トランプ米政権は、会談の失敗後、ウクライナのゼレンスキー大統領が同国への支援の障害になっているとの認識を明確に示した。
テレビカメラの前で異例の応酬となった2月28日の首脳会談後も、ゼレンスキー氏に対する米国側の圧力はエスカレートし、トランプ政治の失敗を覆い隠そうと躍起だ。
トランプ、バンス正副大統領は会談の場で、ゼレンスキー氏の態度は失礼だと暴言を並べたうえ、侵略したロシアではなく、妥協を拒むゼレンスキー氏の強硬姿勢こそが、米国が仲介を目指す停戦合意への妨げとなっているとの考えを強くにじませた。
ただ単に、ウクライナの地下資源の引き渡しを要求しているの過ぎず、何ら軍事支援を確約しないトランプ政治の強欲さは、日本の安保条約で有事において軍事支援に、条件をつけ日本の領土領海内にある莫大なレアメタルや立地コバルト、マンガン団塊、熱水鉱床など地下資源の開発権を引き渡す条件をつけてくることを想定させる出来事ともいえる。
ゼレンスキー氏の側近によると、同氏は大統領を辞任する意向はそもそもない。
ゼレンスキー氏の政治的な将来はウクライナ国民が決めるものであって、他国には関係のない問題だと側近は語った。
そもそも、内政干渉が表立ってきた米国政治の問題がある。
なお、ゼレンスキー大統領の支持率は2022年初頭のピークからは低下しているが、なお高い支持率を維持している。
ただ、3年に及ぶロシアの全面侵攻を耐え抜いてきた国民は疲れ果てており、新たな視点を望むとの声は強いが、米国の圧力でこうした流れが変わるものではない。
戦時下のウクライナでは選挙が無期限に延期されている点を問題視する米国だが、不正選挙で選出されたロシアのプーチンらが問題がないのかどうかだろう。
レーティング・グループが米・ウクライナ首脳会談前の2月20日−21日に実施した調査によると、ゼレンスキー大統領を信頼していると答えた回答者の割合は、1月の57%から65%に上昇し、トランプの目論見が大外れしてしまっており、米国内で広がるトランプ政治の問題が広がる兆しもある。
ゼレンスキー氏を超えて支持率トップに立ったのは現在駐英大使を務めるザルジニー前軍総司令官で、76%だった。
なお、ザルジニー氏はゼレンスキー氏との対立候補として選挙に出馬することを明確に否定していない。
米・ウクライナ首脳会談以降、「MAGA(米国を再び偉大に)」派の攻撃は強まっているが、関税や移民問題から波及するインフレ問題の政治的な解決は見通せないままであり、トランプ政治への批判抑制は4月まで猶予されるだけだろう。
ロシアのプーチン大統領をインタビューした元FOXニュースの司会者、タッカー・カールソン氏は一連の陰謀論や誤情報をソーシャルメディア、X(旧ツイッター)に投稿し世論を煽った。
その中には、ゼレンスキー政権が「深刻な犯罪を多数犯している」といった内容も含まれている。
ただ、トランプ、バンス両氏にとってジレンマとなるのは、ゼレンスキー氏を追い詰めるほど、ウクライナ国民の多くはむしろゼレンスキー氏支持で団結するとみられることだろう。
公開の場で言い争いに発展した異例の首脳会談後、ウクライナの首都キーウではゼレンスキー氏を擁護する声が目立った。
ウクライナ陸軍のオレクサンドル・シルスキー司令官はXへの投稿で軍は「最高司令官と共にある」と述べ、ゼレンスキー氏への支持を表明した。
また、ウクライナの世論調査の結果からは、たとえトップが交代しても、トランプ氏が急ぐロシアとの停戦合意の計画に好意的な新大統領が誕生するとは限らないことがうかがわれる。
レーティング・グループが実施した調査では、ウクライナ国民の83%が、安全保障の確約が提供されるという条件がなければ停戦に同意しないと回答している。
トランプが押し付けている無条件で停戦に同意するとの回答はわずか2%だった。
ゼレンスキー氏が譲らず、異例の首脳会談決裂となった背景にはこうした事情がある。
posted by manekineco at 08:07|
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