モスクワ・タイムズ(The Moscow Times MT)は、アムステルダムを拠点とする独立系の英語とロシア語のオンライン新聞である。
1992年から2017年までロシアで紙媒体として発行されていた。
ホテル、カフェ、大使館、航空会社など、英語圏の観光客や駐在員がよく訪れる場所で無料配布されていたほか、定期購読も可能であった。
この新聞は、モスクワ在住の外国人や英語を話すロシア人の間で人気があった。
2015年11月、新聞はデザインと形式を日刊から週刊(毎週木曜日発行)に変更し、ページ数を24ページに増やした。
2017年7月にはオンライン版のみとなり、2020年にはロシア語版サービスを開始した。
ウクライナ
への軍事侵攻後にロシアで施行されたロシア政府に批判的な情報を掲載した記事を排除するメディア規制法に対応するため、本社をオランダのアムステルダムに移転した。
2022年4月15日、モスクワ・タイムズのロシア語版ウェブサイトはロシアク国民の目と耳を塞ぐ目的からロシア国内でブロックされた。
2023年、ロシア司法省は同紙を外国政府の利益を誘導する
外国代理人
に指定した。
2024年7月10日、ロシア検察庁は同紙を好ましくない組織に指定したと発表した。
エレン・バリー
をはじめ、一部のアメリカ人特派員は同紙でキャリアをスタートさせた。
1989年にモスクワに移住したオランダ人出版業者
ダーク・サウアー
は、自身が発行していた週2回発行の小規模紙「モスクワ・ガーディアン」を世界レベルの日刊紙に発展させる計画を立てた。
サウアーは1992年5月、
メグ・ボーティン
を初代編集長として迎え入れ、チームはラディソン・スラビャンスカヤ・ホテルの一室を本部として使用した。
「モスクワ・タイムズ」は、ソ連崩壊後にモスクワに移住したアメリカ人やヨーロッパ人駐在員に情報を提供するために、サウアーによって1992年に創刊された。
彼は「当時は全く違う時代だった。インターネットもなく、ロシア語を話せない西側諸国からの駐在員が大量に流入していた。当時、モスクワでお金を持っているのは彼らだけだったので、『モスクワ・タイムズ』は広告主にとって魅力的な媒体だったのだ」と語っている。
『モスクワ・タイムズ』の創刊号は1992年3月に発行された。
ロシアで発行された最初の西側日刊紙であり、すぐにロシアと西側双方で引用される「主要なニュースと意見の情報源」となった。
「ロシアの評論家に発言の場を与えることで重要な役割を果たした」。
例えば、1993年秋には、検閲を打ち破る上で一定の役割を果たした。
当時の編集長
メグ・ボーティン
がニューヨーク・タイムズの論説で「反エリツィン勢力がロシア議会を占拠し、検閲が復活した時、モスクワ・タイムズは検閲を打破する上で重要な役割を担った」、「ロシアの新聞各紙は、当局を批判する記事が検閲されたため、一面に大きな空白ページを設けて発行した。
それらの記事の執筆者たちは私たちのところにやって来た。
翌日、モスクワ・タイムズ紙に英語で掲載された記事は、BBCをはじめとする海外のラジオ局によってすぐに取り上げられ、ロシア語に翻訳されて放送された。
こうして検閲は打ち破られた。」と述べている。
1990年代半ばから2000年まで、同紙は旧プラウダ紙の本社ビルに拠点を置いていた。
1997年にはウェブサイト
moscowtimes.ru
が登録された。
2003年から2004年にかけて、同紙は「求人・キャリア」と「不動産」の付録を追加した。
2005年にはハイカルチャーを紹介する「モスクワガイド」の付録を追加した。
また、2005年には年刊の「モスクワ・ダイニングガイド」も創刊された。
2005年まで、同紙はモスクワに登記された出版社
インディペンデント・メディア社
が所有していた。
同社はロシア語日刊紙『ヴェドモスチ』、『サンクトペテルブルク・タイムズ』(『モスクワ・タイムズ』のサンクトペテルブルク版)、そして『FHM』、『メンズ・ヘルス』、『コスモポリタン・ロシア』といった人気ファッション誌のロシア語版も発行していた。
同年、インディペンデント・メディア社はフィンランドの出版グループ
サノマ社
に企業価値1億4200万ユーロで買収された。
2006年、同紙は
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙
との提携を開始し、2009年にはウェブサイト
themoscowtimes.com
を開設した。
2009年には、ロシア在住経験を持つ外国人著者が執筆した『ロシア入門:外国人のためのロシアガイド』を出版した。
同紙は2012年に創刊20周年を迎え、モスクワの
バルチュグ・ケンピンスキー・ホテル
で盛大な祝賀ディナーを開催した。
2010年、モスクワ・タイムズはカラー印刷を開始し、旅行ガイドとバーガイドのプロジェクトを立ち上げた。
2014年1月、同紙のウェブサイトに掲載された悪質な広告が、訪問者をエクスプロイトキットのランディングページにリダイレクトした。
2014年12月には、モスクワ・タイムズは分散型サービス拒否(DDoS)攻撃により2日間オフライン状態となった。
2015年2月にも原因不明の理由で2度目のオフライン状態に陥った。
2014年4月、長年編集長を務めてきた
アンドリュー・マクチェスニー
が辞任し、後任には
ナビ・アブドゥラエフ
が就任した。
アブドゥラエフはモスクワ・タイムズの元記者、ニュース編集者、編集主幹、副編集長を務めた。
2011年にRIAノーボスチ通信の外国語ニュースサービス責任者に就任するために同紙を退社していた。
就任直後、アブドゥラエフはガーディアン紙で、西側の「偏向報道は…西側から道徳的権威を奪う」と主張した。
2015年秋、アブドゥラエフは編集長を解任され、元ルースキー・ニュースウィーク編集長の
ミハイル・フィッシュマン
が後任となった。
2014年10月、モスクワ・タイムズは、ロシア支持派による誹謗中傷や過剰な攻撃が増加したことを受け、オンラインコメント機能を一時的に停止することを決定した。
同紙は、コメント機能停止の理由として、読者にとって不便であることと、法的責任が生じることの2点を挙げた。
ロシアの法律では、ウェブサイトはコメントなどのユーザー生成コンテンツを含むすべてのコンテンツに対して責任を負うためである。
2014年、姉妹紙である
サンクトペテルブルク・タイムズ
は廃刊となった。
2015年、サノマ社はモスクワ・タイムズLLCを、元コメルサント紙編集長の
デミヤン・クドリャフツェフ氏
に売却した。
2017年、紙版の発行も停止された。
最終号は7月6日に発行された。
2017年7月、同紙の運営はオランダに拠点を置く財団法人「Stichting 2 Oktober」に移管された。
モスクワ・タイムズは現在、有限責任会社が所有しており、その株式の51%はロシア人実業家で航空機内食会社のCEOである
ウラジーミル・ヤオ氏
30%は同紙のゼネラルディレクターである
スヴェトラーナ・コルシュノワ氏(Светлана Коршунова)
そして19%は同紙の創刊者である
デルク・ザウアー氏
が保有している。
ザウアー氏はコメルサント紙の取材に対し、これは単に、自身がオランダ国籍であるため、外国人がロシア国内のメディア企業の株式の20%以上を保有することを禁じるロシアの法律を遵守するためだと説明した。
さらに、ウラジーミル・ヤオ氏は旧友であり、「彼は出版を支配しているわけではなく、パートナーである」と述べた。
2020年3月、このオンライン新聞はロシア語版を創刊した。
2022年3月、ロシアによる
ウクライナ侵攻
に関する
報道を制限する法律
が可決されたことを受け、同紙は主要編集者をアムステルダムに移転させた。
4月15日、ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ監督庁(Roskomnadzor)は、ロシアの機動隊員が侵攻への参加を拒否したという当局が虚偽報道とみなした記事を掲載したとして、ロシア国内でモスクワ・タイムズのロシア語版ウェブサイトへのアクセスを遮断した。
ロシア国内でアクセスを遮断された場合でもウェブサイトを閲覧できるようにするため、同紙は複数のドメイン名を登録し、アクセスが遮断された場合はTelegramを通じて次のドメインへのリンクを読者に送信した。
2023年3月17日、モスクワ・タイムズは、ロシア司法省から外国代理人に指定されたと発表した。
司法省は、モスクワ・タイムズが当局の決定に関する
不正確な情報
を拡散し、ロシアの
ネガティブなイメージ
を形成したと非難した。
また、モスクワ・タイムズ紙は、外国代理人法が「不均衡に適用されている」と指摘した。
2024年7月10日、ロシア連邦検事総長はモスクワ・タイムズ紙を「好ましくない組織」に指定した。
この指定により、モスクワ・タイムズ紙は事実上ロシア国内での活動を禁じられ、同紙で働く者、あるいは同紙と接触する者(例えばインタビューに応じる者)は、訴追され投獄される可能性が生まれた。
2025年12月17日、ロシア語ドメインmoscowtimes.ruはロシア連邦通信・情報技術・マスコミ監督庁(Roskomnadzor)によって裁判外で押収され、編集チームは業務をru.themoscowtimes.comサブドメインに移管した。
モスクワ・タイムズの国際版:ロシア・フランス、ロシア・フィンランド、ロシア・イギリスなど。これらの版は二国間協力問題に特化し、両国間のビジネスおよび投資交流プログラムの確立を促進している。
経済、貿易、投資、異文化交流プロジェクト、観光といったテーマに焦点を当てている。
不動産カタログと不動産季刊誌:不動産市場に関する定期的な専門ビジネス誌。
モスクワ・タイムズ・カンファレンスは、ロシア国内外の投資家、ビジネスマン、専門家が集まる場であった。
2017年後半、カンファレンスはヴェドモスチ・プラクティス・ブランドに移行した。