2024年03月09日

EV普及のバラ色シナリオに狂い テスラ強気派の迷いが深まる

 米国電気自動車(EV)メーカー、テスラ株の買いを推奨するアナリストの割合が2021年4月以降で最低に沈んでおり、強気派によるテスラへの支持が揺らいでいる。

 EV需要失速の逆風が吹く中、イーロン・マスク氏が率いるテスラの見通しは今年に入り急速に悪化した。
 今週には、中国勢との競争が激しさを増していることを示すデータが発表された。
 このほか、ドイツ工場では火災による混乱で生産停止に追い込まれた。

 ブルームバーグがまとめたデータによると、テスラの1−3月出荷台数の平均予想は47万4000台余りだ。

 一方、株価は下げ足を速めテスラは週初から12%近く下げ、年初来でナスダック100指数構成銘柄の値下がり率トップに戻った。
 
 昨年10−12月(第4四半期)の決算発表で、今年は成長が著しく鈍るとの予想を明らかにした1月26日終了週に14%値下がりしたのに次ぎ、週間ベースで今年2度目の2桁のマイナスとなる見通し。

 テスラにとって最も頭が痛いのが
   EV需要見通しの下振れ
で専門家の多くは、今頃までにはEVが広く浸透していると見込んでいたが、現実には依然かなり新しい、高額な技術であり
   充電網の整備も途上
にあると考えられており、コスト意識の高い一般消費者はまだ購入に至っていないのが現実だ。
 さらに高金利環境と中古EVの価値急落という足かせも加わり、EV需要は明らかに盛り上がりを欠いてしまっている。

 この問題に苦慮している自動車メーカーはテスラにだけではない。
 ただ、バリュエーションが割高なEV専門メーカーとして、テスラの株価は最も大きなリスクにさらされている。
 
 従来の自動車メーカーは、EVが浸透するまでハイブリッド車やガソリン車の販売を通じて必要なキャッシュフローを確保することができるが、資本力が乏しく他の選択車種も保有していないテスラにその選択肢はない。

 テスラが自ら首を絞めている点は、自動運転ソフトウエアの開発が挙げられている。
 自動運転支援システム「オートパイロット」が衝突の危険性を増す恐れがあるとして、テスラは数百万台規模のリコール(無料の回収・修理)を余儀なくされた。
 
 これは投資家にとっては、テスラがいつ、あるいは果たして実際に路上で使える技術を手に入れることができるか不透明となってしまった。

 今年に入っての株価急落にもかかわらず、テスラの予想株価収益率(PER)は59倍と、依然として割高であり、調製売が続くことを意味している。
 
 これに対し、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーターは1桁前半から半ばにとどまる。またブルームバーグのマグニフィセント・セブン・プライス・リターン指数の平均予想PERは31倍となっており、テスラは超大型ハイテク株と比べてもまた割高だ。
  
   
posted by manekineco at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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