し、そのようなアプローチはEUの構造的な問題を解決しないと、ドイツの
   リントナー財務相
はすぐさま反論した。

 リントナー氏はntvに「ドラギ氏の債務に対するアプローチに極めて懐疑的だ」と述べ、「簡潔に要約するなら、ドイツが他国のために支払うべきだということだ。それが基本計画にはなり得ない」と続けた。

 ドラギ氏は、EUの競争力に関する待望の報告書の中で、先端技術の開発促進、気候変動目標の達成に向けた計画の策定、重要原材料の防衛と安全保障の強化をEUに促し、これらを「存続に関わる課題」と位置付けた。

 欧州が競争力を維持できるよう経済を変革するためには、域内総生産(GDP)の約5%に相当する投資拡大が必要だと、ドラギ氏は主張。この水準に上る投資は、過去50年余りの間見られていない。

 EUの経済成長ペースは米国を「持続的に下回っている」と同氏は警告し、東西の競争相手と張り合えるほどのスピードで経済のデジタル化と脱炭素化をEUが進めることができるのか、疑問を呈した。
   
   
posted by manekineco at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする