アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)が今週、北部の要衝クンドゥズ(Kunduz)を一時制圧し、同国の治安部隊に大きな衝撃を与えた──。
1日には、アフガン軍が街の奪回に成功しているが、このたびの制圧をめぐっては、さまざまな点で昨年のイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」によるイラクのモスル(Mosul)制圧と酷似していることが指摘されている。
米ニューヨーク(New York)に拠点を置く、米戦略安全保障情報コンサルティング企業のソウファン・グループ(Soufan Group)のパトリック・スキナー(Patrick Skinner)氏は「恐ろしいほどモスルと似ている。不気味なほどだ」とこのたびの制圧について述べ、「10年にわたり莫大な資金が投入され、軍の強化が宣言された...
(そのため)タリバンがクンドゥズを制圧できるとは(誰も)予想していなかった。
昨年の、(イスラム国による)モスル陥落も、ありえないことだった」とコメントした。
クンドゥズ制圧は、2001年に権力の座を追われて以降、タリバンにとっての最大の勝利となった。しかし、制圧から一晩明けた29日、限定的ではあるものの、米空軍からの支援を受けたアフガニスタン政府軍はクンドゥズ奪還に向けて反撃を開始。激しい戦闘の後、1日に街の奪還に成功した。
一連の動きについてスキナー氏は、タリバンによる制圧直後に「『我々は奪還する』との意思が(政府側から)示された」ことを説明しながら、「問題はそこではない。本来なら、政府はクンドゥズを防衛しなければならなかった」と指摘した。
軍事専門家で米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)のスティーブン・ビドル(Stephen Biddle)教授は、クンドゥズとモスルは、治安維持軍が長年にわたる腐敗に悩まされているという点でとてもよく似ていることを指摘している。
米国が外国人戦闘員を訓練・配備することについての問題に触れた草稿で同氏は、米国の高度に訓練された部隊を持つという目的は、イラクやアフガニスタンなど各地の支配層エリートたちの目的と必ずしも合致しないことに言及。
こうした地域では、指導者らは汚職や縁故主義を通して、将校の個人的忠誠を確かなものにしようとするケースが多いと説明した。
タリバンに詳しい、パキスタン人ジャーナリストで作家のアフメド・ラシド(Ahmed Rashid)氏はAFPに対し、アフガニスタン政府軍はクンドゥズに5000〜7000人の兵士を置いていたが、それよりもずっと少ない、恐らく1000人ほどのタリバンの部隊によって町からの撤退を余儀なくされたと話している。
ただ、2つの街を単純に比較することに異を唱える専門家もいる。
アフガニスタンの首都カブール(Kabul)を拠点とする軍事アナリストのジャウィード・コヒスターニ(Jawid Kohistani)氏は、モスルはISの重要拠点となりイラクの他都市にとって脅威となっていることを指摘。「しかし、クルドゥズは、州全体がタリバンの支配下に落ちたわけではない。クルドゥズの近隣州に脅威を与えていない」とその違いを強調した。
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