ボーイング・カンパニー（The Boeing Company）世界最大手の航空宇宙メーカー

ボーイング・カンパニー

　　　（The Boeing Company）

　ボーイングは、世界最大手の航空宇宙メーカーの1 つ

　飛行機、回転翼航空機からロケット、人工衛星、ミサイルを世界中で設計、製造、販売する米国の多国籍企業。

　また、リースおよび製品サポート サービスも提供している。

　同社は、2022 年の収益に基づくと世界で4 番目に大きい

　　　防衛請負業者

であり、ドル換算では米国最大の輸出企業として君臨している。

　ボーイングは、1916年7月15日ドイツ系米国人の

　　　ウィリアム ボーイング

によってワシントン州シアトルに設立さた。

　現在の企業は、1997年8月1日にボーイングとマクドネル ダグラスが合併し設立された。

　資本合計　172.3億米ドル （2023年）
　就業者数　170,688 (2023年)
　
　2023 年現在、ボーイング社の本社はバージニア州アーリントン郡のクリスタルシティ地区にあり

　　・ボーイング民間航空機(BCA)

　　・ボーイング ディフェンス・スペース & セキュリティ(BDS)

　　・ボーイング グローバル サービス(BGS)

の 3 つの主要部門で組織されている。

　2021年、ボーイングは623億ドルの売上高を記録した。

　ボーイングはフォーチュン500リスト (2020 年)で 54 位にランクされ 、フォーチュングローバル 500リスト (2020 年)では 121 位にランクされている。

　ボーイングは、1916 年にアメリカの木材産業家

　　　ウィリアム E. ボーイング

がワシントン州シアトルにパシフィック エアロ プロダクツ カンパニーを設立したときに遡る。

　会社を設立する前に、彼とコンラッド・ウェスターベルトは「B&W」水上飛行機を作成している。

　1917 年に組織はボーイング エアプレーン カンパニーに改名され、ウィリアム ボーイングは 1928 年にボーイング エアプレーン & トランスポート コーポレーションを設立した。

　1929 年に会社はユナイテッド エアクラフト アンド トランスポート コーポレーションに改名され、その後いくつかの航空機メーカーを買収した。（Avion、Chance Vought、Sikorsky Aviation、Stearman Aircraft、Pratt & Whitney、Hamilton Metalplane など）

　1931 年には、グループは 4 つの小規模航空会社を統合して

　　　ユナイテッド航空

を設立した。

　1934 年、航空機の製造会社は航空輸送から切り離すことが法律で義務付けられたため、ボーイング エアプレーン カンパニーは、ユナイテッド エアクラフト アンド トランスポートの解散によって誕生した 3 つの主要グループのうちの 1 つとなった。

　他の 2 つの事業体は、ユナイテッド エアクラフト(後のユナイテッド テクノロジーズ) とユナイテッド航空。

　1960 年に、同社は当時最大の独立系ヘリコプターメーカー

　　　Vertol Aircraft Corporation

を買収した。

　1960 年代から 1970 年代にかけて、同社は宇宙旅行、船舶、農業、エネルギー生産、輸送システムなどの産業に多角化した。

　
　1995年、ボーイングはロシア、ウクライナ、アングロ・ノルウェーの組織と提携して

　　　浮遊プラットフォーム

から衛星を静止軌道に送る商業打ち上げサービスを提供する会社

　　　シー・ローンチ

を設立した。

　2000 年に、ボーイングはヒューズ エレクトロニクスの衛星部門を買収しました。

　1996年12月、ボーイングはマクドネル・ダグラスと合併する意向を発表た。

　この合併は規制当局の承認を経て、1997年8月4日に完了した。

　なお、この遅延は欧州委員会の反対によって引き起こされ、最終的に合併には3つの条件が課せられた。

　米国の航空会社3社との独占契約が終了し、マクドネル・ダグラス民間航空機事業については別口座が維持された。

　一部の防衛特許は競合他社に利用可能とされた。

　ボーイングの本社は 2001 年にシアトルからシカゴに移転した。

　2018 年、同社はシェフィールド大学との研究提携により強化され、イギリスのシェフィールドにヨーロッパ初の工場を開設した。

　同社は2020年5月、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる航空旅行の減少を受けて1万2000人以上の人員削減を行った。

　（従業員の合計10％、つまり約1万6000人の職を削減する計画を立てていた。）

　 2020年7月、ボーイング社はパンデミックとボーイング737MAXの運航停止の結果、24億ドルの損失を報告した。

　これを受けてさらなる雇用削減と生産削減を計画していると発表した。

　2020年8月18日、CEOのデイブ・カルフーンはさらなる人員削減を発表した。

　2020年10月28日、航空機メーカーは新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより損失が増大したため、3万人近くの従業員を解雇した。

　2022年5月、ボーイングは世界本社をシカゴからワシントンDC郊外のバージニア州アーリントンに移転する計画を発表した。

　同社は、この決定は「顧客や利害関係者に近い防衛業務に集中するため」の一環として行われた。

　2024年1月のアラスカ航空1282便およびその他の事故の後、ある株主は、エンジニアリングおよび品質管理チームが現場で主要な意思決定者にアクセスできるようにすることを期待して、本社をシアトル地域に戻すことを提案した。

　ボーイングの取締役会はこの試みを断固として却下した。

　ボーイング民間航空機(BCA) は、 737、 767、 777、 787 のほか、貨物機やビジネス ジェットのほとんどの型を含む民間航空機を製造している。

　この部門には約 35,000 人の従業員がおり、その多くはエベレットとレントン、ワシントン州 (シアトル以外)、およびサウスカロライナ州にある同社の製造施設で働いている。

　ボーイング ディフェンス・スペース＆セキュリティ(BDS) は、軍用機、回転翼航空機、ミサイルのほか、衛星、宇宙船、ロケットなどの民間および軍事顧客向けの宇宙システムも製造している。
　ボーイング グローバル サービス(BGS) は、BCA、BDS、またはその他のメーカーから機器を購入する顧客に、メンテナンスやアップグレードなどのアフターマーケット サポートを提供している。

　2018年と2019年に2機のボーイング737MAXナローボディ旅客機が墜落し、346人が死亡、生存者はいなかった。

　これに応じて、世界中の航空規制当局と航空会社はすべての 737 MAX旅客機の運航を停止した。

　ボーイング社の戦略、ガバナンス、利益とコスト効率への注力が疑問視された。

　運航停止後、ボーイング社の評判、事業、財務格付けが悪化した。

　2022年、Netflixは暴露本「ダウンフォール：ボーイング社に対する訴訟」を公開し、ボーイング社とマクドネル・ダグラス社の企業合併が職場の士気の崩壊によって墜落事故を引き起こしたと主張した。

　2020年6月、連邦航空局は、ボーイングが規制に違反して修正を延期していた737 MAXのいくつかの欠陥を発見した。

　2020年9月、米国下院は独自の調査を終了し、ボーイング社が2件の死亡事故を引き起こした737 MAXの

　　　飛行安定化機能（MCAS ）

について従業員の懸念を無視し、安全性より納期と予算の制約を優先した多数の事例を挙げた。

　そしてFAAへの重要な情報の開示において透明性を欠いていたうえ、シミュレーター訓練は必要ないとの思い込みが「安全性を低下させ、パイロット訓練の価値を最小化し、技術的設計の改善を妨げた」ことも判明した。

　2021年1月7日、ボーイング社は安全規制当局からの情報隠蔽に関する詐欺罪で起訴された。

　その後、25億ドル以上を支払うことで和解した。　

　ボーイング社は2022年9月、これらの墜落事故に関連した安全上の問題について投資家に誤解を与えたとして、さらに2億ドルの支払いを命じられた。

　　

　737 MAXの墜落事故の調査が進められている一方で、同社の最大収容能力で史上最大の双発ジェット機であるボーイング777Xが2020年1月25日に初飛行を行ったものの、やはり問題が発生した。

　2021年の飛行試験中の事故を受け、この航空機の初納入予定は2024年まで延期された。

　2022年に航空機にさらなる技術的問題が発見され、リリースは当初の予定日から6年後の2025年まで再び延期された。

　
　2024年1月5日、アラスカ航空1282便では、高度16,000フィートをわずかに超えたところで737 MAX 9型ジェット旅客機のドアプラグの爆発が発生し、機体とドアにドアほどの穴が開いた。

　航空機はポートランド国際空港への緊急着陸に成功し、乗客数名が負傷した。

　FAAはドアプラグが装着されたすべての737 MAX 9の即時検査を義務付け、これにより171機が運航停止となった。

　ユナイテッド航空は、 FAA によって運航停止となったジェット機のボルトが緩んでいるのを発見した。

　ボーイング 737 MAX 9 のシステム上の問題の可能性について疑問を引き起こした。

　2月6日、国家運輸安全委員会は、ワシントン州レントンにあるボーイングの工場でパネルを固定するために使用された4本のボルトが取り外され、交換されていないように見えることを示す予備報告書を発表した。

　2024年3月、司法省はアラスカ航空の爆発事故に対する犯罪捜査を開始し、2024年3月、CEOの

　　　デイブ・カルフーン

と取締役会長の

　　　ラリー・ケルナー

はともにその職を辞任すると発表した。

　
　2006年、UCLA環境リスク低減センターは、南カリフォルニアのベンチュラ郡東部のシミ丘陵にある

　　　ロケットダイン

の試験開発施設だったボーイングの

　　　サンタ・スサナフィールド研究所

がロケットダインによって有毒な放射性廃棄物で汚染されていたことを示す研究結果を発表した。

　ボーイングは 2017 年に EPA とクリーンアップ協定に合意した。

　2022年7月19日、ボーイングはカーボンニュートラルで持続可能なソリューションを革新するために三菱商事との新たなパートナーシップを発表した。

　ボーイング幹部らは、同社がブラジルのバイオ燃料メーカー、テクビオやニュージーランドのアクアフロー・バイオノミック、その他世界中の燃料開発会社と協力していると述べた。

　2007年の時点で、ボーイングはこれらの企業の6種類の燃料をテストしており、「評価が完了するまでに」20種類の燃料をテストする予定だった。　

　ボーイング社は2009年にロビー活動費に1,690万米ドルを費やした。

　2008年の大統領選挙では、バラク・オバマは「ボーイングの従業員と幹部」からの選挙資金の最大の受取人であり、5倍にあたる19万7,000米ドルを集めた。

　ボーイングは、教育、健康、福祉サービス、環境、芸術、文化、市民活動の5 つの分野における慈善寄付を中心とした企業市民活動プログラムを行っている。

　2011 年、ボーイングは慈善助成金やビジネス スポンサーシップを通じてこれらの分野に 1億4,730万米ドルを費やした。

　米国グローバル リーダーシップ連合のメンバーで、この連合は、ワシントン DC を拠点とする 400 社を超える大手企業と NGO で構成され、海外での米国の外交と開発の取り組みに資金を提供する国際問題予算の拡大を提唱している。

　一連の米国の外交公電は、米国の外交官や上級政治家がボーイング社に代わって同社の売り上げを伸ばすためにどのように介入しているかを示している。

　2007年と 2008年、同社は輸出入銀行からの100 億米ドルを超える

　　　長期融資保証の恩恵

を受け、ブラジル、カナダ、アイルランド、アラブ首長国連邦を含む国々での民間航空機の購入資金を支援した。

　米国では、この期間に銀行が行った融資総額の約 65% が保証されている。

　
　2011年12月、超党派組織パブリック・キャンペーンは、ボーイング社がロビー活動に5,229万米ドルを費やし、2008年から2010年にかけて税金を支払わず、代わりに97億米ドルの利益をあげていたにもかかわらず、1億7,800万米ドルの税金還付を受けていたと批判した。

　2008年以来14,862人の従業員を解雇し、2010年には上位5人の役員報酬を31％増額して4,190万米ドルに達している。

　また、ボーイング社は、 NASAに月面着陸プロジェクトの修正入札を提出しようとした際に、非倫理的行為 (調達適正化法に違反) をしたとして告発されている。

　同社のミサイルが無差別攻撃に使用され、多くの民間人が死亡したことが判明したイエメン戦争など、戦争から物資を供給し利益を得ているとして批判されている。

　2023年、ボーイング社は、イスラエルによるガザ空襲の最初の1週間に、米空軍基地からイスラエル空軍によって輸送された

　　　小径爆弾1,000発

を送ったと報告された。

　イスラエル・ガザ戦争中（2023年から現在）ボーイング社施設でイスラエル国防軍への武器の輸送を阻止しようとするデモがあった。

　調査によると、ボーイングはイスラエルへの武器販売で500億ドルから1000億ドルの利益を得ている。