2024年11月07日

トランプ氏復権の立役者マスク氏が巨額献金で手にした政界への影響力は?

 トランプ前米大統領の返り咲きにこれほど尽力したビリオネアは
   イーロン・マスク
のほかは余り目立ってはいないが、マスク氏の努力が報われるのか、電気自動車を中国で生産しているため、やけどを負う羽目になるかは、今後明らかになる。

 マスク氏は今回、ホワイトハウスに強力な味方を得るだけではなく、トランプ氏が、マスク氏に
   政府支出削減を指揮する正式な役割
を与えることを検討していると見られる。
 実際にそうなれば、政策や連邦政府機関に影響を及ぼし得る権限をマスク氏は手にすることになる。
 それにはマスク氏のビジネス帝国を監督する立場にある政府機関も含まれる。

 トランプ氏は昨晩、祝賀パーティーの会場にいた支持者向かってマスク氏を 「彼は個性的な人物だ。特別な男で並外れた天才だ」。と持ち上げた。
 その上で「我々は天才を守らなければならない。彼らのような人材はそう多くは存在しない」と続けた。

 投開票日から一夜明けた6日の米国株式市場で、テスラ株には取引開始直後から買いが殺到した。マスク氏は6日未明、自身のソーシャルメディア、X(旧ツイッター)の記録的な利用状況を示すグラフを投稿した。

 さらに大統領執務室にシンクを持ち込んだ自身のフェイク画像もXに投稿した。
 買収したツイッターの本社に自身がシンクを持ち込んだエピソードに重ねているのは明らかだ。
  
 マスク氏はここ数カ月、激戦州ペンシルベニア州での対話集会やマディソン・スクエア・ガーデンの選挙集会に出席するなど、トランプ氏にとって最も強力な支援者だった。

 さらにトランプ氏に加え、下院選の激戦区における共和党候補の当選を後押しするため
   1億3000万ドル(約200億円)余り
を提供した。
 今回の選挙サイクルにおける献金額で上位に躍り出た。

 マスク氏は選挙当日、テキサス州で投票した。
 その後、自家用ジェット機でフロリダ州に飛び、トランプ氏とその家族らとともに「マールアラーゴ」で開票結果を見守った。
 マスク氏の政治活動委員会(PAC)「アメリカPAC」は、祝賀会でトランプ氏と総合格闘技団体アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)のデイナ・ホワイト最高経営責任者(CEO)と肩を並べて座るマスク氏の写真を投稿した。

 マスク氏の個人資産はバイデン政権下で大きく変動した。
 ブルームバーグ・ビリオネア・インデックスによると、最高で3400億ドルまで増える一方、最低で1240億ドルまで目減りした。
 それでも、おおむね拡大傾向にあり、選挙日時点での純資産は2638億ドルだった。

 トランプ氏は9月下旬、政府支出の削減を指導するポストにマスク氏を起用する考えを表明した。
 役職を「コスト削減長官」と呼んでいるが、マスク氏は「政府効率化省(DOGE)」だと冗談を飛ばしている。
 自身が推進する暗号資産(仮想通貨)ドージコインにちなんだものだ。

 マスク氏は連邦予算の2兆ドル削減を支援すると確約している。
 標的となる省庁について具体的には言及していないが、自身の経営会社を監督する立場にある規制当局に対して、折に触れ激しい非難を浴びせてきた。 

 今週のジョー・ローガン氏のポッドキャスト番組でも、スペースXのロケットが規制当局の承認待ちで2カ月間にわたり発射台で足止めを余儀なくされたエピソードについて語っている。

 「規制当局が書類を承認するよりも短い時間でロケットを完成させることができる」とマスク氏は主張した。
 「まるでガリバーが数百万の小さな糸で縛り付けられているようなものだ。どれか1本が問題なのではなく、数百万もあることが問題だ」と語った。

 マスク氏に広範な権限が与えられれば、連邦政府機関の見直しで影響力を及ぼすことになる。
 
 対象となるのはマスク氏経営企業の多くを規制監督下に置き、かつ調査する権限を持つ政府機関だ。同氏はすでに、完全な自動運転車の承認手続きを加速させるために、手にする全ての権限を行使する考えを示している。

 想定される政府支出削減のポストは閣僚レベルの役職ではない見通しだ。これは、マスク氏がCEOの職務から退く必要がないことを意味する。

 マスク氏の支援はすでに、トランプ氏に影響を与えている。
 従来のEVへの強硬な反対姿勢には変化が見られ、8月の選挙集会では「私はEVに賛成だ。そうせざるを得ない。イーロンが私への強い支持を表明してくれたからだ。だから、選択の余地はない」とトランプ氏は述べた。
  
 トランプ氏はまた、同氏の2期目が終了する2028年までにスペースXのロケットで火星探査を実現するという、マスク氏の野心的な計画も支持している。
 10月の集会で「我々は米国人宇宙飛行士を火星に送る。ありがとう、イーロン。がんばれ」と10月の集会で述べた。

 かつて対立していたマスク氏とトランプ氏。今のところは両氏の利害は一致しているかもしれないが、エゴが強いことで知られる2人の間に緊張が生じる可能性もある。
  
 2人の関係がどうなるにせよ、マスク氏は今回の選挙で自身のビジネスだけでなく、自身が望む政策を推進するために活用できる強力な政治的影響力を手に入れた。
  
 マスク氏は5日、Xへの投稿で「アメリカPACは、選挙後も活動を続けていく予定だ」と述べた。中間選挙や地方検事、司法レベルの選挙に向けて準備を進めるという。
  
 マスク氏のアメリカPACは
   多数の有権者の連絡先
を入手しており、今後活用していくことができる。

 民主党は今回の選挙で、大富豪のマスク氏を「トランプ氏の親友」と位置づけ、その金銭力で選挙を左右させないよう有権者に訴えていた。
  
 だが、多くの点において、マスク氏はそれをやってみせた。 
  

ひとこと
 南アフリカ出身のマスク氏で米国に帰化し、成功者となったところだが、この先、野望が失望に変わるかどうかはまだわからない。

   
    
  
posted by manekineco at 07:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース・話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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