これまでの1週間は米トランプ政権のベテラン外交官にとってもめまぐるしい日々の連続だったと市場では見られる。
米国と中国の貿易協議をはじめ、インドとパキスタンの停戦合意、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する攻撃を停止するとのトランプ米大統領発言、米国とイランの核交渉があった。
さらに、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスが拘束していた最後の米国籍の人質が解放され、米国と英国は
新たな貿易枠組み合意
を発表した。
また、ロシアによるウクライナでの戦争を終結させるための停戦協議の予定もある。
トランプ大統領の熱烈な支持者にとって、これらはいずれもトランプ氏が積極果敢に推進する
米国第一主義
の外交・通商政策が、歴代の大統領には想像できなかったほど迅速に、より良い成果をもたらしている証拠となる。
同時に、イランとウクライナに関しては
重要な要素は未解決
のままで、ロシアもこれまでのところ停戦に難色を示している。
また、インドはパキスタンとの武力衝突への仲介努力における役割に関し、米国の一部主張に異議を唱えている。
トランプ政権はその他の慣例と同様に、同盟国間や敵対国との間で合意を築くという従来の外交の伝統を放棄したうえ、公の場でリアルタイムに交渉を行う見せつける劇場型政治家としても手法を選択している。
一連の動きを総合すると、
米関税措置
による世界的な市場の混乱に象徴される
不安定な政権発足100日間
から脱却し、昨年の大統領戦でトランプ氏が容易に解決できると公約していた
紛争の解決
に向けて勢いを取り戻しつつあると、ホワイトハウスが米国民に対してアピールしようとしている姿勢が浮き彫りとなる。
ブッシュ(子)元政権で
国家安全保障会議(NSC)高官などを務め、現在は保守系シンクタンク、
アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)
の上級研究員
コリ・シェイク氏
はトランプ政権について、「そこには共通する傾向がある。それはディール(取引)の内容がどうであれ、見栄えのする合意を求める姿勢だ」指摘した。
具体的には、「彼らはガザでの和平に向けて12段階のプロセスを計画しているわけではない」とし、「ただ帽子を空中に放り投げて、それを撃ち、人々の反応を見ているだけだ」と例えて見せた。
トランプ氏は12日、スイスで週末に行われた
ベッセント米財務長官
と中国側との貿易協議の成果を「完全なリセット」として誇示した。
ただ、関税に関する緊張緩和が結果的に
中国の主要な要求
のほとんどを満たす形となり、トランプ自身が始めた貿易戦争を巡り世界の二大経済大国の対立が続いていることには注目されるのを避けて意図的に触れなかった。
米国務省報道官は、何十年にもわたり続いてきた紛争で、トランプ氏が世界をかつてないほど平和に近づけたと述べた。
NSCのヒューイット報道官は大統領について、有権者が「米国の利益を前進させるという任務を彼に託した」と話し、「トランプ大統領は官僚主義ではなく行動の人だ」と評した。
大統領のスタイルを支持する人々は、ウクライナへのロシアの侵攻やイスラエルとハマスの対立といった課題の解決に向けて、新たなアプローチを試みる意欲の表れと見なしている。
トランプ政権1期目のNSC当局者で、現在はトランプ氏寄りの「米国第一政策研究所(AFPI)」で
米安全保障センター副所長を務める
フレッド・フライツ氏
は、トランプ氏が2期目就任以降、「他の指導者、特にバイデン前大統領とその政権が対処できなかった非常に困難な国際的課題に取り組む中で、従来の外交政策の体制の枠を真に打ち破ってきた」と論じた。
トランプ氏の型破りなスタイルは政権2期目発足前から既に明らかだった。
主な交渉担当者として第2次トランプ政権において中東担当特使を務めている不動産投資家の
スティーブ・ウィットコフ氏
を派遣し、ガザでの一時的な停戦交渉に当たらせた。
中東担当特使のウィットコフ氏はその後、ウクライナでの戦争やイランの核開発問題の交渉担当となり、通常であれば国務長官やホワイトハウスの国家安全保障問題担当補佐官が扱うような重大案件も引き受けることになった。
クリントン元政権で中東担当特使を務め、現在は
ワシントン近東政策研究所のフェローである
デニス・ロス氏
はウクライナとガザでの戦争終結に向けたトランプ氏の取り組みに関し、「現時点では、成果よりも可能性のほうが大きい」と指摘した。
なお、「トランプ氏にとっては、ビジネスと取引が最優先であり、彼が『米国の利益』と定義することを実行するのが第一となる」との分析を示した。
トランプ氏はまた、ウクライナとロシアの停戦交渉に関して、関税の脅しや巨額投資を並行して持ち出すなど、地政学とビジネスを公然と結びつけることに対し、過去の大統領の大多数よりもはるかに抵抗がない様子だ。
保守系シンクタンク、
ヘリテージ財団の上級研究員
ブレント・サドラー氏
は「われわれは米国の包括的な影響力を駆使して、より良い取引、より良い成果をもたらそうとしている」と語った。
それはトランプ政権がインドとパキスタンの対立を巡り用いた枠組みだった。
トランプ氏は、両国間の緊張の高まりを抑えるために、貿易と関税を活用する意思があることを明確に示した。
トランプ氏は12日、両国への働きかけについて、「紛争を止めなければわれわれは一切の貿易をやらない」と伝えたことを明らかにし、「すると突然、彼らは『止めることにする』と言い出した。そして実際に止めた。
理由は幾つかあるが、貿易が大きな要因だ」と主張した。
そして、「人々は私が使ったような形で貿易を使ったことは本当にない。これは断言できる」と語った。
ひとこと
口先だけの大風呂敷の類だが、中身が空っぽで口先で成果を誇張する流れが続いており、いつまでも隠せるものでもない。
トランプ関税で世界経済が混乱し、いくら元に戻すにしても時間も掛かるし金も掛かるだけで、無駄なから騒ぎをしているに過ぎない。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻も、ロシア経済の悪化が表面化すればプーチン政権は崩壊するでけではなく、内部の少数民族の自主権確率や分離独立などの動きが加速し混乱状態になりかねず、武力で抑え込もうとしても、情報機関と軍部との内部対立もあり、各軍区が自主的に独立するような、中国が辛亥革命後の混乱状態で軍閥が割拠した如く、ロシアの軍区が軍閥となり自主運営される流れになる可能性もある。
posted by manekineco at 22:23|
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