2024年10月16日

ハリス、トランプ両氏いずれが勝利でもインフレ率や成長率は同程度か

 ブルームバーグが調査したエコノミストの結果、11月の米大統領選で民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前大統領のいずれが勝利しても、米インフレ・成長見通しはほぼ同じだとみているという。
 ただ、経済全体を巡る評価ではハリス氏の方が高めとなっている。

 7−10日にエコノミスト29人を対象に実施した調査では、今後4年間の平均でいずれの候補者が当選の場合も、米金融当局がインフレ指標として重視する
   個人消費支出(PCE)価格指数
は年率2.2%上昇、国内総生産(GDP)は同2%増と見込まれている。

 米金融当局は物価目標を2%とするとともに、金融当局者は四半期経済予測で長期的なGDP伸び率見通しを1.8%としており、最新のエコノミスト調査の予想はいずれもやや高めの数字となっている。

 どちらの候補者が当選しても比較的高めの金利が予想される一因だが、ハリス政権誕生となった方がトランプ政権の場合に比べ金利は低くなるとエコノミストはみている。

 両候補が掲げる経済政策は非常に異なっているため、インフレ率や経済成長率の予想がいずれの候補の場合も同様の数字となったのには意外感が市場に広がった。

 なお、エコノミストの62%はハリス氏の方が経済成長や雇用、インフレの長期見通しにとって一段と好ましい政策課題を追求すると予想しており、トランプ氏の方が好ましい政策を推進するとの予想を示したのは残りの38%しかなかった。

 トランプ氏の政策課題で最大の懸念があるのは関税政策で、同氏は全輸入品に一律20%の関税、中国からの輸入品には最大60%の関税を課すとしており、当然、輸入物価が急騰することを意味している。
 なお、他国・地域はこれに対抗する形で米国からの輸入品に関税を賦課する可能性があり、その場合、インフレ率を押し上げて経済成長率の鈍化につながる恐れが高い。

 物価高や高金利に懸念を抱く有権者に対し、ハリス、トランプ両氏の陣営は自分たちの政策の方が経済の強化をもたらすと訴えている。
 ただ、どちらもまだそのための財源を完全には説明しておらず、いずれの候補の政権下でも米国の財政問題は悪化することになり、資金を日本国民が保有している資産を流し込もうと政治的圧力を高め、反対する勢力を抑え込むため与野党政治家の発言を誘導すべくマスコミを使った偏向報道などを繰り返して世論誘導を工作しかねない状況が迫っているともいえる。

 米財政赤字は現在1兆9000億ドル(約284兆円)前後だが、エコノミストはトランプ政権誕生なら今後4年間の平均は2兆2500億ドル、ハリス政権なら同2兆ドルになると予想しており、穴を埋めるための資金をどこから流し込むかに注目したい。

 ハリス氏は富裕層や法人への増税を計画しており、同氏の政策の方が総じて赤字幅の上積みが少なめになるとみられている。
 ただ、児童税額控除の拡充などハリス氏のプログラムの一部は財政に負担となる。

 一方、トランプ氏は在任中に成立し、2025年末に失効する個人所得税率引き下げなど「トランプ減税」の延長や、法人税率の一層の引き下げを掲げており、連邦の歳入はさらに落ち込むこと可能性が高い。
 同氏の陣営はその穴埋めのため歳出削減やエネルギー生産の拡大、関税賦課に頼るとしており、売りつける先の日本が穴埋めを売る羽目に陥りかねない。

  
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トランプ氏が関税は成長を促進と主張したうえ、日鉄の買収計画は阻止すると再び発言

 米大統領選の共和党候補である
   トランプ前大統領
は15日、エコノミック・クラブ・オブ・シカゴでブルームバーグ・ニュースの
   ジョン・ミクルスウェイト編集主幹
とのインタビューに応じ、「われわれは成長に注力している。わが国に企業を呼び戻す」と述べたうえ、自身が掲げる関税政策は米経済の成長押し上げに寄与するとの考えを示した。

 外国製品への関税を大幅に引き上げる自身の政策は「既存企業と参入する新たな企業」を守るためのものだとし、正当性を主張した。

 貿易業に従事する米国人が関税によって影響を受けるとの見方には異議を唱え、国内で新たに創出される
   製造業の雇用
によって相殺されると指摘した。
 関税によって米国への製造業回帰を迫るとし、「関税が高ければ高いほど、それを支払わなくて済むよう企業は米国内で工場を建設するだろう」と続けた。

 トランプ氏はまた、日本製鉄によるUSスチール買収計画を阻止する考えを改めて表明した。
 この買収計画について「恐ろしい前例となる」とし、鉄鋼は
   国家安全保障上、極めて重要だ
と述べ日本製鉄による買収の動きを批判した。

 トランプ氏は、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任を目指すかとの質問については回答を避けたが、大統領が金利の変更について中銀トップに意見を述べるのは妥当との考えを示した。

 また、「良識ある優れた大統領であれば、少なくとも彼と話すことはできるはずだ」と発言した。
 大統領が政策金利の変更を強制できるべきだとは思わないとも付け加えた。

 トランプ氏がFRB議長の仕事を揶揄する場面も見られ、「月に一度出勤してて『コインを投げて決めよう』と言うだけで、誰もが神のようにあがめる」と述べた。

 司法省がグーグルに
   強制分割
を迫るべきかどうかについては明言を避け、「より公平」にするために何らかの措置が必要だと思うが、アルファベットが事業の一部をスピンオフさせる必要はないかもしれないと続けた。

 著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏は新著で、トランプ氏が2021年の大統領退任後、ロシアの
   プーチン大統領
と何度か電話で話したことを言及している。

 なお、「それについてはコメントしないが、もし私が話したとしたら、それは賢明なことだ」とトランプ氏は発言しており、ロシアにおけるトランプ自身の不動産開発事業の動きも気になるところだ。
 また、「私が人と仲良くし関係を築いているなら、それは良いことであって、悪いことではない」と続けた。
 
    
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2024年10月14日

民間人を1割のエラーとして「容認」して犠牲にするイスラエルのAI兵器

 高度な技術で知られるイスラエルは、パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘で意思決定を迅速化し、攻撃の正確性などを高めるため
   人工知能(AI)
を搭載した武器を使用している。
 ただ、有識者らは、かえって民間人の犠牲を拡大させていると指摘し批判が強まっている。
  
 イスラエルのウェブメディア「+972マガジン」は4月、6人のイスラエル軍関係者の話として、軍が昨年10月の戦闘開始当初、標的の選定と追跡にAIを使い、多数の民間人が巻き添えになっていると報じた。
 使われたのは「ラベンダー」と呼ばれるAIのデータベースで
   監視システム
を通じて、ガザに住む230万人のほとんどの個人データを収集した。
 ハマス戦闘員の特徴をAIに学習させ、人々を1から100までの数字でランク付けし、戦闘員と疑われる
   特徴が多い人は自動的に標的の対象
としたものだ。
 なお、データでは下級の戦闘員も含めて、最大3万7000人がリストアップされた。
 過去の戦争では、標的はハマス幹部に限られていたが、今回は対象範囲を広げており、誤った認識情報で関係のない民間人がへの攻撃が続いている。


ひとこと
 こうした兵士の消耗を回避する思考は硫黄島の攻略で日本軍に手こずり多くの死傷を生じさせた米軍が沖縄戦で無差別攻撃を実行した。
 また、都市部への焼夷弾や爆弾投下や原爆投下など当時でもジュネーブ条約に違反する蛮行を繰り広げた思考と同じだ。

   
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2024年10月06日

フォルティスグループ(Fortis Group) リーマンショックで破綻した欧州の金融グループ

フォルティス( Fortis、旧称Fortis NV/SA)
 欧州ベネルクスを拠点とする保険、銀行、投資管理業務を行う世界的な金融サービスグル​​ープとして存在した
   ベルギー・オランダ系総合金融機関
で、1990年にベルギーとオランダの保険会社であるAMEV社とVSBグループ社の3社による合併により設立誕生し、ブリュッセルに本社を置いていた。

 1998-1999年にスエズSA からベルギー総合会社を買収するなど、複数の買収を通じて急速に成長した。
 従業員は全体で80000人以上を擁し、2007年度の銀行売り上げで欧州においては
に次ぐ第2位にランクインし収益で世界第20位の金融サービス企業となった。
 ユーロネクスト・ブリュッセル、ユーロネクスト・アムステルダム、ルクセンブルクの証券取引所に上場していた。

 フォルティスは、2007年に
   ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ
と共同で
   ABNアムロ
を買収したことで、2008年の金融危機(リーマンショック)で深刻な問題に直面した。
 同社はベルギー政府とオランダ政府から緊急救済を受け、その後すぐに解体された。

 その結果、フォルティス銀行ネダーランドはオランダ政府によって国有化された。
 2007年の買収後まだフォルティスと統合されていなかったABNアムロの旧オランダ事業と2010年7月に合併し、同じく
   ABNアムロ
と呼ばれる新しいグループを形成した。
 その他の銀行業務は2008年に
   BNPパリバ
に買収され、それぞれベルギーの
   BNPパリバ・フォルティス(フォルティスのブランドは保持)
ルクセンブルクの
   BGL BNPパリバ
ポーランドの
   BNPパリバ・バンク・ポーランド
トルコの
   Türk Ekonomi Bankası
の一部となった。
 フォルティスのオランダの保険事業は、フォルティスが1997年に買収したオランダの保険会社の名前をとって
   ASR Nederland
として再編された。
 残った保険事業は依然としてベルギー最大規模であり、2010年4月に
   Ageas
にブランド名を変更した。
 2022年現在、フォルティスのブランド名はベルギーの
   BNPパリバ
によってまだ使用されているものの、そのカラフルなロゴは買収後間もない2009年に廃止された。

 Fortis は、保険会社AMEV ( Algemeene Maatschappij tot Exploitatie van Verzekeringsmaatschappijen、以前は「De Utrecht」として知られるLevensverzekering-Maatschappij Utrecht  )とVSB Groep  の合併の結果として 1990 年に誕生した。
 ユトレヒトと名付けられた統合事業体は、1990年12月にベルギーの保険会社である
   AG Insurance
が加わり、その結果できたグループはFortisという名称となり、欧州金融サービス部門における国境を越えた合併の画期的な前例を確立した。

 1993年、フォルティスはベルギーの大手銀行
   ASLK/CGER
の過半数株式を取得し、1999年に完全子会社化した。
 一方、ASLK/CGERは1995年に別のベルギーの大手銀行
   Société Nationale de Crédit à l'Industrie
を買収した。
 1997年3月、フォルティスはABNアムロからオランダの投資銀行
   ミースピアソン(MeesPierson)
を買収し、投資銀行業務での地位を確立した。

 1998年6月、フォルティスはABNアムロとの熾烈な買収争いに勝利し、ベルギーの大手銀行
   ジェネラル銀行(GB)
を買収した。
 2000年3月、VSB銀行、ASLK/CGER、GBの支店はすべてフォルティス銀行としてブランド名を変更した。

 2000年、フォルティスはオランダの保険会社
   ASR Nederland
を買収した。
 ASR Nederland自体は、有名な保険会社
   シュタッド・ロッテルダム・フェアケリンゲン
         (Stad Rotterdam Verzekeringen)
との最近の合併によって設立されたもので、オランダで2番目に大きい保険会社、ベネルクス全体では最大の保険会社となった。
 2002年11月、フォルティスはユニバーサル マルチチャネル銀行保険会社であり、ベルギー、ブルガリア、チェコ共和国、ハンガリー、スロバキアの個人顧客と中小企業に重点を置いていた
   KBCグループ
のオランダ法人向け銀行業務の大半を買収した。

 2003年8月、フォルティスはMeesPiersonの元子会社であるオランダの投資銀行
   Theodoor Gilissen Bankiers
をKBCに売却した。

 2005年4月、フォルティスはトルコの銀行
   Dışbank
をトルコ最大の複合企業Doğan Holdingから買収し、その支店もフォルティスに改名して海外展開を開始した。

 英国では2005年10月4日にプルデンシャル・ファイナンシャルから
   ドライデン・ウェルス・マネジメント
を買収したが、2000年以降は米国での保険事業を売却した。
 フォーブス誌によると、2006年時点で同社の利益は45億6000万ユーロ、時価総額は457億4000万ユーロだった。[要出典]

 2005年初め、フォルティスはサハラ以南アフリカの子会社である
   Banque Belgolaise
を売りに出したものの、適切な買い手が見つからず、フォルティスは2006年10月23日以降、すべての業務を停止した。
 2006年10月、同社はアイルランドの郵便サービス
   An Post
と合弁事業に署名し、An Post の支店ネットワークを通じて金融サービスを提供した。
 2006年10月、フォルティスは、806人の従業員と125を超える支店とフランチャイズを持つポーランドの個人向け銀行
   Dominet
の100%を買収した。
 2007年には、 Pacific Century Insurance Holdings (後のFortis Insurance Asia )を買収し、アジアへの進出を強化した。

 2007年10月8日、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、フォルティス、サンタンデール銀行の3つの欧州銀行の連合が、それぞれの頭文字をとって名付けられた合弁会社である
   RFSホールディングス
を通じてABNアムロの買収を完了した。
 ABNアムロを分割後、フォルティスはベネルクス諸国における小売および事業活動と国際投資会社を取得した。
 小売活動をフォルティス銀行に統合するには
   オランダ銀行(DNB)
の許可が必要であったため、事業活動はEUの市場シェア規制により再売却した。

 フォルティス インシュアランス UK は、独自の社内世界規模の医療緊急サービス
   アシスタンス インターナショナル
を所有していた。
 フォルティスは、RSC アンデルレヒトとフェイエノールト ロッテルダムの サッカークラブのシャツ スポンサーでした。また、トルコ カップとルクセンブルク ナショナル ディビジョンのメイン スポンサーでもあった。

 2008年10月3日、オランダ政府がベルギー政府とFortis Bank Nederland、Fortis Verzekeringen Nederland、Fortis Corporate Insuranceの買収に合意したと発表した。
 2008年10月5日、ベルギー政府は
   Fortis Bank Belgium
を買収し、その75%を
   BNPパリバ
に再売却し、BNPパリバは
   Fortis Insurance Belgium
も買収したと発表した。
 ルクセンブルク政府はFortis Banque Luxembourgの3分の1を保有している。
 実際のFortisグループ自体は、ヨーロッパとアジアで保険を保有する
   Fortis Insurance International
のみを保有しており、事実上の空洞のままであった。

 2008年12月12日、裁判所の判決により、10月3日、5日、6日の売却は
   株主の承認 (遅くとも 2009年2月12日)
を条件とした。
 それまでは、オランダ政府が購入した部分を保有し、フォルティス銀行はベルギー政府の所有物となり、フォルティス保険ベルギーはフォルティス グループ (フォルティス保険インターナショナルと共に) に残った。

 2009年2月11日、株主は売却の承認を拒否したため、この売却は違法となった。
 さまざまな部分の実際の所有権は、さらなる交渉および/または訴訟の問題となった。
 再交渉の結果、株主の承認 (2009 年 4 月 8 日〜9 日の会議) を条件とする新しい取引が成立した。

 フォルティスは、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)およびサンタンデール銀行とのコンソーシアムの一員であり、2007年10月8日にABNアムロの発行済み株式の86%の買収提案が受け入れられ、史上最大の銀行買収の道が開かれたと発表した。
 2007年11月1日、ABNアムロの経営陣を変更するために臨時株主総会が開催された。
 RBSのマーク・フィッシャーがCEOに就任した。
 その会議でコンソーシアムは、全株式の97%を保有していると述べた。

 2009年2月26日、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドはABN-AMROの株式で160億ポンドを超える損失を計上すると発表し、買収価格は高すぎると市場では思われた。

 買収資金を調達するため、フォルティスは既存の株主に割引価格で追加の株式を発行した。
 1株あたり15ユーロという特別価格を実現した。

 しかし、2008年6月までに、フォルティスは
   国際金融危機
が迫っており、資本増強のために83億ユーロを追加調達する必要があると発表した。
 1億5000万株が当時の株価10ユーロで追加発行されたため、大局的に見ればまだお買い得な価格設定であった。
 これらは同じ日に大口投資家に売却された。

 ただ、大きな懸念は、ABN-AMRO の今後の償却であった。
 支払われた金額には、バランスシートに載せることができない無形資産の巨額が含まれていた。
 償却は、ABN-AMRO が独立銀行でなくなる場合にのみ発生するが、その場合、Fortis は銀行に求められる資本基準を満たせなくなる危険があった。
 もう 1 つのデメリットとしては、ABN-AMRO の小売業務が Fortis に統合された場合の事業活動の売却による損失であった。
 EU 規制のため、小売業務の売却が強制されたため、全額で実行されず、売却で 3 億ユーロの損失が報告された。
 しかし、後に、Fortis の監査役会会長である
   リッペンス(Lippens)
が、およびより良い価格で売却できるよう期限の延長を求めて交渉の余地を得るために EU であらゆる手段を講じたと主張していたものの、実際には延長を申請していなかったことが判明した。
 Kroes 委員は、何の連絡もなかったと報告した。
 リッペンス氏は、それは単なる比喩だったと説明した。

 追加の 83 億ユーロの調達は、年間配当金を廃止し、15 億ユーロを節約することで部分的には実現した。
 しかし、リッペンスは以前から、配当金はそのまま支払うことを明言し、繰り返し約束していた。
 この配当金は、銀行と同じくらい安全で信頼できる投資であったフォルティス株の最大のセールスポイントで、数十年にわたって存在していた。
 しかし、配当金の廃止が株主を落胆させ、株価は 6月26日には 12 ユーロ以上から 10 ユーロ強にまで下落した。
 この下落は会社の価値を 40 億ユーロ以上減少させたうえ、その後さらに株価は下落した。

 2008年12月12日(事件から6か月後)の
   ヘット・フィナンシエール・ダーグブラッド紙
の分析にょれば、フォルティスは計画を策定する際に
   株主への影響を無視
していたと述べている。
 英国と米国の株主は、フォルティスが以前の株式発行の直後にさらに資金を必要としているが判明したため、フォルティスは信頼できないと感じて追加購入を拒否した。
 オランダのABP、ロシアのミレニアム、リビアのLIA、中国の平安など、かなり異例の株主だけが新たに購入する用意があった。
 しかし、新たな購入では25%の値引きとさらなる措置が講じられるという確約を要求した。

 なお、発行済み株式の合計15%を保有するベルギーの株主は無視され、計画が発表されて初めてそのことを知った。
 彼らの多くは以前の株式発行の支払いのためにローンを組んでいた。
 また、そのローンの返済には配当金を当てにしていた背景がある。
 彼らは無配が明らかになったことで、激怒した。
 株式が10ユーロの価格で大口投資家に売却されたと発表された時点で、株価は実際には10ユーロまで下落した。
 (偶然ともいえるが、異例の株主が要求して得られた割引が打ち消された。)

 2008年7月11日、フォルティスのCEOである
   ジャン・ヴォトロン氏
が辞任した。
 株価に反映されているフォルティスの総価値は、その時点で買収前の3分の1となり、ABNアムロのベネルクス事業のみに支払った価値をわずかに下回っていた。
 株価は10ユーロを下回って揺れ動き続けた。ヴォトロン氏の後任としてCEOに就任した
   ヘルマン・フェルヴィルスト氏
は、数週間後に記者会見を開き、自己紹介を行うとともに、フォルティスが堅調であることを株主に再確認させた。
 フェルヴィルスト氏は一時的に好印象を与えることに成功して株価は上昇した。

 しかし、市場全体が下落するにつれ、フォルティスの株価も下落した。
 2008年9月25日木曜日、フォルティスの株価は5.5ユーロ(日中)まで急落した。
 これは、ラボバンクがフォルティスの財政難の救済を求められたとの噂によるものだった。

 フォルティスとラボバンクの双方がこの噂を否定したことで、株価はいくらか回復した。
 翌日、フォルティスは、2008年初頭以来、銀行の預金の約3%しか引き出されていないというプレスリリースを発表した。
 CEO(フェルヴィルスト)はアナリストと株主を安心させるために記者会見を開いた。

 彼は現状に関する実際の数字は示さず、フォルティスは堅調であり、破産が迫っていると考える理由は全くないと述べたが具体的な説明でもなかった。
 株価は再び急落し5ユーロ強で引けた。
 CEOはその日の夕方に辞任し
   フィリップ・ディルクス
が新しいCEOに任命され、株主総会で承認されることとなった。
 その後、1週間でフォルティスの株価はさらに35%下落した。

 11月20日のフォルティス株主回覧によると、破産の噂により企業顧客による多額の引き出しが起こった。
 流動性の問題が始まったのは 9 月 26 日金曜日になってからだった。
 11月24日のオンデルネミングスカーマーの裁判手続きによると、その金曜日に200億ユーロが引き出された。
 翌週の月曜日にはさらに 300 億ユーロの引き出しが予定されていた。
 なお、支払い能力の問題はなく、流動性の問題だけがあった。

 ルクセンブルク政府はフォルティスに支援を申し出た。
 フォルティスはルクセンブルク政府とベルギー政府とともに
   シャンティ スワミ トラスト
    (米国/BVI のプリベット ファミリー トラスト)
の 125 億ユーロと 145 億ユーロの資金援助を受け、それぞれ
   フォルティス バンク ルクセンブルク
   フォルティス バンク
の 51% (SS トラスト) + 25% の株式を一時的に (1 年間) 取得する計画を策定した。
 なお、この計画には、オランダの ABN-AMRO をオランダ政府に売却することが含まれていた。

 12月24日にヘット・フィナンシエール・ダグブラッドが報じたところによると、9月25日に起こった出来事は、フォルティスがベルギーの金融規制当局であるCBFAから召喚され、問題解決の強力なパートナーを探すよう求められたというものであった。

 その後、フォルティスはオランダとベルギーの財務大臣と金融規制当局の緊急会議で議論の対象となった。
 部分的または全面的な買収の噂が広まった。
 その後、他の銀行が確かに予備的な買収提案(INGは1株当たり1.50ユーロ、BNPパリバは2ユーロ)を行ったと報じられたが、政府が中心となったため、これらの交渉は短縮された。
 フォルティスは2008年9月28日に部分的に国有化され、ベネルクス3か国が銀行に合計112億ユーロ(163億米ドル)、(100億ポンド)を投資した。
 最初のプレスリリースでは、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクがベルギー、オランダ、ルクセンブルクのフォルティス銀行にそれぞれ47億ユーロ、40億ユーロ、25億ユーロを投資すると報じられた。
 実際には、ベルギーはフォルティス銀行SA/NV(フォルティスの総合銀行部門)に新規発行株式と引き換えに株式を投資し、同社の発行済み株式総数の49%を占めた。
 オランダもフォルティス銀行ネーデルランド(フォルティス銀行SA/NVの一部)に同様の投資を行った。
 ルクセンブルクは、フォルティス・バンク・ルクセンブルク(同じくフォルティス銀行SA/NVの一部)の株式49%に転換可能な融資に同意した。
 これは、銀行部門の3分の1のみが依然としてフォルティス・グループによって所有され、銀行部門(投資部門を含む)の将来の利益の3分の1のみが株主の利益となることを意味した。
 しかし、株主は依然として保険部門の利益を全額受け取ることができ、また会社の安全な存続も保証された。

 これと同時に、ABNアムロの小売事業をフォルティスに統合する計画は中止された。
 これらの事業は売却されることが発表された。
 120億ユーロ未満の売却はフォルティスの中核株主資本に影響を与えることになった。
 (当時の中核株主資本は300億ユーロ、1株当たり約13ユーロと報告されていた)。

 翌日、株価は最初は上昇したが、その後急落した。
 市場全体もそれに引きずり込まれ「ブラックマンデー」と後に呼ばれた。
 しかし、4ユーロを大きく下回ることはなかった。
 その週の残りの期間で株価は回復したが、6ユーロには届かず、5.4ユーロで週を終えた。
 この好転の一部は、9月30日にフォルティスが中国企業平安がフォルティス・インベストメンツの協力から撤退すると発表したことに起因しており、市場はこれをフォルティスが単独で対処できるほど強力になった兆候として歓迎した。

 11月20日の今週は企業顧客による多額の引き出しが続き、さらなる
   流動性問題
を引き起こした。
 国立銀行は緊急融資(ベルギーとオランダの銀行&SSトラスト(シャンティ・スワミ・プリベット・トラスト)からそれぞれ590億ユーロと70億ユーロ)を提供し、これは実際にほぼ全額(それぞれ540億ユーロと70億ユーロ)使用された。

 12月9日、オランダのボス財務大臣のインタビュー記事がフリー・ネーデルラント紙に掲載された。
 ボス大臣は、フォルティスの一部を買い戻すという基本的なアイデアは夏前に広まっていたと述べた。
 9月28日日曜日、オランダ政府はフォルティスへの支援が必要かどうか確認するため、詳細な計画もなしにブリュッセルの会議に立ち寄った。
 彼らが到着したとき、ベルギー首相、ベルギーとフランスの財務大臣、ECB総裁トリシェ、フォルティスの代表者3名による会議が進行中だった。
 計画は進んだ段階にあり、正確な数字が出回っていた。

 10月3日、テレビで生中継された記者会見(18:00)で、オランダの ヤン・ペーター・バルケネンデ首相 、ウーター・ボス財務大臣、オランダ中央銀行総裁ヌート・ウェリンクは、オランダ政府がフォルティスのオランダ銀行・保険部門を168億ユーロ(233億ドル)で買収すると発表した。
 オランダ人は、フォルティス銀行ネーデルランド、フォルティス保険ネーデルランド、フォルティス・コーポレート・インシュアランス、そしてフォルティスがまだ保有しているABNアムロの小売事業の保有者となる。
 これは後にオランダ財務省のプレスリリースで確認された。
 同時に、ルクセンブルク政府とSSトラストは、その株式の52%にまで支配権を増やした。
 その後、ルクセンブルクがルクセンブルク証券取引所の一部とフォルティスの別の会社も象徴的な価格で1ユーロで買収したことが明らかになった。

 当初、ベルギーのルテルム首相は、オランダ(およびルクセンブルク)による買収を顧客、株主、従業員にとって朗報として歓迎し、これが将来への強固な基盤を提供すると述べている。
 しかし、ベルギーの新聞は、ベルギー国民が
   即座に激しい怒り
を表明したと報じた。
 オランダ人に対して、約束された40億ユーロの支援が実行されない。先週、オランダの企業によるフォルティス銀行ネダーランドからの資金引き出しを画策し、ベルギー国立銀行に500億ユーロの緊急融資を強いた。
他の銀行、特にABN-AMRO(フォルティスが所有)からのフォルティスへの信用枠を遮断することといった罪状で告発された。

 オランダ人は欲しいものを何でも市場価格以下で売却することを強制した。
 また、オランダのボス財務大臣が10月3日に発表した声明の文言も反発を招いた。
 ボス財務大臣は、買収したオランダ企業は極めて健全であり、現在は保護されていると強調していたが、これはフォルティスのベルギー部分の問題がすべて腐敗していることを暗示しているように思われた。

 10月5日日曜日のテレビ出演で、オランダ国立銀行
   ヌート・ウェリンク総裁
は交渉を振り返り、オランダは最終的にベルギーを助けるために厳密な市場価格以上の金額を支払ったと明かした。
 ウェリンクは、フォルティスの残りの(ベルギー)部分が今や十分な資本を有する企業になっていると聴衆に保証した。

 その後、オランダのメディアは、オランダ人が9月28日の合意から帰国後、自分たちが交わした取引にひどく動揺したと報じた。
 当時は大まかな概要についての
   口頭合意
のみが交わされていたが、いざ書面で合意する段階になって、オランダ人は、40億ユーロで、あまり関心
のない(
ABN-AMROとオランダの保険会社を含むオランダのフォルティスの全株式ではなく(
後に総額50億ユーロで売却された)
   フォルティス銀行ネダーランド
の50%の株式しか購入できないことに気付いた。
 また、ベルギー人は、47億ユーロで、銀行全体の株式(フォルティス銀行ネダーランドとルクセンブルクだけでなく、フォルティス・インベストメンツとABN-AMROも含む)の50%の株式を手に入れることに気付いた。
 さらに、ベルギー政府がオランダの保険会社に対する追加権利を確保していたことが明らかになった。
 したがって、オランダのボス財務大臣は議会で合意を公然と擁護しながらも、秘密裏に再交渉について必死に協議していた。

 後にヘット・フィナンシエール・ダグブラッド紙の分析でも確認され、オランダは交渉から完全に除外されていたが、最終段階で
   不利な立場で交渉に参加
したため、摩擦と不信が生じていたと明らかにした。
 フォルティスの経営陣は、3か国すべてが最初から関与していれば、会社全体を救えたはずだと後から振り返って確信していると後講釈を並べ立てた。

 10月21日、オランダ政府は ABN アムロ銀行とフォルティス銀行オランダを将来合併させ
   「強力なオランダ銀行」
を設立すると発表した。
 オランダの保険部門は売却される予定だった。
 11月21日、オランダ財務大臣は、フォルティス保険オランダをASR オランダという復活した名前で分離する
と発表した。
 そして、2009年6月6日、オランダ政府はフォルティス コーポレート保険をアムリンに3.5億ユーロで売却した。

 10月3日の発表後、ベルギー政府は週末中緊急会議を開催した。
 フォルティスについて協議し、ここで、ベルギー首相が述べた目的は、フォルティスの株価がこれ以上下落するのを防ぎ、オランダの諺にあるように、文字通り「リンゴと卵ほどの価値はない」(「niet voor een appel en een ei 」 )、フォルティスが安値で売却されないよう保証することであった。

 2008年10月5日日曜日の夕方、デ・ティド紙は、フランスの銀行
   BNPパリバ
がフォルティスの株式の過半数を取得し、ベルギー政府とルクセンブルク政府はBNPパリバの株式と引き換えに阻止権を持つ少数株主となるだろうと報じた。
 この取引には主要持株会社は含まれていないが、フォルティス・インシュアランス・インターナショナルを除く保険および銀行子会社は含まれている。
 より詳しくは、ベルギー政府はフォルティス・グループからフォルティス銀行SA/NVの残り51%を追加の47億ユーロで購入し、104億ユーロのストラクチャード商品のポートフォリオを分割し、そのうち66%の株式をフォルティス・グループに売却し(69億ユーロ)、その後、フォルティス銀行SA/NVの75%の株式をBNPパリバに売却した。会社全体の評価額は110億ユーロで、株式で支払われることになり、ベルギー政府はBNPパリバの最大株主(12%)となった。
 ベルギーによる初期投資(47億ユーロ)とおそらくルクセンブルクによる投資(25億ユーロ)およびオランダの銀行業務に支払われた価格(128億ユーロ)はフォルティス銀行SA/NVに留まり、保険会社のために受け取った金額(オランダから40億ユーロ、BNPパリバから57.3ユーロ)はフォルティス・グループに行くことになった。
 ポートフォリオの66%の株式を支払い、負債(ABNアムロの償却を含む)を支払った後、フォルティスグループに残る現金総額は約1億ユーロである。

 デ・タイド紙は、10月4日土曜日にフォルティスとベルギー政府が別々に緊急会議を開いたと報じている。
 フォルティスは、残った会社が何をできるかを再計算し、年間17億から20億ユーロの利益をあげられると見積もった。
 政府に有利になるように、その旨のプレゼンテーションがまとめられた(実際には公開されなかった)。

 一方、政府はBNPパリバへの売却に注力した。
 政府の考えの大きな要因は、ベルギーがオランダに負けたこと、ベルギーが会社の腐敗した部分を残してしまったことなど、マスコミが騒ぎ立てたことが背景にあった。
 このことが敗北主義の雰囲気を生み、政府はただ混乱から逃れたい思考が働いたようだ。
 そのため、BNPパリバとの交渉はスムーズには進まなかった。

 フランス側としては、銀行部分だけが欲しいのであり、
   リスクの高い「有毒」な仕組み商品
には一切関わりたくないと断固として主張した。
 また、銀行を安く手に入れたいとも考えていた。

 最終的に政府は屈し、フォルティス・グループに「有害な」構造化商品を処理させることに同意した。
 結局、フォルティスが問題を引き起こしたことになる。
 政府は銀行本体のみをBNPパリバに売却した。
 政府は銀行の評価額をいくらか引き上げることには成功した(総額110億ユーロ、銀行に払い込まれた現金を考慮すると、実際の銀行業務では依然として数十億のマイナス価値となる)。ま
 た、保険会社に対しても若干の有利な価格を得ることに成功した。

 オランダとベルギーの株主協会は
   買収の見直し
を要求した。
 オランダの法律では、企業またはその子会社における大きな変更には株主の承認が必要であったためだ。

 フォルティスのウェブサイトによると、フォルティス銀行は10月5日から12月中旬までベルギー政府の100%所有となり、その時点でBNPパリバとの株式交換が行われる。
 しかし、BNPパリバはそれを見越してすでに大規模な広告キャンペーンを開始していた。

 10月6日、ベルギーの金融サービス規制当局であるCBFAは、フォルティス株の取引を一時停止し、フォルティスが保有する残りの資産に関する十分な情報を公開した後に取引再開の許可を与えると発表した。

 10月6日時点でフォルティス・グループに残っていたのは、評価額が10億〜20億ユーロのフォルティス・インシュアランス・インターナショナルと、ベルギー政府がまとめたポートフォリオでフォルティスがベルギー政府から購入した66%の株式(後に明らかになったように、ベルギー政府から融資された現金で支払われた)だった。

 10月14日、フォルティスはプレスリリースを発表し、104億ユーロの現金残高は構成銘柄が抱える95億ユーロの負債を返済するのに十分であり、さらに1億2500万株が発行されたと述べた。
 フォルティス株の取引は同日午前11時に再開され、2ユーロで始まり、1.21ユーロで終了した(前日終値から77.77%の下落)。

 2008年11月14日に発表されたデータ(12月1日と2日の臨時株主総会向け)によると、フォルティスは部品の売却で246億ユーロ(1株あたり約10ユーロ)の損失を計上した。
 フォルティス・グループの株主資本は10月31日時点で35億ユーロ(1株あたり1.5ユーロ未満)に減少したとされている。

 11月15日、ベルギーの新聞「デ・スタンダール」は、BNPパリバが10月8日に交渉を再開し、
   合意価格の引き下げ
を要求したと報じた。
 その理由は、フォルティス・グループとフォルティス銀行の間に
   既存の転換社債ローン
があったためである。
 結局、ベルギー政府はフォルティス・グループに30億ユーロを融資し、その見返りとして、フォルティス・グループに売却したばかりのポートフォリオの証券を取得した。
 これが株式取引停止の理由だったようだが、フォルティス・グループもベルギー政府も、11月15日以前のいかなる時点でも、何が起こっているのか、またこれが保有資産の価値にどのような影響を与えたのかについて報道していなかった。

 報道を受けて、ベルギーの政治家たちは、政府が詳細を明らかにした。
 銀行支援の混乱の中でメディアが問題点を取り上げなかったと指摘し、
   詐欺の責任
はフォルティス・グループにあると主張した。

 12月10日には、フォルティス銀行によるフォルティス銀行ネダーランドへの融資が買収後にオランダ政府に引き継がれたため、さらなる再交渉が行われたと報じられた。
 この結果、支払われる利息が減り、この「ボーナス」が誰のものかという意見の相違が生じた。
 これは1株あたり0.25ユーロ(当時の株価は0.71ユーロ)に相当し、フォルティスの持ち株に何らかの影響を及ぼした。


 10月12日、ベルギー政府は長期の小株主に補償する
   「クーポン42」
と名付けられた計画を発表した。
 ベルギー政府が得た利益は特別基金に積み立てられ、2014年に支払われる予定だった。

 受益者は、10月3日時点で株式を保有し、これを申請したEU市民またはベルギー居住者である自然人という条件であった。。
 1株当たり支払われる最高額は10ユーロ(7月1日の株価)から取引再開後の5日間の株価の平均を差し引いた額(最大で9ユーロ弱に減額)となる。
 これは、1人あたり最大5000株まで支払われ、7月1日から10月3日まで継続して保有している株に対してのみ支払われ、それ以降は必ずしも支払われないというものであった。

 このファンドは、BNPパリバの株式および受け取った配当金の総額から初期投資額(94億ユーロ、年間累積利息6.1%)と、ベルギー政府が保有するストラクチャード商品のポートフォリオの24%の部分で生じた損失を差し引いた金額を保有することになる。
 12月2日、国務院は、この計画はすべての株主を平等に扱っておらず、不平等の理由も十分に説明されていないため、違憲である可能性が高いと勧告したことが明らかになった。

 12月10日、デ・タイド紙は、ベルギー政府が特別基金を設立せず、基金に入る予定だった資金をすべてフォルティス・ホールディングスに直接投入することを検討していると報じた。
 これにより、10月3日時点で最大5000株を保有していた人ではなく、実際に株式を保有している人(株数に関係なく)が恩恵を受けることになる(同日、株価は13.5%上昇し、0.82ユーロで取引を終えた)。
 翌日の株価は、日中1.14ユーロに達した後、15%上昇して0.94ユーロで取引を終えた。

 12月20日土曜日、デ・スタンダールト紙は、裁判所がモドリカメン氏の通信先住所の策略を禁じたにもかかわらず、政府が危機に瀕している間は「第三者」による行動によるフォローアップはないだろうと報じた。
 12月22日月曜日、BNPパリバのCEOプロト氏はレゼコー紙のインタビューで、フォルティス銀行の価値は10月10日以来上がっていないため、フォルティスの株主は既に得た買収額以上の買収額を期待すべきではないと述べた。
 他の情報筋は、BNPパリバの業績が悪く、その日の株価は30ユーロの上限を下回り、市場はBNPパリバがフォルティス銀行の買収で資本基盤を強化できない場合は別の資金源から資金を調達する必要があると想定したと指摘している。

 12月24日水曜日、フォルティスは3億ユーロの損失を発表するプレスリリースを出した。
 同社は、ストラクチャードクレジットのポートフォリオに関する取引のために、裁判所の否定的な判決を見越して、米国通貨と英国通貨を購入していた。
 裁判所が行動を決定したとき、ポートフォリオはもはやフォルティスの関心事ではなく、同社は12月12日に通貨を損失で再売却した。その結果、現金残高はそれに応じて減少し、プロフォーマ純資産は報告された67億ユーロから64億ユーロに減少した。
 株価は下落し、魔法の1ユーロ水準を下回り、再びペニー株となり、その日の終値は0.95ユーロとなった。

 1月13日、ラ・トリビューン紙は、BNPパリバがフォルティス・インシュアランス・ベルギーに対する買収提案の撤回を検討していると報じた。 その日、ベルギー政府がフォルティス・ホールディングスの株式を2.5対3ユーロで買収提案することを検討しているという噂が流れ、これを受けて株価は急騰し、日中最高値の1.68ユーロを記録した。
 ただ、この噂はすぐに否定された。
 同日、フォルティスは前日のヘット・フィナンシエール・ダーグブラッド紙の報道を認め、2月に2回の株主総会が開催されるが、売却の投票はブリュッセルでの株主総会でのみ認められるという内容だった。
 これは、ベルギーの法律の下でのみ、これを要求する裁判所の判決が出ているためである。
 これに対し、ユーロ株主はこの決定をアムステルダムの裁判所に訴えた。

 1月14日、フォルティス銀行は2006年以来ドイツで展開してきたフォルティス・フィナンツの90店舗を閉鎖すると発表した。

 2018年7月13日、アムステルダム控訴裁判所(Gerechtshof Amsterdam)は、オランダの集団的請求解決法(Wet Collectieve Afwikkeling van Massaschade)またはWCAMの権限に基づき、旧フォルティス(現Ageas )の株主を代表して主張された13億ユーロの集団的請求和解を承認した。

 2018年12月20日、検察は7人の元取締役に対する訴訟を取り下げることを決定した。
 検察は、彼らが過度に楽観的な会社情報で株主を故意に誤解させたという証拠が不十分であると主張した。

    
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2024年09月22日

KN-23(正式名称 火星11A  Hwasong-11Ga) 北朝鮮の固体燃料式戦術弾道ミサイル 

KN-23(正式名称 火星11A  Hwasong-11Ga)
 北朝鮮の固体燃料式戦術弾道ミサイルである。
 KN-23の外観はロシアの
   イスカンデルM
および韓国の
   玄武2B短距離弾道ミサイル
に類似したもの。
 米国のシンクタンクスティムソン・センターが運営する情報分析サイト
   38ノース
では「イスカンデルMを土台に開発された」と推定している。
 KN-23はイスカンデルMと同様に準弾道軌道を飛行するミサイルであり
   十分な濃度の大気
が存在する高度50km付近で比較的平坦な軌道を取りながら、操舵翼を動作させて飛行中に進路を変更することもできる。
 重量500kgの弾頭を装着した場合の射程距離は450km。
 より軽量な弾頭を装着することによって射程を690kmまで延伸することも可能と言われる。
 弾頭は通常の単一弾頭の他、クラスター爆弾弾頭、核弾頭を搭載できると考えられている。
 弾頭は分離せず、ロケットモーターと弾頭が一体のまま目標へ突入する構造である。

 イスカンデルMに類似するKN-23であるが、直径は1.1mと推定されており、これはイスカンデルMより大きい。
 この差異はKN-23が北朝鮮の
   潜水艦発射弾道ミサイル
の1つである北極星1号(KN-11)と同一の固体ロケットモーターを使用しているためであると考えられている。
  
 北朝鮮が2018年2月8日の軍事パレードでKN-23の存在を初めて公表した。
 最初の発射実験は2019年5月4日に元山付近で行われ、発射されたミサイルは240kmを飛行し高度60kmに達した。
 ただし、この実験に際して北朝鮮が公表した映像には明らかな編集操作がなされていた。
 5日後に再び発射実験として亀城付近から2発が発射され、1発は420km、もう1発は270kmを飛行し、いずれも高度50kmに達した。
 その後同月17日までに、在韓米軍はこのミサイルに「KN-23」のコードネームを付番した。
 2019年7月25日に行われた3回目の発射実験では、発射されたミサイルのうち1発がこれまでで最も長い690kmを飛行し、もう1発は430kmを飛行し日本海に着水した。
 飛行高度はいずれも50kmであった。
 2019年8月6日に行われた4回目の発射実験では、北朝鮮西岸から発射されたミサイルが平壌都市圏の上空37kmを通過し、450km飛行した。

 KN-23はロシアのウクライナ侵攻において初めて実戦投入された可能性が高い。
 アメリカ政府が機密解除した情報によると、2023年10月に北朝鮮からロシアへ複数の弾道ミサイルが引き渡された。
 その後2023年12月30日、ロシア連邦軍はウクライナへのミサイル攻撃を行った。
 この際着弾地点から発見された破片に、KN-23あるいはKN-24に特徴的な部品が含まれていたと報告されている。
 報告によると、ミサイルに取り付けられていた気圧計にチョソングルが書かれていたほか、 各種の部品に北朝鮮国内の工場名と思しき刻印がなされていた。

 イギリスに本部を置く
   紛争兵器研究所
の調査によると、ハルキウへの攻撃に用いられたKN-23の誘導制御装置の部品のうち、75%がアメリカ製の部品をベースとしたものであった。
 また、ハルキウ地方検察庁が発表した調査の中間報告によると、KN-23と思しきミサイルの部品にはソ連・ロシア製のミサイルの特徴である詳細な刻印や製造担当者の署名がないこと、配線が電線管の中でむき出しの状態となっており、イスカンデルMでは施されている電子戦への防護がなされていないことが明らかになっている。
 報告ではミサイルの種類の断定を避けており、ロシア製イスカンデルMの戦時設計版などの可能性も示唆している。
 ただ、状況証拠を総合するとKN-23である可能性が最も高いとしている。

 なお、2024年2月16日までにウクライナ側がまとめたデータによると、ロシア軍は北朝鮮から提供されたKN-23及びKN-24を計24発使用しているが、いずれも精度が低いと報告されている。
 精度が低い要因の1つとして
   日本製や欧州製を装った模倣品の部品が
KN-23及びKN-24に使われていることが関係しているとの指摘もある。

 同年7月31日ごろよりロシア軍によるKN-23の使用が再開され、ウクライナ空軍司令部による集計では同年8月6日から26日にかけて24発のKN-23とみられるミサイルの飛来が報告されている。
 なお、2次投入においても引き続き精度の低さが露呈しており、またKN-23の2次投入開始と同時期にイスカンデルMの戦術運用の報告が増加したことから、ロシア軍は前線の戦術目標への精密攻撃にイスカンデルMを、後方の戦略目標(都市攻撃など)への攻撃にKN-23を使用するようにしている可能性が示唆されている。
  
    
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2024年09月21日

イスラエルがレバン音の首都攻撃を事前通知せず、舐められた米国政府の姿 米国民はレバノンから退去を勧告するだけで済ましては話にもならない

 米国のカービー大統領補佐官は20日、イスラエルによる
   レバノン首都近郊攻撃
について、イスラエルから事前に何らかの通知があったとは承知していないとメディアの会見で明らかにした。
 
 また、米国民に対し、レバノンに渡航しないよう、また既にレバノンにいる場合は国外に退去するよう強く要請した。
 カービー氏は記者団に対し、最近の攻撃についてはコメントできないとしたが、バイデン政権は中東地域の緊張の高まりを回避すべく努力していると改めて強調した。
 外交的解決が最善策だと信じていると述べた。
 イスラエル軍は20日、レバノンの首都ベイルート南郊で、同国に拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラ幹部を標的にした攻撃を行った。


ひとこと
 ネタニアフが戦時内閣を引きているが、総選挙を先延ばしにしたままであり、問題が多いが、故意に喧嘩を売り戦時体制を維持する姿勢は露骨だ。

   
    
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2024年09月20日

FRBの大幅利下げ正しく予測するも、今後の見通しは不透明(JPモルガン)

 米国銀行大手JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト
   マイケル・フェローリ氏
はFOMCの決定後に顧客に送った顧客向けリポートで、11月にさらに0.5ポイントの利下げが行われるとの見方を変えていないが、その見解は
   今後の雇用統計
の結果に左右されると述べた。

 債券市場の利下げ幅見通しは真っ二つに割れていたがフェローリ氏は、米当局は利下げ開始で出遅れたとして大幅な利下げを行うだろうとの予想を維持し、8月2日以降、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントの利下げが行われると主張しており、シティのエコノミストは今週のFOMC会合前に0.5ポイント利下げ予想を取り下げた後も、予想を堅持していた。、
 なお、18日に実施された米国の0.5ポイントの利下げを正しく予測した。

 JPモルガンの金利ストラテジストも慎重な見方をしており、9月の雇用統計が方向性を示すまでは米国債はレンジ相場が続くと予想している。
 同行は3年物と30年物の利回り格差拡大に賭けるという推奨を終了した。
 次の雇用統計が発表される頃には、
   イールドカーブ
のスティープ化を見込む取引を再開する機会が訪れるとみている。

 フェローリ氏は、「当行は依然として、当局者のドット・プロット(金利予測分布図)よりも速いペースでの金利正常化を予想している」と説明した。
 
 「11月の次回会合で0.5ポイントの利下げが行われるという当行の予想は、それまでに発表される2回の雇用統計がさらに軟化することを前提としており、
    より良好な労働市場データ
が発表されれば、年内は会合ごとに0.25ポイントの利下げを行うというFOMCのゴルディロックスシナリオが現実のものになるだろうと分析した。

  
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2024年09月16日

ECBは、物価目標達成できる公算大でも警戒維持が必要とナーゲル氏が指摘

 ドイツ連邦銀行(中央銀行)の
   ナーゲル総裁
は14日、フランクフルトで連銀の一般公開日において、消費者物価の伸びは来年末までに欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%に減速する見通しだが、政策当局者は警戒を緩めてはならないとの見解を示した。

 ナーゲル氏は「今年と来年のインフレの情勢を見ると、遅くとも2025年末までにはわれわれの目標に到達すると想定している」とした上で、「だが、残念ながら、エネルギー価格など中央銀行がコントロールできないことはたくさんあるため、われわれが注意を怠ってはならないことも私は知っている」と説明した。 
 
 ECBは12日、今緩和サイクルで2回目の利下げを決定。来年の消費者物価上昇率は平均2.2%、2026年は1.9%との経済予測を確認した。

 ナーゲル氏は15日にもこの見通しを再確認してる。
 来年末までに2%のインフレ目標を達成できると「かなり確信している」と述べ、12日の利下げはこうした見通しと「一致している」と付け加えた。

 それでもインフレについては「われわれが望んでいる状況には達していない」と指摘した。

 ECBのタカ派メンバーであるナーゲル氏はインフレについて、過去には「貪欲な獣」のようだったが、現在はもはやそのような表現では語れないと述べた。
   
   
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2024年09月03日

ハリス氏陣営が大統領選の激戦州で勢いが大きく出ており、ミシガン州でもこれまでリードしていたトランプ氏との差がほぼ消えた。

 米国の大統領選の行方を左右する激戦州の一つであるミシガン州では、民主党候補のハリス米副大統領に対する共和党のトランプ前大統領のリードしていた。
 調査会社
   EPIC−MRA
が8月23−26日に州全体で有権者600人を対象に実施した世論調査の結果(30日公表)によれば、トランプ氏の支持率46%に対し、ハリス氏は45%と僅差まで迫った。
 また、好感度ではハリス氏が46%とトランプ氏(45%)を逆にリードした。

 トランプ有利の状況が劇的に変化してきている状況が示された。
 ハリス氏が選挙戦で差を縮めつつある新たな兆候が出てきているようだ。 

 バイデン大統領が選挙戦から撤退を表明する1週間足らず前の7月半ば時点では、トランプ氏がバイデン氏を7ポイントリードしていた。
 また、好感度ではバイデン氏36%に対し、トランプ氏は45%とリードをさらに広げていた。

 モーニング・コンサルトブルームバーグ・ニュースの世論調査では、七つの激戦州で、ハリス氏がトランプ氏をリードするか、両者が互角の状況にあることが明らかになっていた。
   

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2024年08月30日

中国経済状況の悪化がさらに深刻化し、人気観光地も利益が出ない状況

 中国陝西省西安市の「大唐不夜城」はライブ配信や短編動画のブームに伴い、ネット上では人気のスポットとなり、年間を通じて多くの観光客を引き寄せていた。
 ただ、西安を拠点とする大型文化観光企業グループに属する
   曲江文旅
が最近発表した全額出資子会社「大唐不夜城」の
   「2024年半期決算報告」
では観光地は観光客で溢れかえり、上半期において営業収入は3938.3万元を達成した。
 しかし、純利益はわずか23.53万元にとどまるなど赤字に直面して経営困難に陥っていることが明らかになった。
 8月25日、「大唐不夜城半年でわずか23.53万元の利益」というニュースが出て注目を集めた。

 曲江文旅は西安の有名観光地の運営・管理を担当しているものの、上半期における曲江文旅全体の営業収入は1.87億元の赤字を計上し、前年同期比で15倍もの赤字拡大となった。

 利益の大幅な減少について、曲江文旅は、売掛金の
   信用損失モデル
が前年同期と比べて変更され、貸倒引当金の計上が増加し、2024年半期決算報告が赤字になる見通しであると説明した。
 全国的に有名な人気観光地が、なぜこれほど
   深刻な収益低下
に直面しているのか、多くの人々が想像さえできないこともあり、このニュースが注目された。
 ネット上では、いつもあれほど繁盛していた「大唐不夜城」が、なぜわずか23.53万元の純利益しか達成できないのかという疑問の声が出ている。

 中国最大の検索エンジンである「百度」では、「大唐不夜城」について「大唐不夜城は、陝西省西安市雁塔区の大雁塔の隣に位置しており、南北2100メートル、東西500メートル、総建築面積は65万平方メートルに及びます。北は大雁塔南広場から始まり、南は唐城壁遺跡、東は慈恩東路、西は慈恩西路まで広がっています」と説明され、261店舗の商店と12軒のホテルがあることが分かる。
 261店舗の賃料を計算すると、店舗ごとの平均面積100平方メートル、額賃料500元と仮定した場合:1年間の賃料収入は、おおよそ1.56億元となりなる。
 なお、この金額は、他のホテルの賃料収入は含まれていない。
 そもそも、常識的に考えれば、65万平方メートルの建物が1億元以上の賃料を稼げないというのは考えにくいため、一部のネットユーザーは、曲江文旅の収入は「大唐不夜城」の賃料ではなく、管理費によるものだと推測している。

 ただ、管理費が問題であったとしても、23.53万元の純利益は非常に異常に低い数値だ。
 軽資産運用に特化した会社として、曲江文旅の収入源は主に管理手数料に依存しており、この手数料を回収できなければ、会社は大きな財務リスクに直面することになりえる。

 曲江文旅が最近約2億元の赤字を計上したのは、手数料が回収できず、直接貸倒引当金として処理されたためだ。
 ネットユーザーは曲江文旅は、おそらく上場当初、財務状況を良く見せるために、管理手数料が非常に高かったと指摘している。
 例えば、3万平方メートル以上の
   大明宮遺跡
では、年間管理報酬が1.28億元であったが、現在の問題は
   地方政府の財政
が本当に厳しいため、問題は「大唐不夜城」が利益を上げていないのではなく、業主が手数料を支払うお金がないということに行き着くという。

 さらに懸念されるのは、西安の「大唐不夜城」の状況が、全国的に見ても決して珍しい例ではない。
 張家界、桂林、雲南など、多くの有名な人気観光地も同様の困難に直面し、観光客数は多いものの、利益は惨憺たる状況にある。

 中国で非常に有名な人気観光地である張家界は、国内外の観光客に長年愛されてきた。
 なお、張家界は上半期の純利益が5800万元から6300万元の赤字になる見込みです。

 桂林観光が発表した上半期の財務報告によると、会社は報告期間中に約2000万元の純損失を見込んでいる。
 雲南省では月平均で1億人近く(0.96億人)の観光客を迎えており、雲南観光にはもはや閑散期が存在していない。
 それにもかかわらず、雲南観光は2024年上半期に4000万元から6000万元の赤字を見込んでいるという不思議な状況にある。

 また、有名な人気観光地である重慶洪崖洞も、過去3年間の純利益はそれぞれ5.89万元、-343.46万元、-157.88万元であり、3年間の純利益は-495.45万元しかない。

 客流不足が問題という視点はなく、これらの人気都市や観光地には非常に多くの人が訪れている。
 問題は各地の
   経済基盤
が持ちこたえられなくなっているためだ。
 客流が多いにもかかわらず、利益が大幅に減少するという異常な現象が起こる背景の答えは曲江文旅にある。
 曲江文旅は、軽資産モデルで運営されている経営管理方式を採用しており
   観光地の固定資産
を所有せず、日常の運営やテナント募集を担当し、管理手数料を受け取るとスタイルである。

 このビジネスモデルは、曲江文旅が多くの人
   気観光地の運営権
を大きな投資を必要とせずに手に入れることを可能にするがが、収益モデルが単一であり、パートナーが何らかの理由で管理手数料を支払うことができなくなった場合、曲江文旅自身が巨大なリスクを背負うことに帰結する。

 現在、曲江文旅は多額の赤字を抱えており、売掛金は既に11億元を超えた。
 これは、このリスクが長期間にわたって続いていることを示しています。
 10年前の2014年から、曲江文旅は管理手数料の未払いに悩まされており、毎年の売掛金残高は当年の営業利益を上回っていた。
 2024年第1四半期末時点で、曲江文旅の売掛金規模は11.40億元に達し、2023年年末から1.07億元増加した。
 巨額の売掛金が回収できないと、表面的には経営が盛況であるように見えるが、実際には赤字が拡大し続けている。
 結局のところ、中国各地の経済状況が悪化していることが、根本的な原因でと言われる。

  
ひとこと
 あらゆる利権が中国共産党と直結しており、周囲でこうした利権を貪ることで懐を増やす地方も、景気後退で収入源が細まり、管理手数料の未払いが増加経口を強めている。
 不動作の所有者が中国政府であり、土地の利用券の販売という名目でこれまではカネを稼いできたがこうしたマジックが効かなくなっている。
 不オヅs難開発で資金を使っても利用券が売れない事態は信用の不安定化を加速するだけであり。収入の確保のため管理手数料の未払いを行っているとも言える。

   
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2024年08月27日

中国の若者の失業率が今年最高となるなか、「国賊」「独裁者」と叫ぶ横断幕も出現している習近平の独裁色が高まった7年間で出生数が半減し、少子化の波は止まらず国力衰退も不可避な状況

 中国政府が8月16日に発表した7月の若年層(16〜24歳)の失業率は
   17.1%(前月 13.2%)
に上昇し、今年の最高水準を記録した。
 若年層の失業率は昨年6月に21.3%を記録した後には政治的な批判勢力を抑え込むためか発表が停止された。
 今年1月からは在学生を除いた失業率が発表されるようになった。
 今回の数字で若者の雇用状況が再び悪化していることが明らかになった。
 しかし、都市部のみを対象にした統計のため、中国全体で見るとさらに悪化しているという指摘もある。

 1億人公安部門の監視があるにもかかわらず
   就職活動に悩む学生
をターゲットにした詐欺が中国では横行していることも気がかりだ。
 今年も1200万人近くの学生が卒業した中国では
   「有料インターン」制度
が急速に広がっている。
 インターンとは学生が実際に仕事を体験するプログラムのことだが学生たちは
   少しでも良い職場
を得ようと
   多額の金銭を払ってインターン歴
を購入しており、その相場は最高で4万8000元(約100万円)を超えているという。
 ただ、法的に保障された制度ではないため、詐欺などの被害に遭うケースが相次いでいる。

 中国の諜報機関である国家安全部は7月12日、キャンパスローンの返済に困った学生を
   外国の諜報機関
が脅迫して、中国の国家機密を盗む事件がたびたび起きていると警告した。
 近年、大学で高利のキャンパスローンがはびこり、多くの若者が底なし沼に陥っていると続けた。

 歴史的な高値でも「若者の金ブーム」が衰えない背景には、将来への不安を抱える中国の若者が「頼みの綱」にして金の実物購入に資金を投入しているという動きが元安の動きとともに見えている。
 また、「縮み」志向が強まっていることを受け、若者の行動パターンにも大きな変化が表れている。

 8月10日は中国のバレンタインデーにあたる「七夕節(旧暦の七夕)」だったが例年なら金満男性から女性へのプレゼントが巷の話題となる。
 しかいs,中国のSNS「微博(ウェイボー)」では、
  「七夕節の消費が急落、若者たちが“恋愛税”を払わなくなったからか? 」
というハッシュタグがトレンドトピックの1位となった。
 大きなバラの花束や高価なプレゼントを手渡す光景は「今は昔」となってしまった世相となっている。

 若者が恋愛に消極的な傾向は、出生率低下に対処するため結婚を促進しようとする中国政府にとって大きな逆風になっている。
 中国政府の発表によれば、昨年の婚姻件数は768万組と、2013年の1346万組と比べて大幅に減少した。
 今年上半期も前年比約50万組減の343万組にとどまっており更に悪化する流れだ。
 そのため、国を挙げて結婚を奨励する動きも出ており、8月に入り
   婚姻届出を簡素化する法案
が公表された。
 また、国営通信社「新華社」は21日、中国政府や女性団体などが9月に5000組計1万人の男女を集めた合同結婚式を開催すると報じた。
 ただ、若者を巡る経済環境が改善しない限り、結婚・出産の意欲が向上すると期待するには無理がある。
 
 中国の出生数減少は猛烈な勢いで進んでおり、日本で出生数が半減するまで約40年、韓国で約20年だった。
 これに対し、中国ではわずか7年(2016年の1889万人から2023年の902万人)だった。
  
 中国政府は危機感を募らせているが、事態はさらに悪化する可能性が高い。
 米大手金融機関でもあるゴールドマン・サックスが最近発表した予測によれば、今年は中国の4歳未満の乳幼児の数とペットの数がともに約5800万と拮抗しているものの、2030年には前者が4000万弱、後者が7000万強になると伝えた。

 中国が日本のような「ペット天国」になるのは時間の問題で、さらには少子化動向もあり、若者の就職難がさらに進む懸念も生じている。
 中国では雇用の安定した職業のことを「鉄飯碗(鉄で作った碗のように安定している)」と呼ぶが、教職にも淘汰の波が及んでいる。昨年は過去20年間で初めて幼稚園などの教員数が減少した。
 加えて、北京師範大学の試算によれば、2035年には小中学校の教員の約2割が余剰になると続けた。
 
 若者の不満を無視するかのように、中国政府が規制強化を進めていることも問題だ。
 中国政府は7月下旬、インターネット利用時 の本人確認のため
   公認のネット番号と身分証
を発行する規則の草案を発表した。
 香港の英語紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によれば、「中国での未来に希望が持てない」ということで、若者の間で広がる
   海外移住の動き
も政府の心配の種となっていることを背景に、中国の独身女性の間では、30代で海外留学し、欧米の大学で修士・博士号を取得するのがトレンドになっている。
 これも政治的混乱が起きることを予見し、共産党幹部や起業家の子弟が海外に拠点を設けて逃げ出す準備をしているという見方がある。
 日本でも中国人の不動産購入が投資という視点が前面にある増加と日本国籍が習得される動きも強まっており、大混乱を回避するための動きでもある。

 一方、米ラジオ・フリー・アジアによれば、今年の夏、一部の層が
   海外旅行を制限された
と報じ、夏休み前に学生と教師、銀行員のパスポートが“回収”され、SNSには当事者たちによる投稿が相次いでいると続けた。
 海外移民の動きを抑止するのが狙いだと噂でが広がっているが、若者の海外移住の流れは止まることはないだろう。
 中国の習近平の独裁色が強まる中では若者に明るい未来を提示できない。
 台湾への軍事侵攻で中国国民のガス抜きを図る目論見も、社会不安が強まり足元から崩れ大混乱を引き起こす可能性がある。
 そのため、中国の国力は今後、急速に衰退していくことだろう。


ひとこと
 中国の人口崩壊は天候不順などの影響で社会秩序が崩壊し、群雄割拠して王朝の興亡が繰り返されてきた。
 現状の出生率の低下も中国では明王朝時代に経験したであろう。
 いくら漢民族中心の中国と自称しても、多民族国家であり、漢民族は実際には1.6億人いるかどうかといったところだろう。

   
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2024年08月25日

米司法省が家賃つり上げを共謀した疑いでリアルページを提訴

 米司法省は23日、米不動産関連サービス会社
   リアルページ
を反トラスト法(米独占禁止法)違反の疑いで提訴した。
 不動産管理業者が共謀して何百万戸もの賃貸物件の家賃をつり上げるのを手助けしたとしている。

 プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社
   トーマ・ブラボー
傘下のリアルページは、賃料設定で家主を手助けするソフトウエアを提供している。
 司法省が提出した訴状によると、独禁当局はこのソフトウエアが事実上、不法に家賃を押し上げていると主張している。
 リアルページは、賃貸集合住宅向けソフトウエアで最大手だ。

 訴状では「リアルページは競争という自然の力をくじくことで事業を築き上げてきた」と指摘し、同社幹部による
   反競争的な発言
を引用している。

 今回の訴訟はノースカロライナ州の連邦地裁に提起された。
 司法省の当局者によれば、アルゴリズム利用の共謀の取り締まりで初の大型案件で、そうした企てはテクノロジーの活用でより巧妙になっているという。

 ガーランド司法長官は提訴後の記者会見で、「企業が家主と共謀して違法行為を行う新たな方法を編み出したという理由で、米国民が家賃を余計に支払わなければならないということはあってはならない」と語った。
 また、モナコ司法副長官は「機械に違法行為を学習させることも違法行為だ」と付け加えた。

 新型コロナウイルスのパンデミック初期以来、米国では住宅の価格と賃料が急上昇している。住宅取得の困難さは今年の大統領選で主要な争点の一つとなっている。
 民主党候補のハリス副大統領は、初めての住宅購入者向けの頭金支援などの対策を打ち出す考えを表明している。

 ジローの指数によれば、米国の平均家賃はコロナ禍初期以来、33%上昇している。

 リアルページは、法に従っていると主張し、コンプライアンス(法令順守)のため司法省と協力してきたとコメントした。
 また、「リアルページの収入管理ソフトウエアは法律に適合するように構築されており、司法省と建設的に協力してきた実績がそれを示す」とした。

 テキサス州リチャードソンを拠点とするリアルページは、2021年にトーマ・ブラボーに買収された。
 訴状によれば、米賃貸集合住宅向けの商業収入管理ソフトウエア市場で80%のシェアを握っている。
   
  
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2024年08月21日

市場脆弱化で乱高下の頻度が増加しているウォール街にメルトダウンが教訓を与えた。

 ウォール街では恐怖よりも強欲が優勢となり、世界をここ数週間震撼させた市場の大混乱も、長期チャート上では単なる乱高下の一つになりそうだ。

 しかし、この夏の暴落は、現代の金融市場の最近の傾向が極まったケースとして歴史に刻まれるだろう。
 ここ数年、ほとんど前兆もなく衝撃的な相場変動が発生する頻度が高まる傾向が見られるからだ。

 暴落の後、ボラティリティーは同じく急速に沈静化し、S&P500種株価指数の週間の上昇率は昨年11月以来最大となった。
 米国債利回りは安定を取り戻した。
 UBSグループによると、恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は日中ベースで過去最大の上昇を記録した後、過去最速のペースで急落した。

 この乱高下を合理的に説明するのは難しい。
 背景として、テクニカルな要因を指摘する人もいれば、米金融当局の政策ミスや人工知能(AI)バブル崩壊に関する懸念を挙げる人もいる。
 いずれにせよ、レバレッジをかけたトレーダーが相互に影響し合う中で、熱を帯びた市場は周期的に高揚感から絶望へと、そしてまた高揚感へと変化する。


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2024年08月18日

ウクライナ軍の越境攻撃で「プーチン氏はジレンマに直面」 戦略的に重要な橋の破壊で兵站線が崩壊

 ロシア領内に越境攻撃を続けるウクライナ軍は日本時間17日、ロシア軍の補給路であるクルスク州の橋を爆破する映像を公開した。
 軍事専門家は、プーチン大統領はジレンマに直面していると指摘した。

 ウクライナ軍が日本時間17日に公開した映像でロシア西部クルスク州の橋がミサイルにより爆発した。
 煙が消えると、橋桁等が崩落し寸断され仕様が不可能な状態に陥った。

 ウクライナ軍による、ロシアへの越境攻撃が始まってから11日のことで、今回、ウクライナ軍が破壊した橋は、すでに制圧している地域からおよそ10キロ離れた場所にあり、ロシア軍が火器弾薬や食料の補給路として使っていた。

 この橋の破壊は、ウクライナ軍による現在の軍事制圧地域を維持・確立しようという狙いがあるとともに、ロシア内部からの進撃を阻み、ウクライナへのロシア軍への補給が滞り戦闘継続ができにくくし、退路を塞ぐことで
 橋を越えて軍事制圧することは、現時点ではウクライナ側は想定していない可能性もある。

 CNN特派員(16日公開 ロシア・クルスク州)は「激戦の痕跡が残されています。ロシア国内でウクライナ軍が進軍するのは信じられない光景です」と伝え、地下シェルターには、ロシア人住民たちの姿もあったと続けた。

 ロシア領内に外国の正規軍が地上侵攻したのは、第2次世界大戦以来、初めてとなる。
 ロシアのプーチン大統領からは、12日に行われた会議でのやりとりで「いら立ちが垣間見える映像」として拡散している。
 プーチン政権に対するロシア国民の信頼が低下しているという、ロシアの「世論調査財団」による調査結果も出ています。
  
       
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2024年08月09日

ロシア内で参謀総長への批判渦巻く、ウクライナの攻撃で非常事態宣言

 2022年の侵攻以来で最大規模のウクライナ軍による
   ロシアへの越境攻撃
が起きたことをきっかけにロシア国内では、
   ゲラシモフ参謀総長
を批判する声が広がっているとの情報が拡散しているとの報道があった。

 ロシア政府クレムリンに近い関係者がメディアに流した情報によれば、ウクライナ軍がロシア西部クルスク州との国境付近に攻撃部隊を集結させているとの諜報機関等からの情報を、すでに越境攻撃の2週間前に入手していたが、ゲラシモフ参謀総長と軍部高官らはこれを重視せず、誰もプーチン大統領に報告していなかったという。
 そのため、国内のロシア軍は不意を突かれ、ウクライナの進撃に対して初動対応が遅れたとの筋書きだ。

 ゲラシモフ参謀総長が近く解任される可能性は低いが、クレムリン内では同氏の不手際に怒りが広がっており、その関係者はプーチン大統領の責任にも飛び火しかねないため「扱いに注意を要する話」だとして匿名でメディアに明かしたようだ。

 当然情報の出どころが明らかにすれば反逆罪にも問われかねないこともあり、不確かな情報基づく取材に対し、ロシア政府のペスコフ報道官はコメントはしていない。

 ロシアは北東部でウクライナと国境を接するクルスク州に
   非常事態宣言
を出した。
 スミルノフ知事代行が7日遅く通信アプリのテレグラムに「非常事態宣言はウクライナによる攻撃の『影響を排除』するために必要だと」投稿した。
 ロシア当局は移動制限や業務停止、安全対策などを強化している。

 ロシアのプーチン大統領は同日、安全保障と国防の最高顧問を徴集し、ウクライナ軍を撃退するための取り組みについて説明を受けたという。

 ウクライナのポドリャク大統領顧問は、戦闘が国境を越えてロシア国内にまで及んだのはロシアの責任だとX(旧ツイッター)に投稿した。
 また、「ロシアは一貫して、自国には制限的な法的規範は適用されないと考えてきた」と指摘し、「戦争は戦争であり、独自のルールがあり、侵略者は必然的に相応の結果に至る」と続けた。

 ウクライナはこれまで、ロシア領内の
   軍の拠点やエネルギー資産
を標的にし
   反ロシアの志願兵
を率いてベルゴロド州に越境したことはあるが、今週の作戦はウクライナ軍の部隊が加わった初めての大規模攻撃となった。

 米国の戦争研究所(ISW)によると、ウクライナ軍は7日時点で国境からクルスク州に最大10キロ入ったという。
   
 
ひとこと
 ワグネルの反乱でゲラシモフを暗殺し、新兵や徴兵した兵力の消耗が著しいウクライナ前線に投降兵を投入したものの、起死回生には至っておらず、プーチンに重宝された素人国防相ジョイグへの批判がロシア国内で広がっており、権力バランスを維持するため今度はゲラシモフに責任を転嫁する動きにも見える。
 なお、これまでもロシアの独裁政治に反発する勢力を力でねじ伏せ大規模な粛清が過去何度も起きている。
 プーチンへの責任論が拡大した場合、権力維持のため同様の動きが出てきそうだ。
 軍出身のゲラシモフと軍歴のないジョイグとの間の力学が働いており、ゲラシモフを排除した場合に、シベリアや中央アジアなどの軍管区で動揺が起きる可能性もあり、権力闘争が激化する可能性も出てきそうだ。
   
  
posted by manekineco at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 株銘柄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする