2024年09月10日

ECBが二つの政策金利、マイナス金利時代のひずみ調整か、60bp下げ

 欧州中央銀行(ECB)は12日に開く政策委員会の会合で、6月に開始した
   金融緩和サイクル
で2回目の利下げを決定する見通し。
 その一方で、今回は若干テクニカルな工夫が加えられることになりそうだ。
  
 12日に開催される会合では、三つの政策金利の下限である中銀預金金利(現行3.75%)の0.25ポイント引き下げが決まると広く予想されている。 
 これは世界の主要中銀が政策金利を調整する際の標準的な変更幅だ。

 ただ、他の二つの政策金利、主要リファイナンス金利(定例オペの最低応札金利、現行4.25%)と、上限であるオーバーナイト資金の限界貸出金利(現行4.5%)は、あまり標準的でない60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の引き下げが見込まれる。

 この動きは大量の債券保有と長期貸し付けを縮小する過程で、金融システムを円滑に運営することを意図したもの。
 預金金利と貸出金利のギャップを調整し、バランスシート圧縮の下で市場の状況を確実にコントロールする狙いがある。

 三つの政策金利の非対称スプレッドは、ECBのマイナス金利時代の遺産といえる。
 デフレと闘い景気を刺激するため、政策担当者は中銀預金金利をマイナス圏に引き下げた。
 ただ、他の二つの政策金利には同じことができなかった。

 利下げ幅が予想通りなら、中銀預金金利は3.5%、主要リファイナンス金利は3.65%となり、両者のギャップは50bpから15bpに縮小する。
 なお、3.9%となる限界貸出金利と主要リファイナンス金利との差は25bpで変わらない。

 「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」の再投資縮小などでECBのバランスシート圧縮は、かなり速いペースで進んでいる。流動性はもはや潤沢に供給されず、新たな資産購入がない限り、金融機関は借り入れ再開が必要になる時期が訪れるだろう。市場のボラティリティーが副作用として表れる可能性が高い。

 政策担当者の主な目標は、そうした変動を最小限に抑えることにある。
 ECBから銀行が借り入れ可能な金利とECBに預け入れる
   金利とのスプレッドを縮小させること
は、翌日物金利の変動範囲を狭めることにもつながる。
   

posted by manekineco at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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