ヴィクトル・アムーソ（Victor Amuso）1980年代後半から1990年代初頭にかけて君臨したルッケーゼ一家のボス

　ヴィットリオ・「リトル・ヴィック」・アムーソ（Vittorio "Little Vic" Amuso）

　　　1934年11月4日生まれ

　米国のギャングスター

　ルッケーゼ一家のボスで、1980年代後半から1990年代初頭にかけて君臨したアムーソの支配時代は、、アメリカマフィア史上最も血なまぐさい時代の一つとされ

　　　チャールズ・ローズ連邦検事補

は彼を「死のドン」と称した。

　これは、かつての副ボスであり、彼の側近で1994年にアムーソへの情報提供者となった

　　　アンソニー・カッソ

と共に、アムーソが支配していた時代と重なる。

　2019年3月にコロンボ一家のボスであった

　　　カーマイン・ペルシコ

が死去して以来、アムーソは1987年から続く五大ファミリーの中で最も長くボスとして君臨した。

　アムーソは1992年から殺人と恐喝の罪で終身刑に服しており、現在はノースカロライナ州バトナーの連邦刑務所に収監されている。

　ヴィットリオ・アムソは1934年11月4日に生まれ、ブルックリンのカナーシーで育った。

　1940年代後半、ルッケーゼ一家の前身であるガリアーノ一家の有力なカポレジム

　　　アンソニー・「トニー・ダックス」・コラーロ

と知り合った。

　アムソは

　　　カーマイン・「グリブス」・トラムンティ

のボディガード兼運転手を務めていた。

　アムソはバーバラと結婚し、ヴィクトリアという娘が一人いる。

　彼らはクイーンズ区ハワードビーチに居住している。

　アムソは後にブルックリンでプロファチ・ファミリーのボス

　　　ジョセフ・「クレイジー・ジョー」・ギャロ

の執行官となった。

　1960年代初頭、ギャロ兄弟は長年のボスである

　　　ジュゼッペ・「ジョー」・プロファチ

がギャロの利益を食い物にしていたためプロファチとファミリーの旧プロファチ派に宣戦布告した。

　アムソはプロファチ派のメンバー数名を殺害したとされている。

　1960年代初頭、ジョー・ギャロら12名と共に恐喝罪で投獄された。

　ジョー・ギャロは1971年初頭に釈放された後もファミリーへの抗争を続けた。

　1971年6月28日、ボスの

　　　ジョセフ・コロンボ

が射殺された。数か月後の1972年4月7日、ジョー・ギャロは43歳の誕生日を祝っていたマンハッタンのリトル・イタリーで射殺された。

　コロンボ・ファミリーの多くのメンバー、特にかつてのギャロ・クルーのメンバーは、他のファミリーへと移籍した。

　アムーソはその年のいつか、ルッケーゼ・ファミリーに移り、

　　　クリストファー・“クリスティ・ティック”・ファーナリ

がボスとして率いる「19番ホール・クルー」の仲間となった。

　アムソは、アンソニー・「ガスパイプ」・カッソと共に、フルナリの最も有力な後継者の一人となった。

　1972年12月21日、アムソは「ハウス・オン・モーガン・アベニュー」の外で警察に逮捕された。

　そこは「ブロンクス・コネクション」という

　　　キックバック詐欺

の隠れ蓑であり、最高2万ドルで受刑者に仮釈放を売りつけていた。

　おそらく建物の所有者で、ルッケーゼ家と連絡役を務めていた市の刑務官であり、ルッケーゼ家の仲間でもある

　　　リチャード・クーロ

と会うためだった。

　アムソは逮捕時、飛び出しナイフと仮釈放書類のファイルフォルダーを所持していた。

　1977年、アムソはルッケーゼ家の「メイドマン」となった。

　1977年5月30日、アムソはカッソと共に、バンコクからヘロインを密輸する

　　　麻薬密売組織への関与の疑い

で逮捕された。

　ブルックリンのギャングたちが逮捕された当時、アムソは3ポンドのヘロインを所持していたことが発覚した。

　ヘロイン密売はアムソ、彼の協力者であるカッソ、そしてルッケーゼ家の他の2人の仲間によって指揮されていた。

　彼らは全員投獄された。

　フルナリは1980年にコンシリエーレに昇進し、アムソがカポとして後任となった。

　フルナリはカッソを後任に迎えることを望んだが、カッソはフルナリの副官になることを望んだ。

　なお、コンシリエーレは1人の兵士を直接従えることが許されていた。
　1986年4月13日、ガンビーノ一家の副ボス

　　　フランク・デシッコ

が、車の下に仕掛けられた爆弾の爆発により死亡した。

　爆弾は

　　　ハーバート・ペイト

が仕掛け、アムソ、カッソ、そしてヴィックの弟ロバートが駐車中の車からその様子を見守っていた。

　なお、標的はガンビーノのボス

　　　ジョン・ゴッティ

とされていた。

　ゴッティは以前、デシッコと共に、委員会の許可なく元ボスの

　　　ポール・カステラーノ

の殺害を計画していた。

　アムソとカソは、ジェノベーゼ一家のボス

　　　ヴィンセント・「チン」・ジガンテ

と共にゴッティの処刑を計画していたが、誤ってデシッコを殺害したと見られている。

　カッソは後に、自分とアムソがジガンテと共謀していたと証言したが裁判ではこの件は取り上げられなかった。

　なぜなら、カッソは何年も後に証人保護プログラムから除外されたからである。

　1985年2月15日、コラーロ、フルナリ、そして副ボスの

　　　サルヴァトーレ「トム・ミックス」サントロ

は、五大ファミリーの主要ボスたちと共にマフィア委員会裁判で起訴された。

　コラーロは1986年初頭、後任として弟子の

　　　アンソニー「バディ」ルオンゴ

をボス代行に任命した。

　ただ、同年12月頃、ルオンゴは姿を消した。

　当時ルオンゴの運転手兼ボディガードを務めていたアムソが、カッソの協力を得て、最後の強敵を排除するためにルオンゴを殺害したという噂が流れた。

　1986年後半までに、コラーロは、自分、サントロ、そしてフルナリが終身刑に処される有罪判決を受ける運命にあることを悟った。

　内部抗争を避け、一族の平和的な権力移譲の伝統を守るため、コラーロはアムソとカッソをフルナリの邸宅に招集した。

　ここで、どちらかがボスの後継者となることを決定した。

　フルナリはその後、二人の弟子と面会し、どちらがボスの後継者となるかを決めるよう指示した。

　最終的にアムソが後継者となることが決定された。

　アムソは1986年後半にボス代行に任命された。

　1987年1月13日にコラーロらが終身刑を宣告された後、正式にボスとなった。

　1978年から1990年にかけて、ニューヨークの5つの犯罪組織のうち、ルッケーゼ一家を​​含む4つの組織が、ニューヨーク市住宅局が発注した窓工事契約のうち、総額1億9100万ドルのうち75%（約1億4200万ドル）について不正入札を行っていた。

　設置業者は、設置した窓1枚につき1ドルから2ドルの組合への賄賂を支払う義務があった。
　1988年、アムソがカッソを副ボスに任命してからは、血みどろの争いはさらに激化した。

　1980年代後半、アムソとカッソは、ニュージャージー州に拠点を置く一族の強力な派閥「ジャージー・クルー」のボス

　　　アンソニー・「トゥマック」・アチェトゥーロ

と、アチェトゥーロが一族の事務局に送金する利益をめぐって口論を始めた。

　アチェトゥーロは年間5万ドルしかニューヨークに送金していなかった。

　これに対し、アムソとカッソはジャージー・クルーの年間収入の半分を要求した。

　アチェトゥーロが拒否すると、アムソは彼の階級を剥奪した。
　1988年秋、ジャージー・クルーの全員がブルックリンでアムソと会うよう招集された。

　クルーのメンバー10人が会合に出席したが、殺害される仕組まれているのではないかと恐れた彼らは、全員車で急遽立ち去った。

　激怒したアムソは、ジャージー・クルー全員の殺害を命じた。

　これは今や悪名高い「ジャージーを叩け」命令だった。

　間もなく、ニュージャージー・クルー全員が潜伏し、ニュージャージーにおけるルッケーゼ一家の勢力は壊滅した。

　アムソとカッソは、離反者や潜在的なライバルとみなされる人物を、少しでも疑わしいだけ強制的にで排除し続けた。
　その後12ヶ月の間に、ニュージャージーのクルーのほとんどが家族の元に戻った。

　アムソは戻ってきたクルーに、アチェトゥーロは無法者であり、処分する必要があると告げた。

　アムソはアチェトゥーロを捜索するためにフロリダに殺し屋を送った。

　ただ、アムソはアッチェトゥーロがニュージャージー州で州議会での証言を拒否したために投獄されていたことに気づいていなかった。

　アチェトゥーロは後に情報提供者になった。

　アチェトゥーロのかつての弟子であり、長年のライバルでもあった

　　　マイケル・「マッド・ドッグ」・タチェッタ

は、アムソからも軽蔑されていた。

　1993年の有罪判決に向けて、ニュージャージー州北部のルッケーゼ・ジャージー・クルー（彼らの派閥の愛称）を乗っ取ったと伝えられている。

　そして最終的にアチェトゥーロは情報提供者になることに同意した。

　1990年5月30日、アムソとカッソは

　　　ウィンドウズ事件

の組織犯罪捜査の一環として起訴された。

　事前に知っていたアムソとカッソは身を潜めた。

　アムソはアボス代理に

　　　アルフォンス「リトル・アル」ダルコ

を任命した。

　ただ、ヴィック・アムソとトニー・カッソの流血はまだ終わっていなかった。

　ルッケーゼのカポレ政権のリーダー

　　　ピーター「ファット・ピート」キオド

が1991年にRICO法違反で起訴された。

　アムソは、キオドが密告者になったと疑いを持ち、キオドを殺害することを決意した。

　1991年5月8日、3人の銃撃者がキオドを12発撃ったが、殺害には至らなかった。
　数週間後、アムソはキオドの弁護士に、妻が殺害予定であるとの通告を送った。

　これは、女性に危害を加えてはならないというマフィアの長年の掟に違反していた。

　その後、ある殺し屋チームがキオドの妹を危うく殺害するところだった。

　この動きは見事に裏目に出て、キオドは政府の情報提供者となった。

　同年、アムソを含む五大ファミリーの主要ボス数名に対する証言に同意した。

　キオドは、ウィンドウズ事件の全容疑、複数の殺人罪と共謀罪、高利貸しと恐喝、そしてクイーンズ、ブルックリン、マンハッタン、ブロンクス周辺におけるマネーロンダリングと麻薬密売の詳細を暴露した
　アムソは他にもいくつかの命令を出し、ルッケーゼ一家の内外の多くの人々が、彼がもはや理性的な行動をとっていないと結論づけた。

　彼とカソは殺害を望む49人のリストを作成したが、その半数はルッケーゼの取り巻きだった。

　また、ガンビーノのボス

　　　ジョン・ゴッティ

に対する爆破計画の一環として、フィラデルフィアの犯罪一家から爆弾専門家を連れてくるようダルコに命じた。

　アムソは、キオドへの暗殺未遂の責任をダルコに負わせ、怒りをぶつけた。

　そして、自身の不在時に一家を統率する4人からなる委員会を任命し、事実上ダルコを降格させた。

　1991年7月29日、FBI捜査官はペンシルベニア州スクラントン郊外のショッピングモールでアムソを逮捕した。

　アムソが命令伝達に使用していた秘密電話システムを知る人物からFBIに密告されたという強い兆候があった。
　その後まもなく、マンハッタンのホテルで開かれたルッケーゼ一族の幹部会議で、ダルコは殺害されるべく仕組まれた。

　ダルコはシャツの下に銃を隠し持っている男を見つけた。

　男はその後トイレに行き、出てきた時には銃がなくなっていた。

　次にトイレから出てきた男が銃を乱射する可能性が高いと悟ったダルコは、命からがら逃げ出し、証人として証言した。

　彼の証言、そしてキオドをはじめとする多くの証言は、アムソの事件にとって決定的な材料となった。

　別の組織犯罪裁判で、アムソは1991年6月15日、9件の殺人を含む54件の容疑すべてで有罪判決を受けた。

　1992年10月9日、アムソは終身刑を宣告された。

　カソは1993年に逮捕されるまでの2年間、なんとか自由の身でいた。

　その頃までに、アムソは逮捕の状況にしばらく憤慨しており、カッソがボスの座を奪おうとFBIに密告したと信じるようになった。

　1993年後半、アムソはカッソを副ボスの地位から解任し、ルッケーゼ一族のマフィア全員に彼をパーリアとみなすよう命じた。

　これは事実上、約30年来の同志をファミリーから追放したようなものだった。

　カッソはこれに対し、自ら密告者となった。アムソとカッソの両名が投獄された後、米国政府は、逃亡中および裁判中に、二人の汚職刑事

　　　ルイス・エポリト

　　　スティーブン・カラカッパ

を個人的な殺し屋として使い、それぞれ10〜12件以上の殺人を指示していたとされる事実を突き止めた。

　1991年、元ボス代理の

　　　アルフォンス「リトル・アル」ダルコ

の証言によりアムソが起訴された。

その後、アムソは、裁定委員会メンバーの

　　　スティーブン「ワンダーボーイ」クレア

　　　アンソニー「ボワット」バラッタ

　　　サルヴァトーレ「サル」アヴェリーノ

　顧問の

　　　フランク「ビッグ・フランク」ラストリーノ

の協力を得て、カポレジムの

　　　ジョセフ「リトル・ジョー」デフェデ

をボス代理に昇格させた。

　この頃、ラストリーノはアムソとアンソニー「ガスパイプ」カッソの起訴を利用して状況を有利に進めた。

　ブルックリンの派閥リーダーである

　　　ジョージ「ジョージー・ネック」ザッポラ

　　　フランク「ボーンズ」パパニ

　　　フランク・ジョイア・ジュニア

　　　ジョージ・コンテ

と手を組んでファミリー内での権力を握った。

　1992年初頭、アムソはルッケーゼ一家内で対立が深まりつつあることを懸念していた。

　一部のギャングは、アムソがいなくなったことで自分たちが一家を牛耳れると考えていた。

　ライバルは一家の旧ブロンクス派であり、アムソは自分が依然として一家の実権を握っていることを証明しなければならないと感じていた。　

　1992年4月3日、一家で最も有力なボスの一人

　　　アニエロ・「ニール」・ミグリオーレ

は、ニューヨーク州ロングアイランドのウェストベリーにあるレストランで、友人の孫娘の誕生日を祝っていた。

　パーティーの最中、通りかかった車に乗った銃撃犯がレストランの窓越しにショットガンを1発か2発発砲した。

　弾はミグリオーレの頭部と胸部を撃ち抜いた。

　ただ、負傷したものの、ミグリオーレは一命を取り留めた。

　しかし、この暗殺未遂事件によってミグリオーレが一家から離れることはなく、1990年代を通して活動を続けた。
　1992年、アミュソはブロンクス派の

　　　アニエロ「ニール」ミリオーレ

を殺害しようとしたとされ、ブロンクス派のライバルたちを統制するため、別のブロンクス派閥のリーダーである

　　　スティーブン「ワンダーボーイ」クレア

をルッケーゼ一家の新たな強力な副ボスに任命した。

　しかし、この決定は一家内部で新たな抗争の引き金となりかけた。

　クレアはジョセフ「リトル・ジョー」デフェデと共に、一家の権力の中枢をニューヨークのブルックリンから数十年にわたり支配してきたブロンクス派へと戻そうとした。

　しかし、これは投獄されたボスの

　　　ヴィック・アミュソ

とブルックリン派の支持者たちの不満を招いた。

　犯罪一家の顧問フランク「ビッグ・フランク」ラストリーノは、ボスの

　　　ジョージ・ザッポラ、

　　　フランク・パパニ

　　　フランク・ジョイア・ジュニア

を使ってスティーブン・クレアの殺害を計画した。

　さらにボス代理のスティーブ・クレアの死を利用してルッケーゼ一家を掌握しようと計画していた。
　当時、米国の法執行機関もこれらのメンバーをファミリーの実質的なリーダーと認識しており、ガンビーノ・ファミリーのボスである

　　　ジョン・「ジュニア」・ゴッティ（ジョン・ゴッティの息子）

とそのライバルである

　　　ニコラス・「リトル・ニック」・コロッゾ

を殺害してガンビーノ一家を分裂させると脅迫する盗聴器を盗聴していた。

　この陰謀には、ジェノベーゼ・ファミリーのボスである

　　　ヴィンセント・「チン」・ジガンテ

と、逃亡中のリーダーで逮捕前の

　　　アンソニー・「ガスパイプ」・カッソ

も関与していた。

　ただ、当時の大規模な起訴により、陰謀に関与した3つのファミリーのメンバー全員が処刑された。

　このため、この陰謀は成功せず、共謀者のほとんどが刑務所に送られる中、アムソは刑務所からファミリーを支配し続けた。
　1990年代半ば、ブルックリンの派閥リーダーの大半（その多くはアムソのライバルとして知られていた）が様々な罪で投獄された。

　ルッケーゼ一家の安定を保つため、アムソは忠実な友人でありブルックリンのボスである

　　　ルイス「ルイ・ベーグルズ」ダイドーネ

をフランク・ラストリーノに代わりコンシリエーレに昇進させた。

　また、アムソは

　　　ジョセフ「リトル・ジョー」デフェデ

を一家のボス代理として留任させた。

　デフェデはガーメント地区など、一家の重要な事業を監督し、月収4万ドルから6万ドルを稼いでいた。

　アムソはブロンクスの

　　　スティーブン「ワンダーボーイ」クレア

を副ボスとして留任させ、建設業や組合の組織運営を監督させ、一家に月収30万ドルから50万ドルを稼がせた。

　ダイドンは、借金の回収と肉体労働、つまりギャンブルや高利貸しの借金の回収、恐喝、そして殺人依頼とされるものまで、あらゆる業務を担当するクルーと街頭兵の指揮権を握った。

　ダイドンがナンバー3に昇進した後、ロングアイランドのカポレジームの

　　　ジョセフ「ジョーC」カリディ

が、ダイドンの元クルーの指揮に就任した。

　1998年4月28日、デフェデは1992年から1997年にかけてニューヨークのガーメント地区で犯罪組織の監督にあたったことに起因する9件の組織犯罪で起訴された。

　検察は、1980年代半ば以降、ルッケーゼ一家はガーメント地区で支配する組織から毎月4万ドルから6万ドルの収益を得ていたと報告した。

　1998年12月、デフェデは罪状を認め、懲役5年の判決を受けた。

　有罪を認めたことに憤慨したアムソは、デフェデが犯罪組織に忠誠を誓っているかどうか疑念を抱き、後に彼を裏切り者であり窃盗犯であるとみなすようになった。
　1998年にジョー・デフェデが投獄された後、アムソはブロンクスの派閥リーダー

　　　スティーブン・「ワンダーボーイ」・クレア

をルッケーゼ一家の新たなボス代理に指名した。

　アムソに忠実な副ボスであるクレアは、投獄されたボスに一家の利益の多額の送金を開始した。

　これにより、アムソはデフェデがボス代理を務めていた間ずっと一家から利益を着服していたと確信した。

　アムソは1999年末、デフェデの命を狙う契約を交わすことを決意した。

　2000年9月6日、クレアとルッケーゼ一家7人が恐喝罪で逮捕、投獄された。

　クレアは最終的に2001年に有罪判決を受け、懲役5年の刑を宣告された。スティーブン・クレアは2006年に釈放された。
　2001年にクレアが投獄された後、有力なコンシリエーレ

　　　ルイ・「ルイ・ベーグルズ」・ダイドーン

がボス代理に昇進し、犯罪組織の日常業務を統括し始めた。

　当時、ファミリーで最も強力かつ危険なメンバーの一人であったダイドーンは、投獄された元ボス代理の

　　　ジョセフ・「リトル・ジョー」・デフェデ

に対してアムソが命じた契約の監督を継続した。

　デフェデはアムソが自分の命を狙う契約を結んだことを知らなかった。

　ただ、投獄中にカポから兵士に降格されたことで、ボスの

　　　ヴィック・アムソ

の信頼を失い、深刻な問題に直面する可能性があることに気づいた。

　2002年2月5日にデフェデが釈放されると、かつてのアムソの盟友であった彼はすぐに政府に助けを求め、情報提供者になったと報じられた。

　連邦の証人となった

　　　ジョー・デフェード

　　　アルフォンス「リトル・アル」ダルコ

は、ルッケーゼがニューヨーク市周辺に拠点を置いて運営していた組織犯罪に関する情報を米国政府に提供した。

　この情報は連邦政府が旧アムソ派の壊滅を継続するのを助けた。
　ダルコとデフェデは、賭博、高利貸し、恐喝といった違法な組織に関する情報に加え、過去の殺人事件に関する情報も提供した。

　1980年代から元ルッケーゼ家の副ボス

　　　アンソニー・「ガスパイプ」・カッソ

に協力し、多額の賄賂を受け取っていた警官

　　　ルイス・エポリト

　　　スティーブン・カラカッパ

の起訴につながった。

　ニューヨーク市警で数々の勲章を授与されたこの2人の警官は、カッソとルッケーゼ一家によって、ニューヨーク・マフィアの構成員に関する進行中の警察捜査や事件に関する貴重な情報を得るために利用されていた。

　この2人の悪徳警官は、ライバルや政府の情報提供者と思われる人物を誘い出して殺害に追い込むためにも利用された。

　また、場合によっては被害者を自ら処刑した。

　ダイドーンは2003年に組織犯罪と殺人の罪で終身刑を宣告され、同年にはルッケーゼ一家の他の著名な構成員12人以上が様々な罪で投獄された。

　2003年に代理ボスの

　　　ルイ・ディアドーネ

が有罪判決を受け投獄された後、アムソは有力なボスで構成される新たな統治委員会を設立し、犯罪組織の日常業務を監督・運営した。

　ルッケーゼ一家の著名な幹部である

　　　アニエロ・「ニール」・ミリオーレ

　　　マシュー・「マット」・マドンナ

　　　ジョセフ・「ジョーイ・ディー」・ディナポリ

がアムソによって選抜され、犯罪組織を率いている。

　これらの幹部は、協力して活動する街のボスとして選ばれた。

　アムソは特定のメンバーを正式な副ボスの地位に置くのではなく、3人の有力なボスに権力を分散させた。

　かつてはコラロ一家の一員であり、アムソのライバルでもあったミリオーレは、現在、ルッケーゼ一家で最も有力なマフィアの一人と言われている。

　2006年、元ボス代理の

　　　スティーブン・「ワンダーボーイ」・クレア

が釈放され、統治委員会が引き続き犯罪組織の日常業務を運営した。

　2009年後半、統治委員会メンバーのマドンナとディナポリは、労働組合の組織ぐるみの組織犯罪、違法賭博、恐喝の罪で起訴された。

　2009年、スティーブン・クレアが犯罪組織のボス代理に就任した。

　2014年7月現在、アムソはルッケーゼ一家の正式なボスであり続けている。

　アムソはメリーランド州カンバーランド連邦矯正施設で殺人罪と恐喝罪で終身刑に服している。

　マフィアの歴史家

　　　セルウィン・ラーブ

によると、アムソの残忍な戦術により、一家の正式メンバーの半数以上が殺害、投獄、あるいは密告によって失われたという。

　2019年5月、政府関係者で元ルッケーゼ軍人の

　　　ジョン・ペニシ

がユージン・カステルに対する裁判で証言し、一家の現在のリーダーを明らかにした。

　ペニシは、2017年に終身刑に服しているボスの

　　　ヴィック・アミュソ

が副ボスの

　　　スティーブン・クレア

に手紙を送り、ブルックリンを拠点とするマフィアの

　　　マイケル「ビッグ・マイク」デサンティス

がブロンクスを拠点とする

　　　マシュー・マドンナ

に代わってボス代理に就任するだろうと伝えたと証言した。

　ペニシの証言によると、ブロンクスのグループが退陣を拒否した場合、投獄されているボスのアムソが、ブロンクスのグループのリーダーと数人のメンバーを含む暗殺リストを承認したとのことである。

　ペニシの証言の中で、彼はルッケーゼ・ファミリーが合計7つのグループで活動していることを明らかにした。

　ブロンクスに2つ、ロングアイランドに2つ、マンハッタンに1つ、ニュージャージーに1つ、そしてスタテンアイランドのトッテンビル地区に拠点を置くカステッルッチ・ブルックリン・グループ（以前はアムソ・カッソの古いグループ）である。

　捜査官は、ブルックリンを拠点とするマフィアの

　　　パティ・「レッド」・デロルッソ

が新しい代理の副ボスに、ブロンクスを拠点とするマフィアの

　　　アンドリュー・デシモーネ

が新しいコンシリエーレに就任したと述べている。

　　

　　　　

　　
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