北大西洋条約機構(NATO)は22日、ドイツ西部ガイレンキルヘンの航空基地の警戒を強化したと明らかにした。
潜在的な脅威を示す情報があったとしており、ロシアの工作員による
破壊工作攻撃
の可能性が浮上している。
同日に基地の警戒レベルを4段階で上から2番目に高い水準まで引き上げた。
予防措置として任務遂行に不可欠ではない職員は全員帰宅させている。
23日に元の水準に戻すまで、約24時間にわたり厳戒態勢が続いていたという。
同基地は「空の司令塔」と呼ばれる
早期警戒管制機(AWACS)の拠点
となっており、機体のレーダーで空中から広範囲を監視できる機能を持ち、後方支援の一環としてウクライナに関連情報を提供してきた。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、ロシアの工作員による破壊工作攻撃の可能性があるとの警告を受けたとみられる。
同基地は14日にも、
水の供給を妨げる破壊工作
が実施された疑いがあるとして、警戒レベルを引き上げていた。
ドイツ西部のケルンの空軍基地も同様の疑いで一時封鎖されていた。
24日はウクライナの独立記念日で、ロシアの侵攻から2年半の節目となるため、成果が乏しいロシアのプーチン政権が情報機関を使って工作を繰り広げており、目玉を作りたい思惑が背景にあるのだろう。
ロシア軍の攻撃激化への警戒が高まっており、23日にはインドのモディ首相がロシアによる侵略開始後で初めてウクライナを訪れて、ゼレンスキー大統領と会談していた。
ひとこと
偵察衛星や早期警戒管制機(AWACS)による情報はウクライナ軍がロシアへの越境攻撃には有効であり、ウクライナに侵攻して激戦を繰り広げている地域への兵站線を破壊することには効果が高い情報となるため、情報の遮断を目論んだ破壊工作は繰り返し試みられているようだ。