ヴァシル・イリエフ（Vasil Iliev）ブルガリアの犯罪組織VIS（Vyarnost, Investitsii, Sigurnostの略）の創業者でギャング、実業家、レスラー

ヴァシル・イリエフ（Vasil Iliev）

　　　1965年4月22日 - 1995年4月25日

　ブルガリアのギャング、実業家、レスラーであった。

　イリエフは、当時バルカン半島で最も有力なギャングとされていた。

　ヴァシル・イリエフは1965年、ブルガリアのキュステンディルに生まれ、レスラーとして大成功を収めた。

　ブルガリア国内チャンピオンに輝き、同国のレスリング連盟の会長も務めた。

　イリエフはより良い未来を求めてブルガリアを離れ、チェコスロバキアに渡った。

　そこで彼は、海外で活動するブルガリアマフィアの首謀者で、自動車窃盗、武装強盗、殺人に関与していた

　　　イヴォ・カラマンスキー

と出会った。

　到着から7〜8ヶ月後、ヴァシル・イリエフはドロベツァというあだ名の友人と共に逮捕された。

　彼は強盗の容疑でチェコの刑務所に2ヶ月収監されたものの、その容疑は立証されなかった。
　釈放後、彼はチェコスロバキアから強制的に国外追放され、1988年にハンガリーへ渡った。

　ハンガリーでイヴォ・カラマンスキーと共に自動車窃盗や通貨・金などの詐欺行為を行った。

　最終的に多額の金を稼ぎ、1990年にブルガリアに戻った。

　1年後にVIS（Vyarnost, Investitsii, Sigurnostの略）を設立した。

　同社の表向きの事業は保険・警備業であったが、実際には恐喝、盗難車の販売、殺人請負などを含む犯罪活動の隠れ蓑であった。

　同社は1994年に違法と宣言されたが、新たにVIS-2の下で活動は継続され、イリエフの犯罪帝国の新たな隠れ蓑となった。

　イリエフは後に、国連による禁輸措置下でセルビアに石油を密輸して、数百万ドルを稼いだ。

　この時までに、イリエフはバルカン半島で最も強力な犯罪ボスの一人となった。

　ヴァシル・イリエフは1995年4月25日、ソフィアの行きつけのレストランから出てきたところ、身元不明の武装集団が彼のメルセデス・ベンツに銃撃し、偽の交通事故を装って道路を封鎖した。

　この事件は非常に注目を集め、内務大臣は数分で現場に到着した。

　なお、別の車両で重武装していたイリエフのボディーガードは無傷だった。

　VISの次のボスは、弟の

　　　ゲオルギ・イリエフ

だったが兄の死からわずか10年後、ブルガリアのサニービーチで狙撃犯とみられる人物に射殺された。