2024年08月15日

米CPIは9月利下げの論拠を補強 コア指数が4カ月連続で減速

 7月の米消費者物価指数(CPI)では、食品とエネルギーを除いた
   コア指数 前月比+0.2%
と上昇(市場予想と一致)、前年同月比では3.2%上昇(市場予想と一致)となり、前年同月比の伸びが4カ月連続で鈍化し、米金融当局による9月利下げの論拠を支える結果となった。

 コア指数の前年同月比での伸び率は2021年4月以来の低水準だった。
 エコノミストは基調的なインフレの指標として、総合CPIよりコア指数を重視している。  

 景気が徐々に下降に転じる中、インフレは引き続き広範な低下傾向にある。
 雇用市場の軟化も相まって、米金融当局は来月利下げに踏み切るとの見方が大勢となっている。  
 
 9月17−18日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合までには、さらなるインフレ統計の他、8月雇用統計も発表される。
 7月雇用統計では雇用者数の伸びが市場の予想以上に減速し、失業率はほぼ3年ぶりの水準に上昇した。
 これが世界の金融市場を揺るがし、米リセッション懸念を高めただけに
   9月6日発表の雇用統計
は大きな注目を集めるだろう。

 パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長らはこのところ、金融当局の2つの責務のうち雇用面により重点を置く姿勢を示している。
 来週に開催されるジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)でも、この点を強調する公算が大きい。

 7月は衣料品、新車および中古車、航空運賃が低下し、病院サービスは過去最大の下げを記録した。
 一方、ビデオゲームのサブスクリプションサービスは過去最大の伸びとなった。

 統計発表元の米労働統計局は数値を小数第1位までで表示する。
 インフレ軌道をより正確に把握したい米金融当局者やエコノミストは、さらなる詳細に注目する姿勢だ。
 小数第2位まで見ると、コアCPIの前月比の伸び率は0.17%となる。3カ月間の年率では1.58%上昇と、21年2月以来の低水準にある。

 サービス分野で最大部分を占める住居費は0.4%上昇した。
 前月は0.2%上昇と、21年8月以来の低い伸びとなっていた。
 持ち家のある人がその家を賃貸する場合の想定家賃である
   帰属家賃(OER)
は7月に0.4%上昇した。
 なお、家賃は0.5%上昇と2月以来の大きな伸びとなっている。

 ブルームバーグの計算によると、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は0.2%上昇した。
 3カ月ぶりの上昇となったが、引き続き低水準であることに変わりはない。
 
 エコノミストや当局者は鈍化を見込んでいたため、この数値に対して疑問の声が上がりそうだ。
 労働統計局は、総合CPIの前月比上昇率の90%近くは住居費の伸びによるものだと説明した。
 なお、金融政策当局はインフレ軌道を見極める上で、こうした指標に目を向けることの重要性を強調している。
 しかし、実際には別の指標であ
   る個人消費支出(PCE)価格指数
に基づいてそれを算出している。

 7月のPCE価格指数は8月30日に発表される。
 同指数の算出にはCPIと生産者物価指数(PPI)のいくつかのカテゴリーが使われる。
 13日に発表された7月PPIは市場予想を下回る伸びにとどまった。

 食品とエネルギー商品を除く財のコア価格は、1月以来の大幅低下。前年同月比では04年以来の大きな下げとなった。

   
   
posted by manekineco at 06:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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