内憂の要素が増え続けている
トランプ米政権
は意図的に外患を増やしてバランスを取る目論見なのか
イラン核合意
を巡る欧州同盟国との対立をエスカレートさせている。
ドイツと英国、フランスがイランへの制裁を迂回して取引を続けるために創設した
特別目的事業体(SPV)
に対し、米政権は制裁措置を講じる可能性を警告し噛みついた。
マンデルカー米財務次官(テロ対策・金融犯罪担当)は5月7日付でInstexのペル・フィッシャー代表に宛てた書簡で
「貿易取引支援機関(Instex)」
およびその関係者が米国の金融システムから締め出され得ることを示唆したもの。
この書簡において、「Instexが制裁を受ける可能性があることを慎重に考慮するよう促す」とけん制。「米国の制裁措置に反する活動に従事することは、米金融システムへのアクセスを失うなどの重大な結果を招く可能性がある」と記した。
独仏英は1月にInstexを設立して、企業がドルや米国の金融機関を使わずにイランと取引できるようにして米国による制裁を迂回する仕組みを構築した。
この内部の議論に関わった高官は、欧州の当局者が当初話していたよりInstexにずっと真剣に取り組んでいると米国政府当局は結論づけ、警告を発することを決めたとメディアの取材で述べた。
ひとこと
イランをターゲットにした動きのひとつだが、視点を変えれば原油市場の主導権を握っておきたいだけの話にも見える。
原油市場へのイランの再参入を許せば、OPEC主導、特にサウジの発言力が低下する可能性が高く、国際石油資本の思惑と利害が対立する関係にある。 イラン以外ではイラクやシリア、ロシアのほか米国内のシェールガス・オイル開発業者や西アフリカの沖合いでの石油掘削やブラジルなど市場に置ける利権の競合関係にある。