イギリス連邦加盟国であるカナダ政府は米国に対する
報復関税の発動
を用意し、関税の応酬にエスカレートさせることも辞さない姿勢が明らかになっている。
劇場型政治家のトランプ米大統領はカナダ製品に25%の関税を賦課すると脅し、52番目の州に加えるなどという暴走発言が目立つなか、カナダはその矛先を米国民に向ける狙いが強く出た形だ。
トランプ氏の脅しが実行に移されれば、カナダは米国への依存を見直す必要性を迫られ、当然、イギリス連邦加盟国にも波及していきそうな雲行きだ。
ウィルキンソン天然資源相は1月31日、「われわれは行動で応じる。少なくとも最初はそうだ。わが国で大量に販売されている米国製品に関税を賦課することに重点を置き、特にカナダ製で容易に代替がきく品目に焦点を絞る」とインタビューで述べた。
その数時間前にトランプ米大統領はカナダとメキシコ、中国への関税計画をあらためて表明している。
こうした事情に詳しい複数の関係者によると、カナダ政府当局者は関税が2月4日に発動されると、米国政府当局者から1日に通知を受けていることを明らかにした。
トランプ米大統領は1月31日、鉄鋼、アルミニウム、石油・ガス、医薬品、半導体など幅広い輸入品に今後数カ月のうちに関税を課すと表明し、見せしめ的な要素で交渉を有利に運ぶため意図的に強く牽制して譲歩を引き出すように画策し、貿易相手国への関税の脅しを強めた格好だ。
規制緩和に関する大統領令に署名した際の今回の発言でトランプ氏は、「われわれは、あらゆる形態の医薬品や薬剤を対象とする。そして、非常に重要な鉄鋼も対象とし、さらに半導体や半導体関連製品も対象にする」と発言した。
「石油とガスにも関税を課すつもりだ。それはもうすぐ実現するだろう。2月18日ごろになると思う」と語った。
トランプ氏は米国の国境を越えて
合成麻薬フェンタニル
などの違法薬物や不法移民が流入することを防ぐことができなかったために、カナダとメキシコ、中国に関税が課されるとの見方を示し、より差し迫った関税を未然に防ぐために3国ができることは何もないと述べた。
さらに、欧州連合(EU)に対しても「何らかの非常に重要な」関税を賦課する意向を示すなど、暴走的な状況は米国経済を孤立化させかねない博打的な動きの様相だ。
大統領執務室からのトランプ氏の発言は、同氏がこれまでたびたび言及してきた他の対象、例えばEUや米国が競合するコモディティーや技術分野への関税拡大をすでに視野に入れていることを示しているが、国際資本や米国のWASPなどの利害とは一致しない部分が多くあり、トランプ政権内部での対立が激化し兼ねない対立軸の種を撒き散らしている。
トランプ氏の発言を受けて31日の取引時間終盤に原油先物が上昇した。
米東部時間午後4時(日本時間2月1日午前6時)時点のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は
1バレル=73.33ドル
となった。
なお、清算値は72.53ドルだ。
銅先物価格は一時、この日の下げの一部を取り戻したが、方向性は不明だ。
トランプ氏はまた、今後課される関税は
既存の関税に上乗せされること
を明らかにした。
一方で石油に課される税率を引き下げる可能性も示唆しており、同率であれば何も変わらないことになる。
トランプ氏はカナダとメキシコに対して25%、中国に対して10%の関税を課すと言明しているが、米国代でのインフレ感が大きくなり、トランプ支持の中西部、南部の白人貧困層を直撃しか寝ず、大きな反発が広がる可能性も出てきそうだ。
選挙戦における公約の実施だが、「おそらくその関税を少し引き下げることになるだろう。10%まで引き下げるつもりだ」とトランプ氏はコメントしており、既に公約を後退させた形だ。
トランプ氏はそれまで、サプライチェーン(供給網)の再構築と製造業の米国内への回帰を促すため、半導体、医薬品、鉄鋼、アルミニウム、銅を対象にセクター別の関税を課すことを公約し、政治的な圧力を強めてきたが、もともと、いつ発動させるかは明らかにしていなかった。
31日の発言はトランプ氏がこれらの課税を迅速に進める意向であることを示しているが、相手国からの強い反発が起きれば、欧米国際資本やWASPの懸念気に直接的な被害が発生しかねず、ドルや米国債権の暴落を引き起こし、米国経済が破綻しかねないだろう。
トランプ氏は「関税はインフレを引き起こさない」とも発言したが、根拠は明確にすらしておらず夢でも見ているのだろう。
物価が上昇すれば、責任転嫁に商品等を取り扱う企業を袋叩きにする思考もあり、今のところは、関税が物価上昇を招くというエコノミストの警告を一蹴した。
トランプ大統領は米国へ流入する
不法移民
違法薬物を
取り締まっていないという理由で、貿易相手国に関税を課すと脅してきたが関税を巡る動向は金融市場で注目され、ビジネス界や政界の指導者らも注意深く見守っている。
実際、安価な労働力を確保できなければ米国の農業や建設業の人手が消えてしまうことになる。
農地で生産物が収穫できずに放置され、建築中の建物は建設が遅々として進まず、新規の建設も行われなくなる可能性が高い。
31日の外国為替市場ではレビット大統領報道官の発言を受けてドルが上昇した。
円は対ドルで下げ幅を拡大し、一時155円22銭を付けた。
トランプ大統領の発言にも市場はドル買いで反応した。
レビット報道官は関税が実際に2月1日に開始されるのかという質問に対し、同日で発動されると言明した。
「もし大統領がそれら関税を撤回すると決断するなら、それは大統領が決めることだ」と続けた。
なお、こうした事情に詳しい関係者によると、トランプ政権の国境管理責任者トム・ホーマン氏は1月31日にカナダ当局者と話す予定となっていた。
関税が賦課されれば、その影響はカナダとメキシコ以外にも波及するのは当然のことだ。
各国は次の標的となることを警戒しており、米企業は報復関税の可能性に身構えており、孤立主義に陥りかねず多大な企業の倒産が連鎖する自体も考えられ、トランプの失政として記憶に残りかねない状況を作り出すかもしれない。
ひとこと
米ドルや米国債権の暴落の前に資産を金や銀、銅などのモノにシフトする動きが強まっており、現物が欧州から米国に流れ込んでいることにも注目したい。
posted by manekineco at 07:24|
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