ベネット・ルボウ(Bennett LeBow) ベクター・グループの創設者であり取締役会長

ベネット・S・ルボウ(Bennett S. LeBow)　

　米国のユダヤ系実業家、慈善家で

　　　ベクター・グループ

の創設者であり取締役会長である。

　ルボウが1986年にタバコ製造会社

　　　リゲット・グループ

を買収した後、同社は

　　　反タバコ訴訟

に巻き込まれ、1998年のタバコ包括的和解契約に至った。

　ルボウの父マーティンは生命保険のセールスマンで、母スアラは教師だった。

　彼はウェストフィラデルフィア高校を卒業し、1960年にドレクセル大学で電気工学の学位を取得した。

　その後、ルボウはプリンストン大学の大学院に進学したが学位を取得する前に、ルボウはプリンストンを離れて陸軍に入隊した。

　ペンタゴンで初期のデータシステムを導入した。[

　
　ルボウは1960年代にペンタゴンプロジェクトを継続するためにコンピュータ会社を設立した。

　ルボウは1971年にその会社を売却し、フルタイムの投資家になった。

　1980年に、彼は投資持株会社

　　　ブルックグループ

を設立した後、ウエスタンユニオン、インフォメーションディスプレイ、MAIベーシックフォー、リゲットグループ、ブリガムズアイスクリーム、スカイボックスインターナショナルなど多くの企業を買収した。

　2000年にブルックグループをベクターグループ社に改名した。

　1984年、ルボウは

　　　インフォメーション・ディスプレイズ

の売却を完了した。なお、同社はその後倒産したため買い手はルボウと彼のパートナーを詐欺と不当表示で訴えた。

　1986年、彼は米国で5番目に大きなタバコ製造会社

　　　リゲット・グループ

を1億4000万ドルで買収した。

　1987年、リゲットは2億ドルの純資産のマイナスだったウエスタンユニオンの過半数株式を買収した。

　当時ニューバレーLLCと改名された同社は最終的に倒産を申請したものの資産売却によって債券保有者に全額返済することができた。

　リゲットは後にウエスタンユニオン・ファイナンシャル・サービス社の残りの株式を12億ドルで売却し、3億ドルの利益を上げた。

　1994年、ルボウは

　　　数百万ドルの不正融資

を受けたと主張する株主から訴えられたがルボウは法廷外で和解した。

　1995年、彼は企業買収者の

　　　カール・アイカーン

と組んでRJRナビスコの買収を試みた。

　なお、この買収は、ルボウの「経営者としての評判が疑わしい」ことから懐疑的な株主によって拒否された。

　2010年5月、2500万ドルの投資の後、彼はボーダーズグループの取締役となり、辞任した

　　　ミック・マクガイア

の後任として直ちに取締役会長に選出された。

　2010年6月、ルボウはボーダーズグループのCEOに就任したが、2011年2月、ボーダーズは破産を宣言した。

　ルボウ氏は、リゲット・グループ、ベクター・タバコ、ニュー・バレーLLC、ダグラス・エリマンの持株会社であるベクター・グループの取締役会長である。

　同氏はベクター株を15万株以上所有しており、その価値は750万ドルに上る。

　
　ルボウは1986年にリゲットグループを1億4000万ドルで買収した。

　1993年、ルボウは宣誓証言で、タバコは合法的な製品であり、人々はそれを使用することを選択している。

　このため、タバコが癌を引き起こすかどうかは関係ないと述べた。

　1996年、彼のリーダーシップの下で、リゲットグループは、フィリップモリス、ブラウンアンドウィリアムソン、RJRナビスコ、ロウズ、ロリラードを含む米国のタバコ業界の他の企業と袂を分かつことになり、リゲットは40州の司法長官が起こしたメディケイドタバコ訴訟で和解すると発表した。

　リゲットは以前、フィリップモリスから違法な影響を受けたと非難されていた。

　フィリップモリスは、反タバコ訴訟への協力を買うために、リゲットの訴訟費用の一部を支払ったとされている。

　ルボウは、和解の理由は、リゲットが

　　　将来の負債から免責されること

と将来の破産を防ぐためであると述べた。

　この和解には、リゲットが100万ドルの損害賠償を支払うことに同意すること、喫煙は中毒性があり癌を引き起こすことを公表すること、長い間秘密にされていたタバコ業界の文書を引き渡すこと、タバコの成分を公開すること、業界に対して証言することが含まれていた。

　リゲットは、製品に「ニコチンは中毒性がある」というラベルを自発的に貼った最初のタバコ会社であった。

　フロリダ州知事ロートン・チルズ氏は、同州がタバコ業界との113億ドルの和解を達成するのに「多大な貢献」をしたとして、ルボウ氏に表彰状を贈った。 

　裁判所の文書によると、リゲットはルボウの指揮下にあった間、「クーポン配布、試飲、タバコの『1本買うと1本無料』などの若者にアピールするマーケティング戦略に従事し、若者の読者が多い雑誌に広告を出していた。」

　ベクター・タバコ社を通じて、ルボウは禁煙を助けるために設計されたニコチンフリーのタバコ「クエスト」を開発した。

　2005年、ルボウは、がんを引き起こすことが知られている製品を販売する会社の所有者と関係を持つことの妥当性についての議論により、任命直後にダナ・ファーバーがん研究所の理事会を辞任した。

　
　ルボウは母校であるドレクセル大学の熱心な支援者でもある。

　1998年、ドレクセル大学の経営学部は、ルボウが大学に1000万ドルを寄付したことを受けて、彼に敬意を表してベネット S. ルボウ経営学部と名付けられた。

　ルボウはまた、ドレクセル大学の工学部が入っている施設であるベネット S. ルボウ工学センターにも寄付を行った。

　2010年11月、ルボウはルボウ経営学部の新施設建設のために4500万ドルを寄付した。

　これは米国のビジネススクールへの寄付としては12番目に大きく、ドレクセル大学にとっては過去最大の寄付となった。

　2013年に完成した新施設は、ルボウの亡き妻ジェラルディンに敬意を表してジェリー C. ルボウ ホールと名付けられた。

　2011年、ルボウは慈善事業に4,900万ドル以上を寄付したことで、The Chronicle of Philanthropy誌によって全米第23位の慈善寄付者に選ばれた。

　1993年から1996年まで、ルボウと妻のジェラルディンは民主党の候補者に6万5000ドル以上を寄付した。

　1995年、ルボウはマイアミで行われたクリントン・ゴア選挙運動の資金集めにヴァディム・ラビノビッチを招待した。

　なお、このことが公になったのは1997年になってからだった。

　ラビノビッチはロシアの組織犯罪とつながりがあるとされ、米国人ジャーナリストのロバート・I・フリードマンはラビノビッチを「ウクライナのマフィアのボス」と表現した。

　ルボウの広報担当者は、資金集めの時点では、ルボウはラビノビッチが組織犯罪とつながりがあるとは知らなかったと述べた。

　なお、ラビノビッチは、資金集めには寄付していないと述べた。

　1997年にルボウの広報担当者が述べたところによると、ルボウのブルック・グループとラビノビッチはキエフのビジネスセンターと高級ホテルの開発に携わっていた。

　2009年にルボウはマンハッタンの地方検事候補レスリー・クロッカー・スナイダーに1万ドルの選挙資金を寄付した。

　スナイダーの法律事務所であるカソウィッツ・ベンソン・トレス・アンド・フリードマンは1996年以来、喫煙と健康に関する訴訟でリゲット・グループの代理人を務めていた。

　CNNによると、ルボウはドナルド・トランプの2016年大統領選挙キャンペーンの「多額の寄付者」だった。

　1989年、ブルック・ヨット・インターナショナル社（ 造船所が財政難に陥った際にルボウが400万ドルで買収）が、ルボウの2100万ドルのヨットを完成させた。全長177フィート（54メートル）のこのヨットは、1993年には10大個人所有ヨットの1つとされた。

　ルボウはフロリダ州フィッシャー島に不動産を所有していた。

　1995年にジェラルディンが425万ドルで購入したペントハウスは、2020年に1500 万ドルで売却された。

　2016年、ルボウはニューヨーク市のパークアベニュー432番地の64階にある8,000平方フィート（740 m2）、5ベッドルームのユニットを4480万ドルで購入した。