シャヘド136(HESA Shahed 136)
イランのシャヘド航空産業が設計及び製造を行っている徘徊型で自律式のスウォーム(群れ)行動する推進式ドローンである。
基本的に、遠距離から地上の目標を攻撃するために設計された。
この比較的安価なドローンは5機以上が格納できる
発射ラック
から複数発射され、対空防御をすり抜けて、地上の標的を攻撃し、攻撃に対して相手側の
防空機材を消費
させるように設計された。
この機体には、中央にブレンデッドウィング状に繋がる胴体と、翼端に
安定板兼ラダー
を備えたクリップトデルタ翼を備えている。
機首部分には推定30 - 50 kgの弾頭を搭載する事が可能と見られる。
エンジンは胴体後部に搭載され、推進式に配置された2翔プロペラを駆動する方式のもの。
全長3.5 m、翼幅2.5 mで、185 km/h以上で飛行し、重量は約200 kgとされる。
航続距離は1,800から2,500 kmと推定されている。
米陸軍の世界的な機材ガイドでは、シャヘド136の設計は
空中偵察機能
のサポートが可能であることが記載されているものの、ロシアがゲラン2ドローンとして運用しているがカメラの記載はない。
発射台とドローン全体の可搬性の良さから、ユニット全体は各種軍用及び民間用トラックの荷台に取り付けることができる[12]。
機体はやや上むきだがほぼ水平に発射される。
発射時から直後の数秒は、
ロケット補助推進離陸(RATO)
で初期の加速を行い、投棄されたあとはイランのMado社製
MD-550 水平対向4気筒2ストロークガソリンエンジン
(エンジンはドイツのリンバッハ・フルーグモトレーン社製L550E)
をコピーしたもので、HESA・アバビル3などのイラン製ドローンでも使用して飛行する。
ウクライナの専門家は、シャヘド136には日米欧から30社以上の製品が使用されていると分析している。
とりわけアメリカ企業のアルテラ製コンピュータープロセッサ
アナログ・デバイセズ製無線モジュール
やマイクロチップ・テクノロジー製LDOチップが使用されているものと考えている。
ウクライナ軍情報局が作成したリストによると、カメラや汎用リレー、サーボモーターなどに日本の電気機器メーカーの部品が使用されているとされる。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻で鹵獲されたドローンを調査した結果、シャヘド136の電子装備はen:Texas Instruments TMS320プロセッサーや、イギリス発祥の企業である
TI Fluid Systems
の関連企業がポーランドで製造した燃料ポンプなどの米国およびEU製の部品が使用されていることが明らかになった。
シャヘド131との混同
本機はより小型のシャヘド131とは外見が酷似している。
本機はより小型のシャヘド131とは外見が酷似している。
主な違いはシャヘド131では上向きだけの翼端安定板が、シャヘド136では翼端から上下に伸びている。
シャヘド131には、シャヘド136にも搭載されている
単純な慣性航法装置(INS)
と、ある程度の電子防護が施されたGPSが搭載されている。
ロシア軍ではゲラン2の名称で同機が使用されている。
ワシントン・ポスト紙はCNA Strategy, Policy, Plans and Programs Centerのロシアの軍事システムの専門家が、標準的なイラン製シャヘド136に対してゲラン2では
追加の操縦方法が使用されている可能性
を示唆していると報じた。
タイムズ・オブ・イスラエル紙の特派員は、民生部品で作られたイラン製の航法システムが、
ロシア製の飛行制御ユニットとマイクロプロセッサー
に置き換えられ、米国の民間グレードのGPSをロシアの
GLONASS GNSSシステム
を使用することで徘徊兵器の能力を向上させている。
また、ゲラン2は、イラン製弾薬ではなく、ロシアの軍需品に置き換えられている。
ただ、カメラや近距離センサーには言及されていない。
2022年11月19日に、ワシントン・ポスト紙は米国の情報機関が、ロシアとイランがロシアによる軍需品の製造に関して合意し、イランが主要部品を輸出しているとの概要説明を行っていると報じた。
シャヘド136
種類 徘徊型兵器
原開発国 イラン
開発者 シャヘハド航空産業
製造業者 HESA
値段 不明、1機あたり$10,000から€50,000と推定
製造数 不明
開発者 シャヘハド航空産業
製造業者 HESA
値段 不明、1機あたり$10,000から€50,000と推定
製造数 不明
構造能力等
重量 200 kg
全長 3.5 m
炸薬量 30 - 50 kg
エンジン MD-550 ピストンエンジン
重量 200 kg
全長 3.5 m
炸薬量 30 - 50 kg
エンジン MD-550 ピストンエンジン
翼幅 2.5 m
誘導方式 自律型
GLONASS(改良されたロシア版)
誘導方式 自律型
GLONASS(改良されたロシア版)
発射
プラットフォーム
ロケット補助推進離陸
プラットフォーム
ロケット補助推進離陸