2024年09月22日

KN-23(正式名称 火星11A  Hwasong-11Ga) 北朝鮮の固体燃料式戦術弾道ミサイル 

KN-23(正式名称 火星11A  Hwasong-11Ga)
 北朝鮮の固体燃料式戦術弾道ミサイルである。
 KN-23の外観はロシアの
   イスカンデルM
および韓国の
   玄武2B短距離弾道ミサイル
に類似したもの。
 米国のシンクタンクスティムソン・センターが運営する情報分析サイト
   38ノース
では「イスカンデルMを土台に開発された」と推定している。
 KN-23はイスカンデルMと同様に準弾道軌道を飛行するミサイルであり
   十分な濃度の大気
が存在する高度50km付近で比較的平坦な軌道を取りながら、操舵翼を動作させて飛行中に進路を変更することもできる。
 重量500kgの弾頭を装着した場合の射程距離は450km。
 より軽量な弾頭を装着することによって射程を690kmまで延伸することも可能と言われる。
 弾頭は通常の単一弾頭の他、クラスター爆弾弾頭、核弾頭を搭載できると考えられている。
 弾頭は分離せず、ロケットモーターと弾頭が一体のまま目標へ突入する構造である。

 イスカンデルMに類似するKN-23であるが、直径は1.1mと推定されており、これはイスカンデルMより大きい。
 この差異はKN-23が北朝鮮の
   潜水艦発射弾道ミサイル
の1つである北極星1号(KN-11)と同一の固体ロケットモーターを使用しているためであると考えられている。
  
 北朝鮮が2018年2月8日の軍事パレードでKN-23の存在を初めて公表した。
 最初の発射実験は2019年5月4日に元山付近で行われ、発射されたミサイルは240kmを飛行し高度60kmに達した。
 ただし、この実験に際して北朝鮮が公表した映像には明らかな編集操作がなされていた。
 5日後に再び発射実験として亀城付近から2発が発射され、1発は420km、もう1発は270kmを飛行し、いずれも高度50kmに達した。
 その後同月17日までに、在韓米軍はこのミサイルに「KN-23」のコードネームを付番した。
 2019年7月25日に行われた3回目の発射実験では、発射されたミサイルのうち1発がこれまでで最も長い690kmを飛行し、もう1発は430kmを飛行し日本海に着水した。
 飛行高度はいずれも50kmであった。
 2019年8月6日に行われた4回目の発射実験では、北朝鮮西岸から発射されたミサイルが平壌都市圏の上空37kmを通過し、450km飛行した。

 KN-23はロシアのウクライナ侵攻において初めて実戦投入された可能性が高い。
 アメリカ政府が機密解除した情報によると、2023年10月に北朝鮮からロシアへ複数の弾道ミサイルが引き渡された。
 その後2023年12月30日、ロシア連邦軍はウクライナへのミサイル攻撃を行った。
 この際着弾地点から発見された破片に、KN-23あるいはKN-24に特徴的な部品が含まれていたと報告されている。
 報告によると、ミサイルに取り付けられていた気圧計にチョソングルが書かれていたほか、 各種の部品に北朝鮮国内の工場名と思しき刻印がなされていた。

 イギリスに本部を置く
   紛争兵器研究所
の調査によると、ハルキウへの攻撃に用いられたKN-23の誘導制御装置の部品のうち、75%がアメリカ製の部品をベースとしたものであった。
 また、ハルキウ地方検察庁が発表した調査の中間報告によると、KN-23と思しきミサイルの部品にはソ連・ロシア製のミサイルの特徴である詳細な刻印や製造担当者の署名がないこと、配線が電線管の中でむき出しの状態となっており、イスカンデルMでは施されている電子戦への防護がなされていないことが明らかになっている。
 報告ではミサイルの種類の断定を避けており、ロシア製イスカンデルMの戦時設計版などの可能性も示唆している。
 ただ、状況証拠を総合するとKN-23である可能性が最も高いとしている。

 なお、2024年2月16日までにウクライナ側がまとめたデータによると、ロシア軍は北朝鮮から提供されたKN-23及びKN-24を計24発使用しているが、いずれも精度が低いと報告されている。
 精度が低い要因の1つとして
   日本製や欧州製を装った模倣品の部品が
KN-23及びKN-24に使われていることが関係しているとの指摘もある。

 同年7月31日ごろよりロシア軍によるKN-23の使用が再開され、ウクライナ空軍司令部による集計では同年8月6日から26日にかけて24発のKN-23とみられるミサイルの飛来が報告されている。
 なお、2次投入においても引き続き精度の低さが露呈しており、またKN-23の2次投入開始と同時期にイスカンデルMの戦術運用の報告が増加したことから、ロシア軍は前線の戦術目標への精密攻撃にイスカンデルMを、後方の戦略目標(都市攻撃など)への攻撃にKN-23を使用するようにしている可能性が示唆されている。
  
    
posted by manekineco at 07:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 株銘柄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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