2024年09月11日

穴水 清彦(あなみず きよひこ) 相模鉄道社長

穴水 清彦(あなみず きよひこ)
   1912年2月14日 - 1979年9月29日
 日本の経営者で甲州財閥のメンバー。
 相模鉄道社長を務めた。
 父親は京王電気軌道の社長を務めた穴水熊雄である。

 山梨県出身で1935年に慶應義塾大学経済学部を卒業した。
 北海道配電監事を経て、1944年6月に東京急行電鉄取締役と相模鉄道常務に就任した。
 1947年6月に相模鉄道専務、1962年9月に相模鉄道副社長を経て、1965年11月に相模鉄道社長に就任した。
 1976年6月には会長に就任した。
 1970年6月に運輸大臣表彰を受け、1968年に紺綬褒章を受章し、1974年に藍綬褒章を受章している。
 1979年9月29日、腎不全のために死去した(67歳没)。

 相模鉄道は、現在の東日本旅客鉄道(JR東日本)相模線である茅ケ崎駅 - 橋本駅間を開業させた鉄道会社。
 現在の相鉄本線にあたる横浜駅 - 海老名駅間と、相鉄厚木線(貨物線)にあたる相模国分信号所 - 厚木駅間を開業させた鉄道会社は
   神中鉄道(じんちゅうてつどう)
であったが、1943年(昭和18年)に相模鉄道は神中鉄道を吸収合併した。
 ただ、翌年に元の相模鉄道の路線であった茅ケ崎駅 - 橋本駅間が
   日本国有鉄道
として国有化され、元の神中鉄道であった区間が相模鉄道の路線として残った。
 もともと、相模鉄道は、神奈川県中央部を南北に横断し東海道線と中央線との間を結ぶ軽便鉄道として計画された。
 1916年(大正5年)6月26日に茅ケ崎駅 - 橋本駅の敷設免許を取得して、1917年(大正6年)12月18日に創立総会を開催した。
 翌年1月4日に当時の高座郡茅ヶ崎町(現・茅ヶ崎市)で設立された。
 1921年(大正10年)10月28日に茅ケ崎駅(神奈川県茅ヶ崎市) - 寒川駅(同県高座郡寒川町)間を開業した。
 1926年(大正15年)4月1日には倉見駅まで、7月15日には厚木駅まで開業し神中鉄道と接続した。

 1931年(昭和6年)4月29日に橋本駅(同県相模原市)まで開業し、全通した。
 同年11月からは八王子駅(東京都八王子市)まで直通列車を走らせるなど意欲的であったものの、業績が不振であった。
 このため沿線の西寒川に製造拠点(昭和産業一之宮工場 のちの相模海軍工廠寒川本廠)を有していた
   昭和産業
が経営権を取得した。
 1940年(昭和15年)12月には相模原駅 - 上溝駅 - 水郷田名間の乗合自動車事業も開始した。

 相模鉄道の株主は昭和産業と東京横浜電鉄(後の東京急行電鉄。現在の東急株式会社および東急電鉄株式会社の前身の一つ)が半々の状態であった。
 相模鉄道の取締役でもあった昭和産業社長
   伊藤英夫
の急死を契機として、昭和産業が1941年(昭和16年)6月に持ち株約4万株(相模鉄道の発行済み株式の約40%)を東京横浜電鉄に放出。
 これにより相模鉄道は東京横浜電鉄の傘下になった。

 なお、神中鉄道は、鎌倉郡瀬谷村(現・横浜市瀬谷区)の素封家
   小島政五郎
らが中心となって起業した鉄道会社で1917年(大正6年)12月2日に創立総会を開催し、同月15日に神中軌道として設立された。
 翌々年の1919年(大正8年)6月10日には神中鉄道への商号変更を行っている。
 厚木駅から建設を始め、1926年(大正15年)5月12日に二俣川駅 - 厚木駅間を開業させた。
 その2か月後の7月には寒川方面から厚木駅に乗り入れた相模鉄道と接続し、旅客輸送や相模川の砂利輸送の営業を行っていた。
  
 営業線路を延ばし、1931年(昭和6年)10月25日には西横浜駅 - 平沼橋駅間の省線の側線を借り入れて営業を開始した。
 1933年(昭和8年)12月27日になってやっと横浜駅に乗り入れた。
 全通により乗客は増加したが、業績は低迷したままで開業以来の赤字は拡大する一方であった。

 このため、1939年(昭和14年)9月に同駅で接続する東京横浜電鉄の傘下に入り、取締役社長に
   五島慶太
が就任して再建を図ることとなった。
 1941年(昭和16年)1月20日には相模国分駅から海老名駅への新線建設(0.5 km)に着手し、同年11月25日に完成した。
 これにより本線の一部区間が新線に切り替えられ、神中鉄道開業時から本線として使われていた相模国分駅-厚木駅間は旅客営業を廃止し貨物線厚木線となった。
 同時に海老名駅から、同じく五島慶太が社長を務めていた小田急の小田急小田原線相模厚木駅(現:本厚木駅)へディーゼル自動客車での片乗り入れを開始している。
 厚木で隣接していた東京急行電鉄の傘下の両社は、1943年(昭和18年)4月に経営合理化のため合併した。
   
    
posted by manekineco at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | バイオグラフィー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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