2018年07月22日

大使の価値


 宗教や民族間の対立が精鋭化し武装勢力が対立して治安が悪化して混とんとしているイラクに駐在する外国大使にとって、現地の人々の心をつかむのは容易なことではない。
 
 ただ、間もなく任期を終えようとしている日本の
   岩井文男駐イラク大使(67)
はユーモアに富んだソーシャルメディアの動画と
   現地なまりのアラビア語
を駆使することで現地の人々の心をつかでいるという。
 
 
 バグダッドへ赴任してから3年に満たない岩井大使だが、そのファン層は厳重な警備が敷かれた旧米軍管轄区域「グリーンゾーン(Green Zone)」を越えて広がっている。

 特に昨年6月、サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)行きを賭けたアジア最終予選の戦いを前に撮影された動画では、他のものに比べ圧倒的な視聴者数を集めた。
 
 やせ型で眼鏡をかけた大使が着ていたのはイラクのユニフォーム。
 
 この試合でイラクの対戦相手は、日本だった。
 73万人を超える人々が視聴したこの動画の中で、岩井大使が「私たちのチーム(日本)が勝ったらうれしいが、イラクが負けたら悲しい」と語っていた。
 
 
 米国のブッシュ大統領が軍参謀の忠告に耳を傾けないまま兵員や火器弾薬類などといった準備の不足のまま強行しての侵攻により中途半端に
   サダム・フセイン政権
が倒れてから15年が経過した。
 
 治安の確保が出来ずに首族間対立が激化し原理主義的な思想で軍事行動を引き起こしたイスラム国(IS)の占領が一時拡大し、多大な人的・物的被害が広がり、いまだ混乱から抜け出すことができていない。
 
 こうした不安定な環境にあるイラクで岩井大使の動画はイラク人の共感を呼び、人々は大使のことを自分たち自身のように感じている。
 
 
 外交官だった岩井氏は30年前、勤務先である外務省からアラビア語を学ぶように命じられたことがアラブと関わる発端だった。
 
 岩井氏は家族と共に2年間エジプトで過ごし、アラビア語の学習に没頭した。
 それから30年、今もこの言語を極める「出発地点」にいると岩井氏はメディアの取材で語っている。


 バグダッドで岩井氏の名前を口にすると
   「彼の新しい動画を見たか?」
という言葉が一様に返ってくるまで知られた存在だ。

 伝統に敬意を払いつつ、スマートフォンとソーシャルメディアに夢中な現代のイラク人にアピールするため、動画は短く(通常1〜2分)、アラビア語のあいさつ「サラーム・アライクム」やイスラム教の慣習をちゃんと行い、それから話題へと入っていくのが基本という。

 ある動画ではイラクの伝統衣装に身を包み、黒と白の模様が入った男性用のスカーフ「カフィーヤ」を肩にかけて登場している。
 
 画面では「この素晴らしい格好を見てほしい。正真正銘のバグダッド市民のようだ」と笑顔で語り掛けた。
 岩井大使はAFPの取材で、他の外交官たちが市民との交流にソーシャルメディアを活用していないことに驚いていると語った。
 
 岩井氏によると「アラビア語を話せる大使は数人いるが、アラビア語で現地の人々に話しかけることはまれだ」とのこと。
 
 岩井大使は今月イラクを発つ予定。
 
 イラク人のファンたちは大使がイラク国民になってほしいと願っているようで、ネットでは将来の復興相にと推す声が広がっているとのこと。
 
   
 
 

    
posted by manekineco at 00:00| Comment(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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