2015年10月10日

新興国のリスク増大、米利上げの前提条件ほぼ整う(IMF報告書)


 国際通貨基金(IMF)が7日公表した国際金融安定性報告書(GFSR)で、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを準備する中で
   衝撃や政策ミス
があれば世界経済が脱線するリスクがあり、株価急落の引き金となる恐れがあるとして、各国の当局者に対し金融システムの不安定化を防止するよう警告した。

 
 米国金融当局が2006年以来となる利上げを準備する中、新興国は銀行や企業の債務水準が高いため、金融ストレスや資本流出の影響を受けやすい状態にあると指摘した。


 米国の利上げの前提条件は「ほぼ整っている」とし、新興国は脆弱性の高まる状況から新たな世界市場の現実に適応していくという大きな課題に直面しているとの認識を示した。

 
 中国は特に、多額の負債を抱える企業や不良債権が山積する銀行の弱さを露呈することなく
   消費主導の成長
にシフトするという「細心の注意を要する」課題があると分析した。

 最近の市場の動きは、こうした課題の複雑さや中国からの波紋が一段と広がる可能性を浮き彫りにしていると付け加えた。



 官民の高水準の債務や「ユーロ圏金融構造に残る隙間」など
   金融危機から長引く問題
が依然として先進国にリスクを突き付けていると指摘した。


 伝統的なディーラーがマーケットメーカーとしての役割に二の足を踏むといった世界の債券市場の構造変化を受け、投資家は金利上昇時に流動性不足に見舞われる恐れがあると予想した。

 
 こうした3つの課題に当局が対処できなければ、世界の生産を2017年までに2.4%押し下げると試算した。

 信用状況の引き締まりは企業や家計の信頼感を損なうとした。

 
 IMFの潜在的リスク分析における逆境のシナリオでは、長期国債利回りは急上昇し、米国と英国、ユーロ圏、日本の株式価値は約2割下落すると予想した。

 また、エネルギー価格は22.7%下がり、エネルギー以外の資源は11.8%値下がりするという。


 なお、IMFはこのシナリオは妥当なもので、「極端ではない」と付け加えた。

 

 世界的な金融ショックを防止するため、連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ方針の伝達で
   「明確さと一貫性」
が必要だと主張する一方、新興国の当局は企業の外貨建てエクスポージャーを注視すべきとのこと。   




ひとこと

 新興国や後進国の経済の発展には資金が必要であり、利上げは資金を導入する場合の経費が多くなることを意味するものだ。

 景気回復の勢いが強まるのは経済が画一的に向上することと同義ではなく、地域的なアンバランスを引き起こすことになり発展が阻害される場合もあり偏在的なものだ。





    
最近の政治・経済関連の記事








   
 





posted by manekineco at 05:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック